VRヘッドセットを使って完成前の高級不動産を「内覧」する試みがスタート
主にゲームやライブ、映画などのエンターテインメント用途で利用されているVRヘッドセットが、不動産売買の現場での活用が期待されています。すでに、アメリカ・ニューヨークの高級アパートの販売戦略にVRヘッドセットが活用されており、その有効性から今後、あらゆる不動産売買の現場でVRヘッドセットが活用される可能性を感じさせています。
Motherboardが不動産販売の現場でVRヘッドセットが活用され始めている状況を取材する様子は以下のムービーで確認できます。
Using Virtual Reality to Buy Multimillion Dollar Real Estate - YouTube
VR技術が不動産販売に活用され始めています。
ニューヨーク・マンハッタン
Motherboardのアンキタ・ラオさんがVRの不動産販売での活用の最前線を取材します。
VRは不動産業者が顧客に完成前にどのような建物かを理解するのを助けるツールとして利用されています。これまでイメージCGという2次元で理解していた建物を、VRヘッドセットを使って3次元でよりリアルに感じることができるというわけです。
不動産業務用のVRシステムを開発するVirtual Xperienceのジェフ・マウラー氏は、かつて自身が不動産物件を探しているときに、その建物がどのようなものなのかを理解しづらいという不便さを感じて、不動産用のVRシステムの開発に着手したとのこと。
マンションなどの不動産は完成前に販売するのが一般的です。現物を見ることなく高い買い物をしなければいけない消費者は、建物をイメージするために間取り図などで判断することを強いられています。
イメージをふくらませるのに使われるのは、せいぜいイメージパースなどのCG画だけ。
VRを使う事で、わずか数分で物件がどのようなものかを理解できるようになるとマウラー氏は語ります。
マウラー氏は間取り図などを基に、物件イメージをVR空間に描画し直しました。
壁や床や家具などを3D空間に配置して、VRヘッドセットを使って360度ありとあらゆる方向から物件内の様子を見られるようにしています。
現在取り組んでいるのが、ニューヨークにある高級アパート。最低価格が700万ドル(約7億円)という超高級物件です。
このような超高級物件は実需だけでなく投資用として海外の投資家からの引き合いが強いものですが、VRヘッドセットを使ったデモはオンラインを通じて世界中に配信できるので、わざわざ現場に足を運ばなくても資産家は物件をチェックできるというわけです。
この超高級アパートは建築中ですが、すでに分譲がスタートしているとのこと。
さっそくラオさんがVRを使った「物件の内覧」を試してみることに。
VRヘッドセットを装着すると、まるで部屋の中にいるかのような光景が広がります。なお、VRヘッドセットはOculus RiftやHTC Viveに対応しています。
コントローラーを使って部屋の中を自由に歩き回ることが可能。
実際にVRヘッドセットを使って部屋の中を移動してみて最も驚くことは、部屋がどれくらいの大きさなのかがよくわかることだとのこと。
ただ、VRヘッドセットにつきものの「VR酔い」の症状が出るそうです。
VRで仮想体験をした後に、実際の建設現場に足を運ぶラオさん。
「ここがキッチンです。外の眺めもいいでしょう」と案内されるラオさん。
「ええ、よくわかります。VRで事前に下見をしてきたので」
建設中の建物は完成状態を想像することが難しいものですが、VRで体験したあとで実際の現場を見ると非常にイメージしやすいというメリットがあるようです。
マウラー氏は、VRを使った不動産販売手法の開発はまだまだ始まったばかりで、今後も不動産におけるVRヘッドセットの活用方法は増え続けるだろうと予想しています。
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