ハードウェア

にわかに盛り上がりを見せつつある人工知能ロボットを使ったフィールドバトル「RoboMasters」


5種類の手作りロボットを使って陣地争いを繰り広げる大会「RoboMasters」が盛んになりつつあるようです。中国・深センで開催されているRoboMastersでは、全国から集まった200の大学生チームによるロボットバトルが繰り広げられているのですが、そこには人工知能による認識技術を用いた自動操縦が一部求められるなど、最新の技術が求められるハイレベルな戦いになっています。

Rise of the RoboMasters | The Verge
http://www.theverge.com/2016/9/27/13059144/dji-robomasters-robot-drone-battle-video-frank-wang-interview

実際のRoboMastersの様子は以下のムービーで見ることができます。

RoboMasters 2016: inside DJI's robot deathmatch - YouTube


さまざまな障害物が置かれたフィールド。ここがロボットによる陣地争いが行われる対決の場所となります。


参加しているのは、中国各地を中心に集まった200の大学生チーム。


会場では大型ディスプレイに戦いの様子が表示されるなど、華やかなスポーツイベントのような雰囲気。


中継機材も本格的なものが持ち込まれているようです。


戦いの会場は、中国・深セン市にある多目的スタジアム「深セン湾体育中心」で、イベントをスポンサーしているのが、ドローンなどで知られているDJI。


各チームは、積極的に前に出て戦う歩兵タイプや空から爆撃を行うドローン、そして守りを固める防御タイプなど4種類の車両を駆使して相手を倒し、陣地を守ります。


その様子は、近年盛んになっている「e-スポーツ」のMOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)の実戦版といったところ。


フィールドには、防御にも使える障害物や、攻撃用のゴルフボールがためられている場所などが配置されており、それらをいかに使うかが戦略の要になりそう。


車両にはカメラが搭載されており、プレイヤーは画面を見ながら操縦します。攻撃用のキャノン砲が搭載されており小さいプラスチック製の弾を発射して、相手にヒットするとセンサーが衝撃の強さを感知し、有効と判断された場合には「倒された」と判定され、動きがストップしてしまうようになっています。


シンガポールの南洋理工大学から参加した選手によると、ロボット車両にはキーとなる3つのシステムが搭載されているとのこと。


1つは、車両の動きをつかさどる「走行システム」。車両によっては複雑な動きも可能になっており、以下の特殊なタイヤを搭載した車両は前後に加え、真横に移動することもできるという高い機動性を備えている模様。


2つめは、相手を攻撃する「武器システム」。小さなプラスチック弾やゴルフボールを相手に向けて発射することで、ダメージを与えます。


そして3つめが、攻撃のレベルを感知する「判定システム」。この装置は公平性を担保するために大会のオーガナイザーであるDJIから支給されるようになっています。


ゲームがスタート。各プレイヤーは、車両のカメラから送られる映像を見ながら操作して移動と攻撃、防御を行います。


プレイしている様子は、まさにe-スポーツそのもの。


ロボット車両は5タイプのものが使われています。


Infantry(歩兵)は、読んで字のごとくフィールドを走り回って攻撃を行うタイプ。


Hero(ヒーロー)は強力な攻撃システムを搭載し、相手にダメージを与えます。


Drone(ドローン)は、ゴルフボールを爆撃することで攻撃を加える空からの攻撃ユニット。


そしてBase(基地)は、自軍の陣地を守る最後の砦。ほかの車両が無事であっても、Baseが仕留められるとそのチームは負けとなります。なお、このBaseのユニットのみ、コンピューターの認識技術を用いた自動操縦を使うことが義務づけられているとのこと。


また、弾薬を補給するStation(補給ステーション)も大事な装置の1つです。


戦いが始まり、飛び出していく歩兵ユニット。


ドローンユニットはゴルフボールを搭載して、敵の車両に攻撃を加えます。


フィールドの真ん中には、攻撃用のゴルフボールが置かれています。両チームともここで弾薬を補給して攻撃に使用。


パンタグラフ式のアームでゴルフボールを集めて……


投下して相手を攻撃


ゴルフボールを取りに行くためには、障害物を乗り越えて一段高い場所にあるステージに登る必要があります。このチームは伸縮式のサスペンションを用いることで、うまく障害を回避するようにしている模様。


戦闘には弾薬の補給が重要、ということで各チームともガンガンとゴルフボールをゲットしていきます。


ロボット車両による戦いですが、ハードウェアそのものの開発はもちろん、ソフトウェアの開発にも技術が求められます。


RoboMastersの大きな特長が、コンピューターによる認識システム「コンピューター・ビジョン」を戦いの要素に組み込んでいるところと言えます。


コンピューター・ビジョンは、技術開発が盛んな自動運転車両の世界で最も重要といえる技術の1つ。そのコンピューター・ビジョンをルールに組み込むRoboMastersは、世界最高レベルのロボットバトルと呼ぶことができそう。


コンピューター・ビジョンを使った自動操縦は、基地ユニットの制御に用いられています。敵と味方を自動で認識し、敵に対して攻撃を行う動作を人の操作なしに行えるように各チームはプログラミングしなければなりません。


大会のメインスポンサーであるDJIのFrank Wang CEOは「コンピューター・ビジョンは、今後の新しいアプリケーションを開発する上で欠かせない技術です。そのため、我々はRoboMastersにこの技術を組み入れることにしました」と語っています。


各チームはド派手なフィールドの中でバトルを展開。


そして勝者には5万ドル(約500万円)の賞金が授与され、その様子はさながらプロのスポーツイベント。DJIのWang CEOは「テクノロジーとエンターテインメントを1つに掛け合わせることで、技術が進みます。例え、プロのスポーツ選手のようにスーパースターにならなくとも、彼らは有能なエンジニアになり、発明者、そして起業家へと育っていくことができます」と語っています。


なお、RoboMastersに出場した学生の中から、有能な人物はDJIにエンジニアとして雇い入れられるという「オプション」も用意されているとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
相手を破壊するまで戦う超過激なロボットバトル「BattleBots」で屈指の名勝負が繰り広げられる - GIGAZINE

ドローン同士の壮絶なロボットバトルを子どもたちが繰り広げる「Airmageddon(エアマゲドン)」 - GIGAZINE

人間が乗って操縦する巨大ロボ「クラタス」と「Megabot」のバトルがまもなく開始へ、対決予告ムービーをYouTubeで公開 - GIGAZINE

本当にドローンを飛ばしてスター・ウォーズの空中チェイスを再現するとこうなる - GIGAZINE

in ソフトウェア,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.