狂気じみた複雑さなのに事故率を30％も下げる交差点「マジック・ラウンドアバウト」とは？

イギリスで運転する際にまずマスターすべきなのがラウンドアバウト(環状交差点)の走り方。色んな方向から車が集まって円を描くように走行し、しかるべき道へと抜けていくラウンドアバウトは一見すると狂気じみた複雑さに見えますが、実は事故を防ぐ合理的な仕組みになっているのだということを、「The Brilliant Sorcery of England’s 7-Circle Magic Roundabout(7つの円からなるイギリスのマジック・ラウンドアバウトの魔法)」というムービーが解説しています。

The Brilliant Sorcery of England’s 7-Circle Magic Roundabout | WIRED
https://www.wired.com/2016/08/brilliant-sorcery-englands-7-circle-magic-roundabout/

マジック・ラウンドアバウトがどのような仕組みになっているのかは、以下のムービーを見るとわかりやすいです。

See How an Insane 7-Circle Roundabout Actually Works - YouTube


イギリスでは通りの交差点を「サーカス」と呼ぶことがあります。

多くの交差点は「サーカス」と呼ぶに値しないほど平凡ですが、一方で本当にサーカスのような交差点も存在します。それが「ラウンドアバウト」。特に、イギリス・スウィンドンにある「マジック・ラウンドアバウト」は見た人が「気が狂っている」という感想を抱くかもしれない、というほど複雑な形状です。

実際に車が走っている時の様子はこんな感じ。

マジック・ラウンドアバウトは、中心の円と、中心円を囲む5つの円、さらにそれらを包括する大きな円の合計7つの円が存在する交差点です。

マジック・ラウンドアバウトがどのように機能しているのかは以下から。通常、車は一方向に向かって動きますが、マジック・ラウンドアバウトでは内側の円の周りを反時計回りに、外側の小さな円の周りを時計回りに自動車が動きます。

左下から入ってきた自動車が右側にあるB地点に向かう場合、黄色の線のように「左下の小さい円」→「内側の大きな円」→「右下の小さい円」の順番で移動します。

この時、内側の大きな円を経由することで、赤いラインで示されているような遠回りルートをたどる必要がなくなります。

ただし、道が渋滞しているようであれば、状況に応じて「内側の大きな円を経由するルート(紫)」と「外側の小さな円だけを経由するルート(青)」のどちらのルートも選べます。

5方向から入ってきた車の動きを可視化するとこんな感じ。一見するとカオスですが、交通状態に応じて走りやすい道を選べるので、車同士でスペースを取り合ったり衝突したりすることが少なく、実際は車が効率的に走行できるようになっているわけです。

それぞれの道からマジック・ラウンドアバウトの中に入ってきた車は……

進む方向の書かれてある道へと進みます。

しかるべき道に入ってしまえば、あとは流れにのって行きたい道へと抜けていけばOK。

他国からやってきた人など、慣れない人はマジック・ラウンドアバウトに苦手意識を持つことも多いのですが、実際のところマジック・ラウンドアバウトは事故率を30％も下げ、60年の歴史を持つとともに、過去5年において死亡事故は1件しか起こっていないとのことです。