自分で継続して学習を続ける「自己管理学習」を成功させるために重要なポイントとは

By Jeff Peterson

学問やビジネスの世界で大きな成功を集めた人の中には、学校では目立った成績を収めていなかったという人も少なくはありません。その後の成功の大きな後ろ盾となったのは、「自ら学ぶ」という能力の高さだったと言え、自分で自分を管理しながら学習する「自己管理学習」こそが長い人生の中で学び続け、成功を収めるための重要な要素であるといえます。いかにして自己管理学習を成功に導くべきか、そのために重要な数々のポイントが、心理学的な話題を取り上げているサイト「Psychology Today」で挙げられています。

The Golden Age of Teaching Yourself Anything | Psychology Today
https://www.psychologytoday.com/articles/201607/the-golden-age-teaching-yourself-anything

大学を中退した後にコンピューター関連の企業を立ち上げ、その後のMicrosoft帝国を築き上げたビル・ゲイツ氏のように、必ずしも学歴に左右されず、自ら学ぶ能力のある人物が成し遂げるサクセスストリーは多くの人の心を惹きつける魅力を持っています。同じくApple帝国を築き上げたスティーブ・ジョブズ氏も大学を中退していることも、その魅力に拍車をかけているわけですが、この例から見えてくるのは彼らには「学校」や「教育システム」は必要なかったことと言えます。その代わりに彼らを成功へと導いたものは、自らと自らのビジネスをより高みへと導きたいという成功への情熱と、自分を奮い立たせることができるという、ある種の才能と言えるかもしれません。これは、エイブラハム・リンカーンやイギリスの女性小説家であるヴァージニア・ウルフ、そして天才と評されるレオナルド・ダ・ビンチやチャールズ・ダーウィンのような人物にも共通して言える特長であるとのこと。

しかし、本当の意味での「独学者」はこの世にはほとんど存在しないといえます。学習に必ずしも学校や何らかの教育機関は必要ないと言えますが、知識の基となる他者からの導きや書籍、DVDやCD、画像、動画、学習アプリ、ネットにアップロードされた書籍のデータ、無料のオンライン学習サイトなどの力を借りることはほぼ不可欠と言えるためです。情報で溢れた「知識のエコノミー」で生き残るためには、自分で考え、自分の意思で学習する能力を身につけなければなりません。

By Joey Yee

学校で学んできた私たちの多くは、「受け身な学習者」になること、つまり、学校を無事に卒業するためだけに勉強するように教えられていることがほとんどです。しかし、ひとたび「自ら学習するスイッチ」が入ると、すでに身に付けていた知識やスキルが相互につながるようになり、同じような人たちとのつながりが生まれ、人生とその豊かさに対する熱意が生まれてくるといいます。

自ら学習すべきという理由の1つは、いま教えられている知識というものは、その時点ですでに「過去のもの」となっているという事実です。書籍「Secrets of a Buccaneer-Scholar(海賊のような学習者の秘密)」を記したジェームズ・マーカス・バック氏は、「成功者は何を知っているかではなく、いかにして学んだかによって成功している」と著書の中で語っています。バック氏は14歳で学校をドロップアウトし、独学でコンピュータープログラミングを学んだ後にAppleでソフトウェアテスターを務めるようになった人物で、現在はコンサルタントとして活躍している人物です。

ジェネレーションX世代の作家で「The Art of Self-Directed Learning(自己管理学習の技術)」を記したブレイク・ボールズ氏は、「自己管理学習者とそうでない人の違いは、学校の時点から露わになり始めます。自ら学ぶ人は、自分で自分の道を作り、地図やコンパスに囚われず、新しいフィールドを見つけ出すことができるようになります。自ら学ぶ人は、自身の教育、キャリア、そして人生をコントロールすることができます」と語っています。

自分で自分を管理しながら学習を行う「自己管理学習」を体現したような最たる例が、オンライン学習サイトのカーンアカデミーとのこと。2006年にサルマン・カーン氏によって設立されたカーンアカデミーは、誰でも無料で利用できるオンラインの教育プログラムで、利用者はすべて自分のペースで学習することができます。同サービスのサイトによると、十種類あまりの教科で実に5億8000万種類のレッスンが用意されており、毎日400万回のレッスンが利用されているとのこと。

By Washington State House Republicans

デューク大学で才能のある若者についての研究を行っているジョナサン・ワイ博士は「自己学習に長けた人は、IQレベルが高い傾向にある」と語ります。また、自己学習と実際の能力の高さの関係についても「多くの研究結果からは、頭の良い人ほど自己管理学習に労力を多く費やしていることも明らかになっています。頭の良い人は一つのトピックに集中すると、他の人よりも早く学習を成し遂げます」と、学習方法そのものによって、結果に差が生まれているという研究結果を明らかにしています。

しかしその一方で、ワイ博士は学習に対する意欲が結果に大きな影響を与えるという点についても言及しており、「さまざまなIQのレベルに共通するのは、情熱が大きな役割を果たすということです。頭のいい人の中にも、怠惰な人はいます。あらゆる知的レベルにおいて、個人差による差異が存在しています」と語っています。

ボールズ氏は、自己管理学習の実践に長けた人物の特長として「自分で考える能力、パターン認識力、そしてクリエイティブに解決策を導く能力に長けるという、遺伝的な特長を最初から備えているという傾向があります。言い換えるとすれば、彼らは頭脳明晰なのです」という点を挙げています。また一方で、カーンアカデミーで行われているような、グロース・マインドセットを持つことの重要性についても触れている点は注目に値します。

・学習スタイルについて
学習に対する意欲に加え、「どのように学ぶべきか」を見極めることも重要です。ある課題に対してどのようなアプローチを取るかは、その学ぶ内容によって変化するとのこと。

By thinkpublic

認知科学者のクリスチャン・ジャレット氏は、「個人差はありますが、多くの場合、効率の良い学び方は個人の特性ではなく、学ぶ内容によって決まります。例えば、初心者は例を示すことでより効率的に学習できる一方で、上級者は自ら課題を解くことでより多くの内容を学習します」と、学習においてはスタイルの使い分けが重要である点を挙げています。

また、子供には自分の学びたいことだけを自発的に学ばせるか、それとも核となる知識だけは強制的に学ばせるべきかという議論が続いています。これについてワイ博士は「ビル・ゲイツでさえ、コンピュータープログラムは基礎となる知識なしに書くことはできないと語っています」と述べており、知識を高めるにあたり、やはり基礎となる一定の知識を詰め込んでおかなければならないことは明白であるとしています。

・学習につきまとう「不安な気持ち」
独学による自己学習を失敗させる原因は、知識でもテクニックでもなく「不安になる気持ちです」と、バック氏は語ります。バック氏によると、これまでに目にしてきた学習者の多くが「自分はそれなりに勉強はできるが、十分に頭が良いとはいえない」といった不安な感情を持ち、消耗してしまうことが多いとのこと。このような気持ちに支配されてしまうと、成長には不可欠なグロース・マインドセットの力が失われてしまうことになります。

新しいことを学習する上で、「自分は十分な賢さを備えていないのではないか」と不安な気持ちになるのは避けられないものです。大事なのは、その気持ちが生じることを理解した上で、なによりも継続することと言えます。

By Kim Seng

・学習の効率を高める「仕組み」と「結果にこだわること」
学習の成果を上げるためには、ただやみくもに学習すれば良いというものでもありません。効率よく学習を進めるためには、ある種の仕組みを利用することが有効です。

20か国語以上の単語を学習するサービスの「Duolingo」は利用者向けにアプリをリリースしており、2015年時点で1億人以上に利用されています。このアプリの特長は、利用者に学習を続けたいと思わせるための仕組みが取り入れられているところにあるといいます。利用者の学習履歴は保存され、何を学んで何を学んでいないのかが把握可能で、うまく覚えられなかった時の対処法を知ることも可能で、ある種の「ゲーム性」が取り入れられている点が、学習の意欲を高める効果があるとのこと。

また、これまでに最も単語を効率よく覚えた人は「旅行に行く予定がある人」であることもわかっています。逆に、最も効率が悪かったのが、「興味があったので」とプログラムを利用し始めた人とのこと。これはつまり、何かを学習する際には、最終的なモチベーションとなる何かを設定することで、高い成果を上げることが可能になるということを示しているといえます。

・効率よく自己学習を行うための秘訣とは
数々の誘惑や悩みに打ち勝ち、自己管理学習者として成功するためには、次の点をクリアすることが重要になるとのこと。

・何を学習すべきかを定義する
・必要な情報にアクセスする方法と、情報を評価する方法を知る
・失望と混乱の感情は、学習プロセスには付きものであることを理解しておく
・常に別の視点を持つことを心がける
・自分の成績データをもとに自己評価を行い、結果を次へとフィードバックさせる

また、前出の「The Art of Self-Directed Learning」を記したボールズ氏は、次のスキルを身に付けることをアドバイスしています。

・物事をストーリーで考える
・人前で話す
・他人が本当に読みたいと思えるものを書いてみる
・グループを率いる
・グループに所属する
・一定の出来栄えのする映像作品やウェブサイト、写真作品を作ってみる
・議論の中で論理的に誤った点を見つける
・誰かと会って会話を交わす
・知らない人と接触してアドバイスや情報を求めるようにする

・「メタの力」を利用する
自ら学ぶことに成功する人の多くは、繰り返し継続することで生まれる「メタ効果」の恩恵を受けています。

学習は繰り返すことによってより強固なものになります。まず最初の学習を行って何を覚えたのかを確認したら、次は別のことをやって時間を空けます。しばらくしたら、再び最初の項目を復習し、再び内容を頭にたたき込みます。このようなサイクルを繰り返すことで、記憶と知識が自分のものとして定着するようになります。

By get directly down

また、新しいアイデアや進むべきフィールドを見つける際に重要なのが、頭の中にぼんやりと存在する全体像のスキーマです。明確な「事実」とは異なり、スキーマは頭の中に存在する膨大な知識が雲のように集まり、抽象的な概念として出現するものといえます。多くの材料をもとに、一段高いレベルで何かが生まれる、これこそが「メタ効果」といえるのですが、やはりその背景には多くの正確な知識を持っていることが重要となります。

そのために、常に新しいものに触れることが重要であると、前出のバック氏は語っています。Appleでソフトウェアテスターを務めていたバック氏は、時間と会社が許せば勤務時間中に本を読むようにしていたとのこと。実務をこなすことはもちろんとても重要なことですが、長い目で見て仕事に影響を与えるための情報を蓄積し、「メタの力」の源とすることも重要と言えるようです。

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