京都水族館の新エリア「京の海」初日レポート、さかなクン自ら京都の海で採集
2016年春に開業4周年を迎える京都水族館が、大水槽と吹き抜けの2階分の展示エリアを、京都の海にゆかりのある生き物を結集した「京の海」として4月20日(水)にリニューアルオープンしています。一体どんな生き物が登場しているのか気になったので、リニューアルオープン初日に京都水族館に行ってみました。
4周年記念リニューアル第1弾 新エリア「京の海」が誕生 アマダイ・ハモなどを展示 | 京都水族館
http://www.kyoto-aquarium.com/news/2016/04/renewal1.html
京都水族館に到着。エントランス前では八重桜が満開に咲いていました。
リニューアルオープン当日は、「京の海」で展示する生き物の採集に携わったさかなクンが来館。入口の前にイベント開催を告知する看板が立っていました。
さっそく入館して、1階の「京の海」へ向かいます。館内の案内用サインは水槽のリニューアルに合わせて、京都らしく和のテイストを取り入れた水彩画に一新していて、「京の海」のサインにはイワシの群れのデザイン。
京都水族館の大水槽では、これまでは日本の海に住む生き物が展示されていましたが、新たにアイゴやスズメダイといった魚が加わり、「京都の海」をテーマにした水槽へと生まれ変わっています。
イワシは従来から飼育されていましたが、京都・天橋立の内海(阿蘇海)で漁獲される「金樽イワシ」が京都で有名なことから、飼育数を増やして現在は1万匹ほどが群れを成して泳いでいるとのこと。
頭にポッコリとコブがあるコブダイや、ホシエイなどの大型魚類も展示されています。
水槽のそばには、館内サインと同じく水彩画で描かれた魚のイラストを展示。「京の海」にリニューアルしてからは、約50種類・1万1000匹の魚が展示されているとのこと。
大水槽は幅15メートル、深さ6メートル、水量は約500トンあり、内陸型水族館としてはかなり大規模のもの。2階からも大水槽を見ることができ、いかに巨大な水槽であるかが分かります。
リニューアルした水槽の前で、さかなクンと下村実館長によるオープニングイベントが行われました。
下村館長は、「『京都は海のイメージがない』とよく言われるが、実は京都北部の日本海ではアマダイ、ハモ、イワシ、イシダイ、コブダイ、ヒゲダイなどのおいしい魚が住んでいて、他にもミズダコ、アンコウ、ハタハタ、ホッケや、ミノカサゴなどの熱帯魚や、深海魚も住んでいるという、結構変わった海なんです」と語り、「京の海」の展示では京都の豊かな海のイメージを再現しようと思っているそうです。
さかなクンはプライベートで京都水族館を訪れることがあると話し、京都水族館には館内の水槽だけでなく外に田んぼや畑もあり、身近な魚を魅力いっぱいに見せてくれていて、魚がどんな風に暮らしているのか、どのように泳ぐのか、どんなエサを食べるのかなどをワクワクしながら学べるところが楽しみだと話していました。
そんなさかなクンに、水彩画のオオサンショウウオが描かれた年間パスポートが下村館長からプレゼントされました。この新デザインの年間パスポート&入場チケットは2016年5月1日(日)から一般向けに開始予定となっています。
オオサンショウウオの水彩画イラストは、館内の案内図が書かれたリーフレットにも描かれています。
サイズはこのくらい。
さらには、新エリアオープンに合わせて、スタッフのユニフォームが新しく生まれ変わっています。緑豊かな京都と、京都水族館を代表するオオサンショウウオをイメージしたという緑と茶色の新ユニフォームで、左端のウインドブレーカーは着心地が良く動きやすい上に、ファスナー部分が暗闇で光るため、暗い場所でも活動しやすいというこだわりのデザイン。
続いては、京都の海に住む生き物たち約20種・50点が展示されている2階エリアへ移動。
2階の水槽は、熱帯魚が泳ぐサンゴの海が、新たに「京の海」へとリニューアルしたもの。大水槽の隣にあり、実際には水槽同士はつながっていないのですが、透明な水槽が奥へつながっているように見える工夫がなされていて、まるで海の中にいるかのような感覚が味わえます。
案内サインには、アカアマダイ、マダイ、キダイが描かれていて……
水槽の底付近に、タイの仲間がたくさん泳いでいます。
京料理の高級食材として知られるアカアマダイ(グジ)は、鮮やかなピンク色の細長い体が特徴。岩陰を好み、止まっているようにゆっくりと泳ぐ姿が印象的です。
頭がツルンと丸まっていて尼さんのように見えることや、食べると甘くておいしいことから、アマダイと呼ばれているそうです。
アマダイが「京の海」の水槽でゆったりと泳いでいる様子は、以下のムービーで見ることができます。
京都水族館新エリア「京の海」で高級魚「アマダイ」が泳ぐ様子 - YouTube
他にも、一般的にタイと呼ばれているマダイや……
えらの部分が血のように真っ赤なチダイや、頬と体が黄色っぽいキダイ(レンコダイ)。
黒っぽいシマが入った魚はイサキです。
再びさかなクンと下村館長が登場。下村館長は、「京都にしかいない珍しい魚はいないけれども、『京の海』ではあえて身近な生き物を扱い、魚をしっかり見て親しんでほしいというコンセプトで展示している」と話していました。
また、水族館を訪れることで、海や山に出かけるキッカケになればと思っているとのことで、海の生き物について分からないことがあればスタッフにドンドン質問して聞いてほしいそうです。水槽の前でしゃがんで魚をじっくりの見るのも大歓迎と下村館長はコメント。
ちなみに、さかなクンが着ている白衣は、ハモ、アカアマダイ、マダイなど、「京の海」に合わせて、さかなクンが当日に即興でイラストを描いたものだそうです。
続いては「水族館の魚をどうやって集めているのか?」というトークセッションが行われました。漁師さんの船に乗せてもらって定置網をしかけて魚を採集する方法が一般的で、迷路のような定置網に魚が迷い込んできたところを引き上げるそうです。定置網は、網の奥まで進む魚は10匹中2匹くらいしかおらず、自然に優しい採取方法でもあるそうです。船より巨大なジンベエザメも定置網に入ることがあり、さかなクンは「網にどんな魚が入っているのか網を上げるまで分からなくて、まるで宝箱のよう」と話していました。
以下の写真は、実際にさかなクンと下村館長が魚を採集しに行った様子。定置網に入った魚を、傷つけないように網でそっとすくって水槽に移すそうです。さかなクンが採集しに行った日は、マダイ、フグ、クロダイ、ブリなどが取れたとのこと。
さらに、珍しい深海魚「サケガシラ」の子どもが網にかかっていたそうです。サケガシラはリュウグウノツカイの仲間で、トサカのような背びれが頭についていて、タチウオのように銀色に輝く体を持っています。サケガシラは頭を上にして縦向きに泳ぐことが徐々に分かってきているのですが、サケガシラの子どもが縦に泳ぐ様子は今回初めて撮影されたとのこと。深海魚は普通、採集してすぐに死んでしまうのですが、このサケガシラは3日間泳ぎ続けて、口がビヨーンと伸びるところも撮影できたそうです。
採集した魚は水族館に搬入されるのですが、体に見えない傷がついていることが多く、すぐには水槽に入れられないそうです。そのため、写真右側に写っている黄色い薬の入った水槽で傷を治して、エサをちゃんと食べられるようになってから、ようやく水槽へデビューするそうです。水槽で展示中に傷を負ってしまったらバックヤードに戻して回復させたりと、愛情たっぷりに育てられているとのこと。
トークセッションの最後には、さかなクンと下村館長が京都の海で採集したアマダイが、「京の海」の水槽に移されました。アマダイが水槽に投入される様子は、以下のムービーで見ることができます。
さかなクンが京都の海で採集した「アマダイ」を京都水族館の水槽へ投入 - YouTube
「京の海」エリアには、大きな水槽以外にも、1匹1匹の魚を間近で見られる展示もあります。
針を畳んだ状態で泳ぐハリセンボン
岩に擬態しているオニオコゼ
華やかなミノカサゴ
さらに大きめの水槽もあり、ここではアンコウやミズダコなど京の海の豊かさを象徴する生き物たちが季節ごとに展示される予定。四季の移り変わりとともに、海の生き物の生態を間近で見ることができるようになっています。
ミズダコは世界で一番大きく育つタコ。
一般的に本あんこうと呼ばれている、キアンコウ。
京都の夏の風物詩として親しまれているハモ。
長い体を土管に隠していました。
「京の海」エリア隣の「京の海アカデミー」では、飼育スタッフによるワークショップを開催し、飼育スタッフが様々な方法で情報発信する予定とのこと。4月20日からは定置網で採取したダイオウイカの乾燥標本が展示されています。見た目は巨大なスルメで、ケースの近くによるとほんのりとスルメの香りが漂ってきます。
「京の海」は、京都水族館開業4周年記念のリニューアル第1弾なので、今後第2弾、第3弾と、どのように京都水族館が進化していくのかも楽しみです。
・つづき
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