TwitterやInstagramから情報収集＆監視できるシステムにCIAが投資

諜報活動を行うアメリカの情報機関・CIAは、「In-Q-Tel」と呼ばれるベンチャー・キャピタル企業を持っており、In-Q-Telは38の企業に投資を行っています。その投資リストにはさまざまなテクノロジーを開発・研究する企業が名を連ねています。中でもCIAは、ソーシャルメディアからの情報収集、および監視を可能にするテクノロジーに注力していることがわかりました。

The CIA Is Investing in Firms That Mine Your Tweets and Instagram Photos
https://theintercept.com/2016/04/14/in-undisclosed-cia-investments-social-media-mining-looms-large/

2015年9月に、CIAのトップ2であるデービッド・コーエン氏はコーネル大学で講演を行いました。コーエン氏は「イスラム国家(イスラミックステート、IS)がTwitterでツイートした内容から、有益な情報を得ることができた」という実例について説明。Twitterを含むソーシャルメディアは、テロリストに対策する上で監視するべき価値のあるプラットフォームであることを、CIAは認めているわけです。

In-Q-Telの投資先企業のリストから見ても、CIAがソーシャルメディアの監視を強化することを目的としていることが推測できます。2016年2月には、CIAのベンチャー・キャピタル企業であるIn-Q-Telの投資先企業を集めた「CEO Summit」が開催されました。CEO Summitでは、各企業がそれぞれのツールやプラットフォームについてプレゼンを実施。その中には「Dataminr」「Geofeedia」「PATHAR」「TransVoyant」という、TwitterなどのSNSからデータマイニングを可能にするツールを開発している4つの企業が含まれていました。

◆Dataminr

DataminrはTwitterなどをリアルタイム分析して、設定しているカテゴリごとに分類して通知するという、独自のアルゴリズムを用いたシステムを提供しています。Dataminrは毎日5億ツイートもの情報を処理しており、分析されたツイートは発信された地域などが可視化されるようになっています。2014年にDataminrは、Twitter公式ツールとして「Dataminr for News」を構築しています。Twitterのデータストリームを取得する公式許可を持っているため、精度の高い情報を分析できると言えます。

◆Geofeedia

Geofeediaは、TwitterやInstagramなどのソーシャルメディアから、位置情報が付与されたメッセージを抽出することに特化したツール。リアルタイムで最新ニュースやイベントなどを監視するために使われています。Geofeediaは数多くの法執行機関をクライアントとして抱えており、活動家の抗議活動を追跡する能力が重宝されているとのこと。

◆PATHAR

PATHARは「Dunami」という製品を販売しています。Twitter・Facebook・InstagramなどのSNSのデータマイニングを行うツールとして、FBIでも使われていました。拡散される情報の発信源や、過激化する傾向にある情報を特定することができるとのこと。

◆TransVoyant

アメリカの航空機・宇宙船開発製造企業・ロッキード・マーティンでVPを務めたDennis Groseclose氏によって設立されたのがTransVoyant。TwitterなどのSNSを含む多重データを解析し、ギャングの紛争や、ジャーナリストへの脅威を監視するツールとなっています。

この件をまとめたThe Interceptは、これらの企業に対して複数回にわたってコメントを求めたとのこと。Dataminr・Geofeedia・PATHARはいずれも返答がなく、TransVoyantのマーケティングディレクターは、In-Q-Telからの投資を認めましたが、投資の目的に関してはコメントしなかったとのこと。In-Q-TelのVPは「メディアのインタビューには応じていない」と返答しました。

なお、In-Q-Telの投資先企業の一覧は以下のようになっています。