Microsoftが440億円以上の使用料を支払ったパテント・トロールの特許が無効に
by Tori Rector
かつてMicrosoftを相手に特許侵害訴訟を起こし、3億8800万ドル(約440億円)の特許使用料を手にした海賊版防止ソフトウェアの技術企業・Uniloc(ユニロック)が持つ特許が無効化されることが明らかになりました。
Local lawyers get key patent win against previously unbeatable adversary - Kansas City Business Journal
http://www.bizjournals.com/kansascity/news/2016/03/22/uniloc-patent-216-invalidation.html
Patent that cost Microsoft millions gets invalidated | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/03/game-companies-knock-out-patent-that-slammed-microsoft-with-388m-verdict/
Unilocが登録していた特許5,490,216号は製品のアクティベーションに関する特許で、Microsoftは「シリアルキー番号を入力してソフトウェアをアクティベーションする」という部分が特許侵害だとして2009年に訴えられ、3億8800万ドルの支払いを命じられたことがあります。
陪審員裁判による支払い命令は、のちに予審判事によって無効化され請求権は破棄されたのですが、2010年に上級裁判所が「陪審員裁判の判決が支持されるべきだ」と裁決していました。
この特許は、Unilocによればこれまでに約75の会社を訴えてその3分の1が法廷で問題を解決した、という「壁」で、2002年以降、多くの企業が苦しめられてきました。
無効化の試みはこれまでにも何度も行われて、失敗してきたのですが、今回、セガ・オブ・アメリカ、Ubisoft、Kofax、Cambium Learning Group、Perfect World Entertainmentが共同でアメリカ特許商標庁審判部(PTAB)から当該特許無効の判断を引き出したとのこと。
by Steve Snodgrass
もともと、この特許はUnilocがオーストラリアで出願し1992年9月に取得していたもので、あとでアメリカでも同じ時に取得したという形になったもの。のちに訴えられた各社がアメリカでその特許を侵害するようなものを作った時点では、アメリカにはこの特許は存在しなかったということです。
ちなみに、当該特許は2013年に期限切れになっているのですが、特許権者は6年以内なら後方の損害を訴えることができるという仕組みになっているため、2014年の訴訟でもこの特許が用いられていたとのこと。
しかし、この特許の無効化によって、「最古かつ最も儲けているパテント・トロールの1つ」として10年以上にわたって利益を得てきたUnilocは、ついにその座を退くことになるようです。
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