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GoogleがAppleの様なスマホメーカーになることを模索中、「断片化」問題の解決に乗り出す可能性


Googleブランドで販売されているAndroid OSのレファレンスモデルNexusシリーズの方針を大きく変えて、Appleのようにスマートフォンを設計から生産まで自社で手がける方向性を模索していると報じられています。これは、Androidにつきまとういわゆる「断片化」問題を解決するための策である可能性がありそうです。

Google Signals Apple-like Direction for Nexus Phones — The Information
https://www.theinformation.com/google-signals-apple-like-direction-for-nexus-phones

Report: Google wants to take “Apple-like” control over Nexus devices | Ars Technica
http://arstechnica.com/gadgets/2016/02/report-google-wants-to-take-apple-like-control-over-nexus-devices/

The Android Screen Fragmentation Myth | Rusty Rants
http://rustyshelf.org/2014/07/08/the-android-screen-fragmentation-myth/

GoogleはAndroid OSを搭載するレファレンスモデルとしてNexusシリーズを販売し、最新のAndroid OSを提供してきました。しかし、NexusスマートフォンについてGoogleは設計・開発・マーケティングに携わり、製造については他社に任せるというスタンスを採用してきました。そのため、LG、Motorola、HuaweiなどのスマートフォンメーカーがNexusシリーズの製造を請け負い、NexusブランドとしてGoogleがスマートフォンを販売するという仕組みでした。

例えば、Nexus 6PはHuaweiが、Nexus 5XはLGが製造を担当。


しかし、GoogleはNexusブランドでのスマートフォン戦略を変え、設計、製造、マーケティング、製造に至るまで、すべてをGoogleが管理する方向に切り替えることを検討中であるとThe Informationが報じています。

Android OSというソフトウェアだけでなくハードウェアに関しても完全に自社開発するという垂直統合モデルについて、iOSとiPhoneを設計・製造するAppleのスマートフォン戦略をGoogleが意識していることは明らかです。そして、このGoogleのスマートフォン戦略の方向転換は、AppleがiPhoneによって高価格スマートフォン市場を独占していることに対して、Googleが危機感を覚えているからだとThe Informationは考えています。


もっとも、Googleの垂直統合型スマートフォン戦略がAppleのそれと大きく異なる点は、OSが独占でないこと。Googleがハイエンドスマートフォンを純粋なGoogleオリジナルモデルとして販売した場合でも、Android OSの無償提供は続けられるため、他のスマートフォンメーカーはAndroidスマートフォンを製造・販売することは可能です。

ただし、Android OSを開発するGoogleによる完全オリジナルのスマートフォンが販売されればAndroid端末の売上げを大きく奪われかねないため、他社からの反発も予想できそうです。この点では、Googleの方針変更は、AppleというよりもむしろSurfaceシリーズでオリジナルモデルを製造・販売するMicrosoftのスタイルに近い形と言えるかもしれません。MicrosoftもSurfaceシリーズの販売に踏み切る際に、DELLやLenovoなどのWindows搭載PCを製造するPCメーカーからの反発にあいながらも、Surfaceシリーズをリリースした経緯があることから、GoogleはAppleよりもMicrosoftに学ぶべき事が多そうです。

さらに、Googleが垂直統合システムを推し進めたい理由として「断片化(細分化)」の問題が少なからずあると考えられます。Androidの断片化問題とは、各社が自由にAndroid端末を開発できるが故に、ディスプレイサイズやディスプレイ解像度の異なるさまざまなモデルが登場することになり、その結果、アプリ開発者が多くの端末への対応に苦慮することになり、iOSに比べて劣悪なアプリ開発環境を嫌って優秀なアプリの誕生が妨げられているという問題です。

Android用アプリ開発が難しい原因が機種数の多さによる断片化であることがよくわかる図 - GIGAZINE


世の中のAndroid端末がどれだけ細分化しているのか可視化するとこうなる - GIGAZINE


多様性こそがAndroid OSの良さでありAppleのiOSと差別化できる部分でもありながら、アプリ開発を困難にさせている断片化問題は、解決すべき問題であり、Googleは、Nexusシリーズにさらに一歩踏み出すことで、Android端末のお手本となるべきレファレンス機を開発するということになるのかもしれません。

なお、Android端末の画面ディスプレイの断片化に関しては、Android 4.4 KitKat以降ではボタンアイコンを画面内に表示できるようになり柔軟性が出てきたこともありイメージほどは複雑化しておらず、時間と共に支持を集めるディスプレイサイズ・解像度が収束してきています。


その一方で、OSのバージョンの断片化はより深刻で、記事作成時点で最新のAndroid 6.0 Marshmallowは、リリースから4カ月経つのにいまだに利用率がわずか1.2%ほどであるという衝撃の結果が示す通り、旧世代のOSからの世代交代がなかなか進まないという状況にあります。そのため、最新OSをサポートするGoogle純正のスマートフォンを押し出すことで、他社製のAndroid端末の最新OSサポートをより強力に促していくことをGoogleが狙っていても不思議ではありません。

Android各バージョンの使用率が判明、リリースから3カ月のAndroid 6.0 Marshmallowはまさかの数字 - GIGAZINE


Googleは、これまでGoogleオリジナルのAndroid端末に「Nexus」という冠名を与えてきました。一方で、2015年9月には「Pixel C」というNexusシリーズではないAndroid搭載のタブレットもリリースしています。もしもGoogleが報道されたとおりに製造まで自社でまかなう純正Androidスマートフォンをリリースするとすれば、NexusではなくPixelの冠名を使うことも十分考えられます。

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NexusシリーズになるのかPixelシリーズになるのかはさておき、もしもGoogleが完全オリジナルの純正スマートフォンをハイエンドモデルとしてリリースすることになれば、ハイエンドスマートフォン市場をiPhoneで制圧するAppleと激突することになりそうです。また、他のAndroidスマートフォンメーカーにとってGoogleが強力なライバルになることは明らかで、もしかすると第3のOS「Windows 10 Mobile」への乗り換えを検討するメーカーが現れる可能性はなきにしもあらず。スマートフォン業界の行方を占う上で、Googleが完全オリジナルモデル製造に乗り出すのか、注目を集めそうです。

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in モバイル,   ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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