「サードウェーブコーヒー」とは結局何のことなのか?そして今後の行く末は
煎りたての豆をお客さんの目の前でドリップして淹れる、いわゆる「サードウェーブコーヒー」がアメリカを中心に人気を集め、日本にも「ブルーボトルコーヒー」がオープンするなどその波は押し寄せてきています。日本の喫茶店文化が反映されているとも言われるサードウェーブコーヒーですが、そもそもどのような流れで登場したのか、そして今後はどのように進んで行くのか、そんな内容がEaterが作成したムービーで語られています。
How We Got To Third Wave Coffee and Peet's Plan For the Future - YouTube
まずコーヒーが広く人気を集めた「ファーストウェーブ(第1の波)」は、「Folgers(フォルジャーズ)」や「Maxwell(マックスウェル)」そして「Nestle(ネスレ)」などのブランドによるインスタントコーヒーの登場。
手軽にコーヒーが飲めるインスタントコーヒーは多く飲まれるようになります。会社のデスクで飲む一杯のコーヒーや……
家庭でコーヒーを飲むような時にインスタントコーヒーは活躍します。
インスタントコーヒーはビンや真空パック、スティックタイプなど手軽に使える容器に入れられていたのも人気の秘密。親しまれるキャッチコピーなどの戦略を取り入れて、長らく人々からの人気を集めました。しかし、「第1の波」のコーヒーは、苦くて風味が弱いなどの弱点がありました。
その弱点を補うことで人気を集めて「セカンドウェーブ(第2の波)」となったのが、日本でもおなじみのスターバックスやピーツ・コーヒー&ティーなどのコーヒーショップでした。
セカンドウェーブのコーヒーは香りと風味が豊かな淹れたてのコーヒーをお店で提供するという特徴があり、高い品質のコーヒーを求める人に高く支持される時代がやってきました。エスプレッソやラテなどの飲み方が広まったのもこのタイミングといわれ、豆の産地やロースト方法などの知識が一般の人に浸透するのもセカンドウェーブコーヒーの登場によるものが大きかったと言えます。
このようなセカンドウェーブのコーヒーも、次第にスーパーマーケットなどに販路を拡大するなど、ファーストウェーブコーヒーと同じような戦略をたどります。この状況の中で新たに台頭してきたのが、「サードウェーブ(第3の波)」と呼ばれるコーヒーです。
この波の主役になったのが、オレゴン州に拠点を置くStumptown(スタンプタウン)やシカゴ生まれのインテリジェンシア(Intelligentsia)といった、高品質のコーヒーを提供するお店です。
これらのお店は、自前で厳選した豆を使い、店舗でローストした豆を使ってバリスタがその場で一杯ずつコーヒーを淹れるという特徴を持っています。コーヒーの淹れ方そのものと同じぐらい、「場所」としてのお店や経営者そのものがお店を訪れてコーヒーを飲むという「体験」で大きな部分を占めるようになります。
サードウェーブコーヒーを取り巻く状況は、クラフトビール、いわゆる「地ビール」とよく似たものにもなっているとのこと。個性を持った商品に人気が集まって愛されるようになる、という意味ではビールとコーヒーは似ている部分があるのかもしれません。
そんなサードウェーブコーヒーショップのスタンプタウンとインテリジェンシアですが、2015年後半にはなんと先述のセカンドウェーブの代表格、ピーツ・コーヒー&ティーによって買収されるという一幕がありました。とはいえ、これはサードウェーブコーヒーの魅力を破壊するものではないとのこと。ピーツは「サードウェーブコーヒーは、セカンドウェーブコーヒーが行ってきたことを、よりスマートな方法に進化させたものです」としており、むしろサードウェーブコーヒーの戦略をより進めるための施策の様子。つまり、「おいしい高品質なコーヒーを多くの人に飲んでもらう」という目標はセカンドウェーブと同じであるというわけです。
この後に課題となってくるのが、「価格」と「品質」のどちらを天秤にかけるか、ということになるとのこと。
コーヒー市場における最も大きなマスは、スーパーマーケットでコーヒーを購入しているような一般消費者なのですが、これらの消費者が今後、高品質でニッチなサードウェーブコーヒーの世界にお金を落としくてくれるのか、それとも品質はそこそこで価格も比較的に安いセカンドウェーブコーヒーを買い続けることになるのか、ここにコーヒー業界の将来がゆだねられているとムービーは締めくくられています。
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