普通自動車免許でOKの逆トライク「Can-Am Spyder F3S」爆走レビュー
前が1輪、後ろが2輪の「トライク」は自動二輪の免許が不要でヘルメット着用も義務づけなしということで人気がありますが、一般的なトライクと違って前が2輪、後ろが1輪のいわゆる「逆トライク」は、トライクの開放感とスポーツ性能の高さを兼ね備えていることからじわりじわりと人気を集めています。というわけで、逆トライクの魅力とは何なのかを知るべく、マッチョでスポーティな逆トライク「Can-Am Spyder」で風を切りながら走ってみました。
Can-Am Spyder:ツーリング、スポーツツーリング、スポーツ用 3 輪バイク | Can-Am Spyder Japan
http://jp.brp.com/spyder/
今回、Can-Am Spyderを貸してもらったのは、大阪・堺市にあるCan-Am Spyderの正規販売店「チャレンジ」。
Can-Am SpyderのRT LIMITEDとF3Sがドドーンと店頭でお出迎え。
店内にもさまざな種類のCan-Am Spyderがわんさか展示されていました。なお、Can-Am Spyderは普通自動車免許(中型免許)でOKで、自動二輪免許を持たない人でもドライブできます。
今回借りたのは数あるCan-Am Spyderシリーズの中でも、東京モーターショー2015で一際印象的だった「Can-Am Spyder F3S」。ド迫力でスポーティなスタイルが目に焼き付き、「乗ってみたい、体感したい、風になりたい」という妄想が極まって、めでたく試乗の機会に恵まれたというわけです。
なお、東京モーターショー2015のBRPのCan-Am Spyderブースの様子は以下の記事で確認できます。
普通自動車免許で乗れる1300ccエンジン&ド迫力フォルムの逆トライク「can-am Spyder」 - GIGAZINE
Can-Am Spyderは、フロント2輪のいわゆる「逆トライク」です。
精悍な面構え。
一方で、ノーズコーンとサイクルフェンダーというスタイルは、オープンカーのスーパーセブンを思い起こさせるデザインです。
クルーズコントロール付きの上位モデルの証である「S」エンブレム。
横から見るとこんな感じ。サイズは全長2642mm×全幅1497mm×全高1099mmで、乾燥車重は386kg。
リアは極太の1輪。スイングアームや補強フレームの鮮やかなオレンジカラーがスポーティ。
フロントタイヤは165/55R15。
ブレーキキャリパーはBrembo。
フロントサスペンションはFOX PODIUMのシングルダンパー。
マッチョなタンク周り。バイクというよりはマリンジェットやスノーモービルのよう。それもそのはず、BRPは「Bombardier Recreational Products(ボンバルディア・レクリエーショナルプロダクツ)」の略で、J.A.ボンバルディアが創業した現在の航空機メーカー・ボンバルディアが源流。ボンバルディアの飛躍を支えたスノーモービル事業がルーツのBRPなので、Can-Am Spyder F3Sにそのテイストが加わっているのは自然なことなのかも。
補強フレームの間にのぞくエンジンはRotax製。
BRP傘下にあるRotax製の1330cc直列3気筒の1330 ACEは、出力115ps、トルクは130N・m。低回転から大きなトルクを発生させるとのこと。
泥よけもアリ。
Can-Am Spyderシリーズは右のフットブレーキのみで3輪を制止させる構造。フットペグは5段階で位置を前後に調整可能なので、小柄な人でもポジションを探し出すことができます。
シートはおしゃれなステッチ入り。タンデムバーを搭載しており、二人乗りもOK。
タンデム用のステップはマフラーの前にあります。
リアの極太タイアは225/50R15。
タイヤは台湾のKENDA製。
リアもディスクブレーキ。
排気口が△×2のマフラー。
リアはSACHS製のモノサス。
ブレーキランプを兼ねた大きなウィンカー。
チェーンではなくベルトが採用されています。
左のステップにはギヤはなし。Can-Am Spyderは6速MTだけでなく、6速セミオートマもあるということで、今回は6速セミオートマのモデルを借りました。
フェンダー上部にはウィンカーランプ。
シートに座り込むとこんな感じ。
メーターはアナログ式のスピードメーターとタコメータ。
なお、中央のディスプレイにもデジタル式でスピードや回転数、ギアが表示されます。
ハンドル左に各種ボタンを集約。ライト、ウィンカー、ホーンが左にあり、その外側にギアシフト用のパドル。右にはスタート時に使うECOボタン、ディスプレイ操作用の4つのボタン、パーキングボタンとなっています。
セミオートマモデルなのでクラッチレバーはなし。シフト用パドルは人さし指と親指で挟み込むように使います。
手前の「+」を押し込めばシフトアップし……
奥の「-」を手前に引けばシフトダウンする仕組み。なお、6速セミオートマのシフトダウン操作はマシン任せでも可能です。
ハンドル右にはアクセルスロットル。スロットルの左には、キルスイッチ、クルーズコントロールボタン、セルスイッチ。
キルスイッチの奥にハザードランプボタンがあります。
サイドミラーはやや小ぶり。
タンク中央にガソリンコック。なお、Can-Am Spyderはハイオク指定です。
Can-Am Spyderの大きな特長は、リバースギアでバックできること。不安定な二輪ではほとんど採用されていないリバースギアですが、3輪で安定なCan-Am Spyderには搭載。左にある「R」ボタンを押しながらシフトパドルの「-」を押すと、ギアがリバースに入り後退できます。
Can-Am Spyderに乗り込むとこんな感じ。いわゆるアメリカンバイクに近いポジションです。
シート高は675mmですが、仮に「つま先立ち」状態になってもまったく問題なし。3輪トライクの安定性は大型バイクの取り回しとは雲泥の差で、楽ちんの極みです。
タンデムだとこんな感じ。
両手を肩にすると自然な感じ。
体を密着させてもOKです。
というわけでさっそく試乗開始。なお、ヘルメットは義務づけられていませんが、安全のために装着するのがオススメ。
Can-Am Spyderで風を切りながら開放感満載のライディングの様子は以下のムービーで確認できます。
普通免許でOKの逆トライク「Can-Am Spyder F3S」のドライビングスタイルはこんな感じ - YouTube
ドライバーが感じる世界はこんな感じ。
普通自動車免許でOKな逆トライク「Can-Am Spyder」で風を切るとこんな感じ - YouTube
Can-Am Spyderは直進安定性が抜群。トルクフルなエンジン特性もあり、バイクに乗ったことがない人でも楽しめる安心感があります。
逆トライクは前輪が2輪なので横幅の見切りが非常に良いため、一般的なリア2輪のトライクに比べて、障害物にぶつけやしないかというストレスは雲泥の差。さらに自動でシフトダウンしてくれるセミオートマの快適性は抜群で、制止時にはフットブレーキにのみ集中すればOKという楽ちんさで、すぐにドライブ操作には慣れられそう。
ドライブ感覚にも慣れてきたので市街地に進出。その後、気の向くままに幹線道路をばく進して、開放感満載でドライブする様子は以下のムービーで確認できます。
普通自動車免許でOKな逆トライク「Can-Am Spyder」で得られる爽快感がよく分かるムービー - YouTube
1330ccのエンジンは回せば爆発的な押し出しで、2速で法定速度に楽々足してしまうほど。高トルクなので都会の道なら3速ホールドでも楽々。普段は5速までしかギアは上げられず、60km/hを超えると6速に入れられる模様。Can-Am Spyder F3Sはクルーズコントロールも搭載しているので長距離走行も快適です。
また、ハンドルを切って曲がる感覚はバイクとは一味違い、曲がる方向の腕を手前に引きつつ外側の足を伸ばして踏ん張り体をやや内側に傾けて操縦するという独特のドライビングスタイルが必要です。コーナーでは遠心力に負けないように体を内側に入れてハングオンのような姿勢になるのがコツ。
楽ちんな直線と違い、コーナーワークでは積極的に体を動かす必要があるなど奥が深く、徐々に腕を上げつつ「乗りこなしていく」という楽しみがあります。新鮮な風を受けながら体を使っての独特なドライブスタイルは二輪とも四輪とも異なるドライビングプレジャーに満ちていました。
というわけで、あっという間に日没。ちなみに、フロントのヘッドライトは安全のため昼間の走行でも常時点灯状態です。
パワフルで扱いやすく、コーナーワークも楽しめるCan-Am Spyderは、二輪でもなく四輪でもない独立したジャンルの乗り物と言えそう。バイクのような開放感がありつつも、倒れる心配がない安心感があるため、スポーツ走行だけでなくのんびりツーリングを楽しむという用途にもぴったり。また、リバースギアの威力は絶大で、一度使うと二輪の取り回しの不便さに不満が漏れそうなくらい快適でした。
Can-Am Spyderは、スポーツ走行を楽しみたい人も、快適な長距離ツーリングを楽しみたい人も、近くのコンビニまでチョイ乗りしたい人にも「使える」マシンと言えそう。大型二輪の事故が多発している状況下で、リターンライダーからも高い支持を集めているそうです。
Can-Am Spyder F3Sは本体価格215万(税別)で、全国のBRPディーラーで購入できます。
Spyder F3-S | Can-Am Spyder JP | Can-Am Spyder Japan
http://jp.brp.com/spyder/spyder/sport-cruising/spyder-f3-s.html
・関連記事
普通自動車免許で乗れる1300ccエンジン&ド迫力フォルムの逆トライク「can-am Spyder」 - GIGAZINE
「まんま公道マリオカート」なミニカー「X-Kart」で東京都心を爆走してみました - GIGAZINE
2700円でオープンスポーツカー「スーパーセブン」がレンタルできるタイムズ「Service X」を使ってみました - GIGAZINE
スマホと連携する電動バイク「テラモーターズ A4000i」に試乗してきました - GIGAZINE
・関連コンテンツ