取材

スーパーカーのランボルギーニが満を持して発表するSUV「ウルス」日本プレミア発表会に行ってきました


「カウンタック」や「アヴェンタドール」、「ウラカン」など数々のスーパースポーツカーを世に送り出してきた名門ブランド・ランボルギーニが満を持して登場させた「ウルス」が日本でもついにお披露目されました。2018年2月6日に東京で行われたジャパンプレミアに潜入してどんなクルマになっているのか見てきました。

Lamborghini Urus(ウルス)
https://www.lamborghini.com/jp-en/モデル/urus

会場となった六本木の「泉ガーデン ギャラリー」に到着。入り口にはランボルギーニのエンブレムが入ったモノリスが立てられています。


入り口を入ると、そこには「URUS」と書かれたボード。


ボードの左右には、歴代ランボルギーニの名車の数々が並べられていました。左側には、ランボルギーニ初の量産市販車である「350GT」から、「400GT」、「ミウラ」「エスパーダ」と続き……


右側に続くと、そこには「ウラッコ」、そしてスーパーカーブームの火付け役「カウンタック」、「LM002」、そして「ディアブロ」が並んでいます。LM002は巨大なV12エンジンを搭載したオフロード走行も可能なクルマで、言うなれば「時代を先取りしすぎたランボルギーニのSUV」といえるモデル。「ウルス」にはこのLM002からとられたモチーフが盛り込まれています。


数々のボードの前には、大きなウルスの模型が置かれていました。


会場に入ると、そこには真っ黒なヴェールに覆われたウルス。ボンネットの上にはランボルギーニのエンブレムが映し出され、ヴェールの下からヘッドライトが鈍く光っているのが迫力満点でした。


会場には、GIGAZINEでもサーキット試乗を行ったことがあるウラカン・ペルフォルマンテと……


アヴェンタドールSのオープンモデル「アヴェンタドールSロードスター」が置かれて雰囲気を盛り上げていました。


ジャパンプレミアが始まると、ランボルギーニの開発部門のトップであるマウリツィオ・レッジャーニ氏や、CEOのステファノ・ドメニカリ氏らによるプレゼンが行われました。現在のランボルギーニの活躍を支えるそうそうたるメンバーの登壇からは、世界で2番目にランボルギーニを多く売る日本市場にかける意気込みが感じられるよう。


そしてついに、ウルスがアンヴェールされました。

「ランボルギーニ・ウルス」がジャパンプレミアでアンヴェールされる瞬間 - YouTube


姿を現したウルス。アンヴェールの瞬間は、会場から拍手が起こりました。


SUVでありながら、しっかりとランボルギーニのスーパーカーらしい雰囲気を放つウルス。フロントノーズ部分では、ウラカンやアヴェンタドールのような「ロー&ワイド」な感じとSUVらしいボリューム感をうまく両立させたデザイン処理が施されており、ボディサイドのボリューム感の出し方や、鋭角なラインを持つフェンダーのデザインにもアイデンティティを感じます。ちなみにボディ寸法は全長5112mm×全幅2016mm×全高1638mmで、車重は最大2200kg(乾燥重量)。


切れ上がるようなサイドラインと、後ろに向かって低く下がるルーフラインがシャープな印象のサイドビュー。前後フェンダーの角張ったデザイン処理は、まさにカウンタックのそれをモチーフにしたものとなっています。


ルーフからテールゲートにかけてのラインは、ワンモーションで切れ目のない滑らかなラインを持たせているとのこと。


車重が2トンを超えるスーパーSUV・ウルスを勢いよくに走らせるために、ものすごい大きさのブレーキが搭載されています。フロントには口径440mmという大口径カーボンセラミックディスクと、21インチサイズの巨大なブレーキキャリパー。しかもキャリパーはなんと10ポッドのピストンでブレーキを締め上げることで、強烈なブレーキングパワーを生み出します。


リアには370mm径のカーボンセラミックディスクと19インチの6ポッドキャリパーが装着されます。フロントを見てしまうと見劣りしてしまうように感じますが、スペック的にはこのブレーキがスーパーカーのフロントに搭載されていても全くおかしくない程のレベル。


エンジンルームはほぼ全面がカバーで覆われていますが、この下には650馬力ものパワーを絞り出す4リッターV8ツインターボエンジンが姿を潜めています。ランボルギーニ初となるターボエンジンが搭載された理由は「SUVとしての用途に合わせたため」とのことで、850Nmという強烈なトルクを2250回転から4500回転にわたって生み出すという扱いやすさ重視のセッティング。これにより、サーキット走行だけではなくオフロードなどの悪路でも高い走行性能を発揮できるようになっているとのこと。


運転席ドアを開けると、鮮やかなレッドと、一部カーボン素材による黒基調の内装が目に飛び込んできます。


室内デザインには、あちこちにランボルギーニらしい6角形のモチーフがちりばめられています。


ドライバーズシートに座ってしまいました。とても滑らかで柔らかなレザーの表面と、しっかりとして奥行きが深そうなクッションが非常に上質。約2600万円という価格に相応しい品質を感じさせます。


ステアリングの中央には、ランボルギーニのエンブレム。スポーク部分には各種コントロール系のボタンがレイアウトされています。ステアリングには振動を吸収するダンパーが装備されており、様々な走行シーンでも快適さを確保しているとのこと。


センターコンソールには、クルマの走行特性を変化させる「Tamburo (タンブーロ)」ドライブモードセレクターなどのスイッチがズラッと並んでいます。


一番手前、ハンドルから右手をスッと下ろしたところにはTamburoドライブモード・セレクターがあります。左側のレバーで「STRADA」「SPORT」「CORSA」といったランボルギーニではおなじみの走行モードに加え、追加された「NEVE (雪上)」モード、そしてオプションの「TERRA (オフロード)」「SABBIA (砂漠)」の2つのオフロード設定から走行モードを選ぶことが可能。そして右側のレバーとボタンは、トラクション設定やハンドリング特性、サスペンションセッティングを各3段階に切り替えて自分好みのセッティングを施すことが可能な「Ego Mode」用の操作系となっています。


Tamburoドライブモード・セレクターの上には、2つの画面にまたがるインフォテインメント・システムが置かれています。下側の画面には、エアコンやオーディオ、シートヒーターなどの操作が可能なほか、キーボードと手書き入力が可能なインターフェースとなっています。


上の画面はエンターテインメント用の主要インターフェースとなっており、メディアやナビゲーション、電話、車両の状態に関する情報などを表示し、操作もできるようになっています。


液晶ディスプレイによるメーターパネルは、近年のランボルギーニのデザインテイストがそのまま採用されています。


ドライブモードを「CORSA」に切り替えると、タコメーター(エンジン回転計)とギアセレクトをメインにする表示に切り替わります。画面右側には、車両にかかる前後左右のGを表示するメーターになっています。


ウルスのトランスミッションは8段ATとなっているため、クラッチペダルを持たない2ペダル使用となっています。つまり、ウルスは「AT限定でも乗れるランボルギーニ」となっています。


リアシートもフロントと同様に上質なレザーが使われています。ルーフの後端が下がっているのでリアシートの居住性が気になったのですが、実際に座ってみた感じではまず問題のないレベルに感じました。必ずしも「広々している」といえる車内空間ではないのが逆に「ランボルギーニらしさ」と感じられなくもありませんが、SUVに求める空間性の高さを求める人にとってはどのように感じられるのかが気になるところです。


内側からドアを開けると、ドアレバーがレッドに光る演出が施されているのに気がつきました。


当日は、レッジャーニ氏らによる車両説明なども行われました。プレゼン時に示されたスライドなどは、後ほどこの記事に追加する予定なのでお楽しみに。


◆「ランボルギーニ ウルス」主要諸元

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5112×2016×1638mm (全幅はミラーを除く)
ホイールベース:3003mm
車両重量:最大2200kg(乾燥重量)
最小回転径:11.8m(直径・平均値)
地上高:158~248mm (エアサスペンションにより可変)
ステアリングホイール(ロック・トゥ・ロック回転数):2.29
乗車定員:4~5人
トランク容量:616~1596リットル
駆動方式:AWD(電子制御全輪駆動:Fデフ、センターデフ(トルセン)、アクティブ・トルク・ベクタリングRデフを一体化)
エンジン:90°V型8気筒 ツインターボ DOHC32バルブ
ターボチャージャー:バイターボ・ツインスクロール
総排気量:3396cm³
トランスミッション:8速AT(トルコン)
最高出力:650hp (478kW)/6000rpm
最大トルク:850Nm/2250-4500rpm
パワーウェイトレシオ:3.38kg/HP
Fタイヤ:ピレリPゼロ 285/45 R21 最大285/35 R23
Rタイヤ:ピレリPゼロ 215/40 R21 最大325/30 R23
最高速度:305km/h
加速 0-100km/h:3.6秒
加速 0-200km/h:12.8秒
制動 100-0km/h:33.7m
価格:2574万0000円(税抜)

◆2018/02/06 21時45分追記
ジャパンプレミアの際に示されたプレゼンテーションの資料は以下のような感じでした。

ウルスは、ランボルギーニが大切にしてきた「ドライビング・エモーション」に加え、「日常での使いやすさ」と「多用途性」、そして「冒険性」を実現するモデル。


中央の六角形が示すように、ウルスはスポーツカーとSUVの両方が持つ特色を最大限にバランスさせたクルマとのこと。スポーツカーに対しては「ドライビング・ダイナミクス」と「エモーション」の点でやや引けをとりますが、SUVに対しては全ての点で同等かそれ以上の性能を示しているとのこと。


その実現のために多くのテクノロジーが盛り込まれています。砂漠でランボルギーニが砂煙を上げるという光景は、「時代を先取りしすぎたSUV」のLM002を知らなければものすごいギャップを感じます。


日常の使い勝手や悪路の走行性能を高めるため、エンジンはほぼフラットなトルク特性。2250回転でMAXのトルクを発生し、そのまま4500回転までフラットなトルク特性を示します。ツインターボで加給されるエンジンは、「リッターあたり163馬力」というとてつもない数値をたたき出します。


走行性を高めるために必須な軽量性にも取り組んでおり、1馬力あたりの重量を示す「3.38kg/ps」と、スーパーカー顔負けの数値。ただしこれは乾燥重量換算なので、実際の走行時の数値とは少し異なる可能性はあります。


ウルスには、ウラカンとアヴェンタドールに投入された技術と、さらにウルス独自の技術が組み込まれています。


ウルスでは、あらゆる状況で駆動力を最大限に発揮するために、前後駆動力配分を最適に変化させるTorsen(トルセン)の自動固定式センターデフと、左右のトルク配分を変えることで旋回能力を高める「アクティブ・トルク・ベクタリング」をリアデフに搭載。センターデフは標準状態で「40:60」の前後トルク配分ですが、状況に応じて「70:30」から「13:87」へと駆動力を配分。これとアクティブ・トルク・ベクタリングを組み合わせることで、スポーツ走行から悪路、そして雪道などさまざまな状況でドライバーの意図に応じた走行特性を実現。


また、アヴェンタドールSにも搭載されたリアホイールステアリングによる4輪操舵を行うことで、低速時の旋回性能と高速時の安定走行性を両立。リアタイアに最大で+/- 3.0度の切れ角を持たせることで、ホイールベースが標準から最大で600mm増減したのと同じ効果を発揮します。


さらに、「アダプティブ・エアサスペンション」により、路面やドライブ状況に応じて車高の上下調節が可能に。これに加えてダンパー内のバルブを電子制御することで状況に適したダンピング特性を実現。


ボディの左右のロールを制御するロールバーには、ランボルギーニ初となる電子機械式アクティブ・ロール・スタビライゼーション・システムを投入。CORSAモードではロールを抑制することで正確なハンドリングを実現しつつ、NEVE、TERRA、SABBIAの3つのオフロードモードでは、左右のサスペンションの自由度を高めることにより、高いロードホールディング性を確保。


前述のように、2トンを超える巨体を止めるために、フロント440mm/リア370mmという巨大なカーボンセラミックローターと、フロント10ポッド/リア6ポッドの強力なブレーキキャリパーを搭載。ハードブレーキング時には、熱でブレーキローターが赤く光るほどの制動力を持たせています。


これらの電子制御やハードウェアを制御して性能を高めるのがドライビング・ダイナミクス・コントロールシステムの「Tamburo」。


最大で6つの走行モードと、トラクション、ステアリング、サスペンションを好みの設定に調節できる「Ego Mode」を搭載し、ドライバーの思い通りの設定を施すことが可能。


走行性能もスーパーカーに肩を並べるほどの高さ。0-100km/h加速は3.6秒、0-200km/h加速が12.8秒という強烈な加速力を持ち、最高速は時速305km。また、強烈な制動力により、時速100kmからブレーキングするとわずか33.7メートルで停止することができるとのこと。


このように、まさに「スーパーカー」にふさわしい性能を身につけたランボルギーニ・ウルスはすでに予約受付が始まっており、日本では2018年春にもデリバリーが開始される予定。ただし、今から予約を入れてもバックオーダーが2020年まで埋まっているとのことです。

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in 取材,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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