博物館が一生懸命、標本をデジタル化してオンラインへ移行し誰でも閲覧可能にしている


生物の種や型などに学名を与える際に基礎となる模式標本をデジタル化して、オンラインで誰でも無料で3Dモデルを閲覧できるプロジェクトをベルリン自然史博物館が進めています。

ZooSphere Specimen Web Hub - Access interactive high resolution images sequences of biological collection objects
http://www.zoosphere.net/

Museum Specimens Find New Life Online - The New York Times
http://www.nytimes.com/2015/10/20/science/putting-museums-samples-of-life-on-the-internet.html

ベルリン自然史博物館では、6階建ての建物の大部分を標本が埋め尽くしていて、その中には長らく誰の目にも触れておらず、箱がホコリをかぶってしまった標本もあるそうです。


そんな現状を受けて、生物学者のAlexander Kroupa氏のグループは、ベルリン自然史博物館の所蔵しているすべての昆虫標本を3D化してオンラインで誰でも見られるようにするプロジェクトを進めています。

博物館の一角に設けられた撮影スタジオはこんな感じ。


撮影ブースの中央に標本を固定して……


さまざまな角度から標本を撮影しています。


1種類の昆虫に対して3000枚~5000枚の写真を撮影するそうです。


カメラは台の上に固定されていて、台座ごと動かしているようです。


こちらは撮影した標本の写真をPCに取り込んでチェック中。


標本を撮影した後は、さまざまな方向から撮影した画像を合成して3Dモデルを作成。昆虫の体を100以上の角度から見ることが可能となっています。なお、数GBもある超高解像度の3D画像をサクサク見るために、Google ストリートビューと似たアルゴリズムを採用しているそうです。


複数の模式標本を収集して時代ごとの分布を見ていくと、その地域の生態系がどのように変化してきたのかを知ることができます。また、古い標本を詳しく調べることで遺伝的多様性の変化を知り、絶滅の危機にひんしている生物の保護につなげることもできるとのこと。これまでは、模式標本を見るためには博物館を直接訪れる必要があり、さらには標本を取り出す度に昆虫の脚や羽などの小さな部位が取れてしまって、その種に関する情報が損なわれるというリスクがありました。


しかし、今回の標本デジタル化プロジェクトによって、模式標本をもとに超高解像度のデジタル画像を作ることができ、保全生態学の分野に大きく寄与できるかもしれないと期待されています。ベルリン自然史博物館は約1500万種の生物標本を保有していて、合計3万5000個の棚に収納してあるそうなのですが、記事作成時点では1万個の棚についてデジタル化を終えているとのこと。


標本のデジタル化に携わっているメンバーは、「デジタル化した標本を、研究者にも一般の人々にも見てもらいたい」と語っていて、実際に以下のサイトからベルリン自然史博物館の所蔵している標本の3Dモデルを見ることが可能となっています。記事作成時点ではハチやコガネムシの3Dモデルが多めですが、今後も新たな昆虫のデータが追加されていく予定とのことです。

ZooSphere Specimen Web Hub - Access interactive high resolution images sequences of biological collection objects
http://www.zoosphere.net/

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in ネットサービス,   サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log