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電気不要で安価に食べ物を保存できる冷蔵庫「WindChill」を学生が考案してデザイン大賞を受賞


既存の冷蔵庫よりも安価で、電気を使わずに食べ物を保存できる冷蔵庫「WindChill」を開発した大学生の研究チームが、バイオミミクリを活用した技術を表彰するBiomimicry Global Design Challengeで2015年の大賞を受賞しています。

WindChill - A Food Preservation Unit
http://challenge.biomimicry.org/en/custom/gallery/view/2576

Windchill refrigerator designed by Calgary students wins world prize - Calgary - CBC News
http://www.cbc.ca/news/canada/calgary/uofc-first-place-biomimicry-1.3273816

「WindChill」は、カナダ・カルガリー大学で自然界や生物の仕組みをまねて技術開発に活用するバイオミミクリという分野を研究している学生たちが、「貧困のある地域で電気を使わずに食べ物を保存する冷蔵庫」というコンセプトで開発を進めてきたもの。

初期のコンセプトイラストは以下のような感じで、食べ物を保存するボックス部分が地中に埋まっています。


90度回転させてみると、以下のようになっていて、冷蔵庫・吸気口・水に浸したコイルの3つの部品が確認できます。吸気口の構造は、サンゴやシロアリが空気を取り入れる器官を参考に作られたとのこと。


地下には冷却用の機構が埋め込まれています。


初期アイデアをもとに作られたプロトタイプはこんな感じ。まずは自然に吹いている風を利用して吸気口から暖かい空気を取り入れて、地中に埋め込まれた銀色のベンチュリ管を通して空気をパイプへ流します。地中の温度は地上よりも低いので、空気は移動している間に徐々に冷えていきます。


続いてパイプがコイル状にぐるぐる巻きになった「蒸発室」へ空気が移動します。蒸発室は地上に設置されていて、パイプは少量の水に浸してあり、太陽の熱で水が蒸発することによりパイプの中の空気が冷却されていく仕組み。ハチやカンガルー、ゾウなどの昆虫やほ乳類が体温を制御する体内構造からアイデアを得て作られたそうです。


冷却された空気は、パイプを通って再び地中へ移動します。


食料保存用の庫内に空気が到達する頃には、食料を長期間保存できる温度に空気が十分冷えているとのこと。


実際に使用している様子は以下のような感じで非常にコンパクトです。研究チームによれば、地中の機構は一度設置すればメンテナンス不要で使い続けることが可能だそうです。


なお、研究チームでは、庫内の温度をセ氏4.5度に保つことを目標として、今後も研究を進めていく予定とのことです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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