IKEAの家具を全自動で組み立ててくれるロボット

IKEAの家具はフラットパックに部品が詰まった組み立て家具となっており、さらに説明書は全世界共通で使われているためイラスト中心で文字情報がほとんどなく、説明がとにかく簡素すぎて組み立て終わったはずが「組み合わせる向きが逆だった」「部品が余っている……」という事態に陥ることがあります。そんな中、IKEAで家具を購入したあとに自分の手で作業しなくても全自動で家具を組み立ててくれるロボットの開発が進められています。

[1509.04806] A Framework for Fine Robotic Assembly
http://arxiv.org/abs/1509.04806

Even Robots Suck at Building Ikea Furniture
http://gizmodo.com/even-robots-suck-at-building-ikea-furniture-1733364474

以下のムービーでは、イスの脚と固定用の木製のダボを、2台の家具組み立てロボットを使って組み立てている様子を見ることができます。

Bimanual pin insertion - YouTube

画面中央に写っている2台の白く細長い機械が家具組み立てロボット。シンガポールの南洋(ナンヤン)理工大学機械航空学部の研究チームが開発したもので、モーションキャプチャや、「握る」という動作のプログラミングと力制御を組み合わせることで、ロボットのアームの精密な動きを可能にしているとのこと。

まずは左側のロボットが動き出し、アームを机に向かって下ろしていきます。2台のロボットは人間の両手を模して作られたそうです。

机に置かれている小さなダボを、正確な力制御でつかみ取ります。

続いて右側のロボットがアームを大きく広げながら机へ向かっていきます。

細い脚パーツをがっしりとつかんで……

左側のロボットの近くへ移動。

脚パーツの側面にはダボを差し込むための穴が3つ空いています。

ダボを脚パーツに向かって下ろして、下方向に力を加えながら前方にススススッとずらしていきます。

脚のふちまでダボを動かしていきます。

ダボを元の位置に戻して……

今度はダボを後方に移動させて、ダボが落ちた位置から脚パーツの幅を計測しています。ダボ用の穴は脚パーツの中心に空いているので、脚パーツの幅を測ることでダボを移動する正確な位置が分かるという仕組み。

ダボを左側へススッと移動。

ちょうど穴の上にダボが移動して、すっぽりと穴に入れ込むことができました。

そのままダボを押し込んで、固定することに成功。

南洋理工大学では全自動で家具を一から組み立てられるロボットの長期開発プロジェクトを計画しているとのことで、研究チームを率いるFrancisco Suarez-Ruiz氏は論文で「今回発表したロボットは、イスを全自動で組み立てるロボット開発の第一歩です」と述べています。

また、2013年にはマサチューセッツ工科大学の研究チームも「自動家具組み立てロボット」の試作品を公開しています。

IkeaBot: An Autonomous Multi-Robot Coordinated Furniture Assembly System - YouTube

キャタピラ付きの2台のオレンジ色のロボットが連携して家具を組み立てていくようです。左側のロボットが脚パーツを抱えて……

机の天板の裏側にセット。

もう1台のロボットが、リング状の腕を脚パーツにひっかけます。

すると、脚パーツがくるくると回って天板に固定されていきます。

脚パーツを固定している間に、片方のロボットは2本目の脚パーツを取りにいきます。

アームでがっしりとつかんで……

脚パーツの先端についているネジを天板の穴にはめこみます。

1本目と同様に、リング状の腕をもったロボットが脚パーツをぐるぐると回して固定していきます。

リング状の腕には内側にゴムバンドが取り付けられています。

リングの内側に棒状のパーツを入れてスイッチを入れると、ゴムバンドが締まって内側のパーツがぐるぐると回転する仕組み。

リングに入るサイズであればどのような材料でも回すことができ、例えば以下のように電球を回して固定することも可能です。

裏側はこんな感じ。

リング状の腕を使って机の脚を4本とも固定できたら、2台のロボットが天面を持ち上げて……

机を横向きに回転させます。

そのまま天面をつかんで右側へスススーっと移動。

机をひっくり返して、組み立て完了です。