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Intel CPUの10年分の進化を数値で徹底的に比較するとこうなる


世界最大の半導体メーカーであるIntelはPC用CPUで8割以上という圧倒的なシェアを獲得しており、Intelの技術の進化はCPUの進化と言っても過言ではない状況です。そんなCPUの直近10年間の進化を知るために、Intel CPUの性能を徹底的に数値で比較するとこうなります。

Then and Now: Almost 10 Years of Intel CPUs Compared - TechSpot
http://www.techspot.com/article/1039-ten-years-intel-cpu-compared/

TechSpotは、直近10年間のIntel CPUの性能を徹底比較するために、2006年にリリースされた「Core 2 Duo E6600」から、第4世代Intel Coreプロセッサーの「Core i7-4790K」までの合計13種類のCPUを徹底的に比較しました。なお、前モデルのSandy Bridgeから大幅な性能向上がなかった第3世代Intel Coreプロセッサー「Ivy Bridge」シリーズや、リリース間もない第5世代Intel Coreプロセッサー「Broadwell」シリーズは除外されています。


ベンチマークを測定する時に使用したCPU以外のパーツ構成は以下の通りです。


◆ベンチマークソフト
・Sandra 2015
SiSoftware Sandra 2015でメモリの帯域幅を比較するとこんな感じ。グラフの数値が大きいほどデータ転送速度が速いことを表しています。なお、AMD製の一部CPUも比較対象に挙げられています。


上記グラフからは、Core 2時代に7GB/sを上回るのに苦戦していたのに対して、Core iシリーズ以降、メモリの転送速度が劇的に向上したことが分かります。

・Cinebench
ベンチマークソフトCinebenchを使ってCPU性能を比較するとこんな感じ。グラフは上段がマルチスレッド、下段がシングルスレッドの性能を表しており、数値が大きいほど性能は高くなります。


Core i7-4790KとCore 2 Quad Q9650を比較すると、シングルスレッド性能が約2倍高速化しているのに対して、マルチスレッド性能は約3倍に高速化していることから明らかなとおり、シングルスレッド性能以上にマルチスレッド性能が向上していることが分かります。

・PCMark
ベンチマークソフトPCMark 7を使った性能比較。10年前のCore 2 Duo E6600と最新のCore i7-4790Kの性能差が小さいのは、GPU・GeForce GTX 980やSSD・MX200などの性能が影響しているからです。


・3D Particle Movement
3D Particle Movementによるベンチマーク。Core i5-4690KとCore i5-2500Kでほとんど結果は同じで、意外にもCore i7-870が健闘しています。


◆アプリケーション実行速度
・Excel 2013
Excel 2013でのワークロードを測定したグラフは以下の通り。グラフの数値は小さいほど処理が高速であることを示しています。Core 2からCore iシリーズへ進化したことで、Excelの処理速度が格段に向上しており、リリース当時のハイエンドモデルのCore 2 Quad Q9650ですらローエンドモデルのCeleron G1820にも及ばないという衝撃の結果に。


・7-zip Benchmark
ファイルの圧縮・展開の速度を測定する7-zip Benchmarkによる性能比較。Core i7-4790Kの大幅な性能アップが目立ちます。


・Photoshop CC
Adobe Photoshop CCのワークロードを測定するとこんな感じ。なお、グラフの数値は小さいほど処理が高速であることを示しています。Core 2 Quad Q9650がCeleron G1820の約60%の性能という結果やCore i3-4350の良好なスコアからは、Photoshopを使うならばCPUは新しい方が良いということが明らかです。


・Illustrator CC
Adobe Illustrator CCのワークロードを測定するとこんな感じ。なお、グラフの数値は小さいほど処理が高速であることを示しています。Illustratorでの処理はシングルスレッドでの動作がほとんどであるため、性能はほぼ世代順になっています。


◆エンコード性能
・HandBrake
HandBrakeで720pのMKV形式のムービーデータをMP4形式にエンコードした速度を比較すると以下のグラフの通り。世代の新しさもさることながら、マルチスレッド動作の性能が大きく影響しています。


・Hybrid x265
Hybrid x265を使って4K画質のYouTubeムービーをx265でエンコードするとこんな感じ。HandBrakeではCeleron G1820を上回ったCore 2 Quad Q9650でしたが、Hybrid x265では後塵を拝しています。


・X264 HD Benchmark 5.0.1
X264 HD Benchmark 5.0.1によるエンコード性能のベンチマーク。グラフ上段が2パス時の性能、グラフ下段が1パス時の性能を示しています。Pentium G3220とCore i7-870やCore i5-760とCeleron G1820の比較で分かるとおり、世代の新しいCPUは1パス性能で劣っても、2パス時の性能では逆転するということが起こりえます。


・TMPGEnc Video Maser Works
TMPGEnc Video Maser Worksを使ってMKV形式の1080pムービーデータをMPEG2形式に変換するのに必要な時間はこんな感じ。格安のローエンドモデルのCeleron G1820が、リリース当時のハイエンドモデルCore 2 Quad Q9650や同じくミドルレンジの価格対のCore i5-760などに勝つという結果に。


◆ゲーム性能
グラフィックボードにGeforce GTX 980を搭載した状態でゲーム性能を測定すると以下の通りです。

・Bioshock Infinite
Bioshock Infiniteでのフレームレートは、こんな感じ。グラフ上段が1680×1050解像度、下段が1920×1080解像度を示しています。Intel Core 2世代のCPUではフレームレートが伸び悩み、GTX980の性能をうまく引き出せないことが明らかです。


・Metro Redux
Metro Reduxでは、よりCPU性能がフレームレートに影響する結果となっています。


・トゥームレイダー
一方で、トゥームレイダーはCPUにそれほど依存しないゲームであることから、10年前の型落ちモデルであるCore 2 Duo E6600でもフレームレートが80fpsを上回り、快適にプレイできるという結果になりました。


・クライシス3
クライシス3の場合、Core iシリーズとCore 2シリーズに、超えられない絶対的な壁があるようです。


◆消費電力
CPUの性能は、高速処理能力だけで語られるものではなく、処理時の消費電力も重要です。もちろん、消費電力がより小さいほど、性能が高いと言えます。

・Prime95
CPUに負荷をかけるのに用いられる定番ソフトPrime95を実行したときのシステム全体の消費電力はこんな感じ。世代を経るごとに省電力化が果たされており、Core i7-4790Kは当時のミドルレンジCPUであるCore 2 Duo E6600程度の消費電力となっています。


なお、システム全体の消費電力傾向は、ムービーエンコード実行時や他のベンチマークソフト実行時でもほぼ同じ傾向を示しています。


10年前にミドルレンジのCPU「Core 2 Duo E6600」の小売り価格は316ドル(当時のレートで約3万6000円)でしたが、2014年に発売されたハイエンドモデルの「Core i7-4790K」は339ドル(当時のレートで約3万5000円)と、CPUは高性能化とともに低価格化の傾向にあります。いよいよ2015年8月5日にリリースされる第6世代Intel Coreプロセッサー「Skylake」では、どのように性能向上が果たされているのか、要注目です。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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