LRT化して利便性が大幅に向上した「富山ライトレール富山港線」に乗ってきた
「LRT」(Light rail transit)は日本語だと「軽量軌道交通」と訳される言葉で、一般的な鉄道よりは小さいものの、バスよりは大きい「軽量級の輸送力」を持つ交通機関のこと。そのLRTの事例として日本で有名なのが、JR富山港線をLRT化した「富山ライトレール富山港線」です。
せっかく富山まで行って富山地方鉄道・富山市内軌道線にまで乗っておいて、日本のLRTで著名な存在である富山ライトレール富山港線に乗らないという話はないだろうということで、ちょっと足を伸ばして岩瀬浜まで行ったりしてみました。
富山ライトレール株式会社
http://www.t-lr.co.jp/
◆富山駅北停留所~奥田中学校前駅
まずは、JRから富山ライトレールに移管されたときに経路が変更され、併用軌道になった富山駅北停留所から奥田中学校前駅までを辿ってみます。富山駅をいったん南側に出て、地下道経由で北口へ向かいます。
こんな地下広場を経て……
駅の北側に到着。
通りからちょっと斜めに引き込まれているようなこの部分が、富山ライトレールの富山駅北停留場。場所の点で考えると、駅の外へ出ることなく乗り換えられたJR時代の方が便利かもしれませんが、そもそも列車の運行本数が富山ライトレールに移管されてから約3倍に増えているので、利便性は比較にならないレベル。乗客が少ないから本数を減らし、本数が少ないから乗客が他の交通機関に逃げる……という不幸なスパイラルから逃れているのは素晴らしいことです。
車両はコレ、「ポートラム」の愛称があるTLR0600形。
ここから牛島町交差点までは線路が道路の西側に寄せてあって、軌間が緑地化されています。
牛島町の交差点を右折すると、線路は道路(市道綾田北代線)の中央へ。
やがて、歩道の右手側に大きなビルが見えてきます。これがインテックの本社ビル「タワー111」。
その目の前にインテック本社前停留場があります。これはネーミングライツをインテックが購入したもので、ここの他に大阪屋がネーミングライツを購入した粟島(大阪屋ショップ前)駅があります。
川を越えてなおも直進。この併用軌道区間は4車線あった市道を2車線化して作ったということで、車の渋滞がかなりのものになっていました。
さらに進むと、直進する市道と分かれて線路が左折。
左折してすぐのところにあるのが奥田中学校前駅です。
周辺地図はこんな感じ。地図で見てみると、駅から右側に点線が続いていて緩いカーブを描いているのがわかります。これはLRT化されるまでの旧線跡。
駅の北側から撮影するとこんな感じで、現在の線路とは別に、まっすぐ繋がっていた昔の線路の姿が浮かぶかのような直線が見えてきます。
旧線跡の車止め側から駅を見るとこんな感じ。かつては市道に踏切があり、奥田中学校前駅はありませんでした。駅ができたのはLRT化された時のこと。
奥田中学校前からインテック本社前へとポートラムが走っていくムービーはこんな感じ。
富山ライトレール 奥田中学校前→インテック本社前 - YouTube
◆奥田中学校前~富山口廃線跡
主目的からは外れますが、そう長くない距離なので廃線跡を辿ってみました。線路は奥田中学校の西側を抜けて、緩いカーブを描いています。
しかし、川を渡ったところから先は駐車場用地などに転用されていました。
道路としては、ここでおしまい。
さらに進んでいくと、フェンスで覆われた廃線跡が再度出現。
しかし、再び駐車場の用地と化してしまいました。ちょうど中央の駐車スペースではない通路部分に線路があった模様です。
辿っていくと、その先も月極駐車場になっていましたが……
踏切だった部分がアスファルトから顔を覗かせていました。
さらに富山側に歩いて行くと、もともとは富山口の駅があり、北陸本線と併走しつつ富山駅に至っていたはずなのですが、富山駅高架化に伴う仮線を設けるための用地として使っているようでした。
振り返ると、廃線跡の大部分は駐車場として再利用されていることがわかります。
◆岩瀬浜
先ほど訪れた奥田中学校前から北の線路は、JR富山港線時代のものをそのまま利用しています。
ということで途中には寄らず、終点の岩瀬浜駅へ。
ここより先はありません。
富山駅北へと帰っていく電車
岩瀬浜から富山駅北までは、7.6kmを24分かけて走ります。都電なら早稲田から飛鳥山までが23分(5.7km)、阪堺電車なら天王寺駅前から我孫子道までが21分(6.0km)です。
時刻表はこんな感じ、朝ラッシュの7時台は10分に1本、それ以外は基本的に15分に1本ペース。
駅の待合スペースには折りたたみ式のイスが設置されていました。
駅の周りをうろうろしていると、次のポートラムが岩瀬浜駅に到着しました。
富山ライトレール 岩瀬浜に到着したポートラム - YouTube
車内はこんな感じで、超低床車両なので車いすでもスッと乗り降りできるのは富山市内軌道線の新型車両と同じ。
ただ、イスが進行方向に対して交差する形のクロスシート配置になっているのが特徴的でした。
これは岩瀬浜駅停車中に撮影したので無人ですが、富山駅北まで乗ったときは人がギッシリだったので、クロスシートの間に立つのはちょっと辛いものがありました。混雑時には富山市内軌道線のようなロングシート配置の方が困らないような気がします。
富山市内軌道線のところで触れたとおり、現在、富山駅周辺整備事業が進行中。事業完成の暁には、現在富山駅北の停留場に発着している富山ライトレールは高架下にある富山市内軌道線の富山駅停留場に乗り入れることになります。岩瀬浜から大学前・南富山駅前まで相互乗り入れするような運用になるのかはわかりませんが、事業完成が楽しみです。
利便性の向上により定期利用客をがっちりと掴んでいるようで、国土交通省発表の平成24年度鉄道統計年報によると、旅客輸送人員合計は194万9000人で前年比101%の数字が出ています。
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