取材

繁華街に新線を作った路面電車・富山地方鉄道富山市内軌道線に乗ってきた


3月14日に北陸新幹線・長野~金沢間が開業し、東京から富山まで最速2時間8分・東京から金沢まで最速2時間28分で着けるようになりました。この新幹線開業に伴っての大きな変化の1つが、富山駅高架下に富山地方鉄道・富山市内軌道線が乗り入れたこと。1960年代以降の車社会化により、路面電車網は大幅に縮小されましたが、その波を生き残った富山市内軌道線は、2009年になって市内中心部に新たな路線を敷設、さらにこうして富山駅への乗り入れも果たすなど、大きな存在感を見せています。JR富山港線を移管して成功している富山ライトレールの存在もあって富山は路面電車で成功しているイメージがあったので、いったい市内はどうなっているのか見に行ってきました。

◆富山駅停留場
富山駅南側に到着


見上げると北陸新幹線が停車中。


駅コンコースはこんな感じ。正面にあるのがあいの風とやま鉄道&JRの改札です。


あいの風とやま鉄道の改札を出ると、このように左側が新幹線のりば、正面がバス・タクシーのりば、右側が路面電車のりばと案内が出ています。


つまり、新幹線から降りた人は……


そのまままっすぐ行けば路面電車(富山地方鉄道・富山市内軌道線)に乗れる、という接続になっています。


あいの風とやま鉄道・JRの改札(左端)を出て、路面電車に乗るまではわずかに1分の距離。


路面電車自体の運行本数もかなり多く、南富山駅前方面の場合、日中は5分に1本のペース。


大学前方面は10分に1本、環状線は約15分に1本ほど。


現在、富山駅は周辺整備事業の真っ最中。新幹線の開業とともに、一部在来線の高架化が完了していて、今後3年ほどかけて、残る在来線も高架化を実現。その後、地平の線路を撤去して、北口駅前広場の整理が行われると同時に、現在富山駅北まで来ている富山ライトレールがこの高架下の富山駅停留場に接続することになっています。


建物の外から見ると、電停がすっぽりと建物内に収まっているのがわかります。乗換駅は徒歩3分ぐらいで行き来できる圏内にあれば十分便利だと言えますが、駅の建物内にあって雨が降っていても濡れることなく乗換可能なこの富山駅停留場の利便性はかなりのものです。


なお、広島でも今後、広島電鉄広島駅電停を駅ビル内に設置する予定があるので、富山と同じような乗換ができるようになるはず。一方、熊本は駅構内への乗り入れは断念しています。

ちなみに、駅の中に乗り入れるまで乗換駅だったのは電鉄富山駅・エスタ前停留場。今でも、富山駅停留場まで乗っていくと信号に引っかかって時間がかかることがあるため、降りて歩いていく人の姿が見られました。


運行車両は現在、7000形・8000形・9000形・T100形の4種類が使われています。写真左が7000形、右が8000形、オールドスタイルの「路面電車」というイメージ通りの車輌です。


これがT100形、「サントラム」の愛称があります。


超低床車両でフラットな車内は乗り降りがしやすい作り。


窓際の座席の一部は跳ね上げ式で、車いすの固定場所になります。


◆環状線
かつて富山市内軌道線には環状線になっている部分があったのですが、車社会化の中で路線廃止が相次ぎ、1973年の路線廃止によって環状運転はできなくなりました。それが、21世紀に入ってから、富山市が路面電車を活かす方針の一環として環状線の復活を打ち出し、2009年、現在の環状線が敷設されました。

大学前方面と環状線が分かれる丸の内停留場。現在、電車が右折しているのが大学前に繋がる線路。


つまり、ここで左折する線路は新たに敷設されたものだということです。環状線は丸の内から西町方面への一方通行です。


交差点を左に曲がると、左手側に富山城址公園があります。


その前をクネクネと走る環状線。右折レーンを避けて作るとこうなるのはやむを得ないところ。


セントラムと富山城。ただし、いかにも城っぽい建物は昭和29年に城郭を模して建てられた富山市郷土博物館です。


この公園の前で、環状線は右折します。

富山地方鉄道・富山市内軌道線 丸の内→国際会議場前の右折 - YouTube


右折してすぐのところにあるのが国際会議場前停留場。


まさに目の前に国際会議場があります。


その次は大手モール停留場。


案内マップで見ると、いろいろなお店があることになっていますが……


現在は新たな商業施設の建設中でした。


この先で環状線は再び左折し、平和通りの真ん中を走ります。


一番町交差点の角にあるのが複合商業施設「総曲輪フェリオ」。


総曲輪フェリオの西側を通る城址大通りから、先ほどの大手モール停留場方面を見たところはこんな感じ。


軌道沿いに戻って歩き続けると、総曲輪フェリオとその隣のグランドプラザとの間あたりにグランドプラザ前停留場があります。平和通りはかなり交通量が多めなので、バスに比べて定時運行性の高い路面電車が生きる場面なのかもしれませんが、車に乗っている人からすれば、その線路をはがして車線を増やしてくれれば……という気持ちかも。


グランドプラザを過ぎると、西町の交差点で環状線は左折し、南富山駅前からの線路に合流します。


南富山駅前方面から来た電車が西町停留場に停車中。この停留場は交差点の南側にあるので、環状線の電車は止まれません。


そのため、交差点北側に中町(西町北)停留場が新設されました。


総曲輪フェリオの北側を通るアーケード商店街はこの停留場の横まで繋がっています。


ちなみに、南富山駅前・大学前方面と、環状線との間には乗り継ぎ割引があって……


丸の内・中町で下車時に運賃を支払い、乗り継ぐ旨を伝えるとこんな乗り継ぎ券がもらえます。指定乗り継ぎパターンの場合、30分以内なら2回目の乗車運賃が無料になります。


環状線沿いを歩いてみると、よくぞこんな市内のど真ん中に新たな路線を作ったものだと感心します。路面電車が交通渋滞の原因だとして廃止させられていた1960年代・1970年代には信じられない話ですが、電車を利用している人はお年寄り・学生・会社勤めの人・買い物利用の人とかなり幅が広く、富山市の立てた方針は間違っていなかったといえそう。

◆南富山駅前
せっかくなので、もう1つの連絡駅である南富山駅前にも行ってみることにしました。ここは市内軌道線と富山地方鉄道の不二越・上滝線との連絡駅です。

富山駅に隣接する富山地方鉄道・電鉄富山駅。


ここから不二越・上滝線の岩峅寺行きに乗車。


ホームにはヘッドマーク置き場が。


電鉄富山駅を発車すると、しばらくは北陸新幹線の高架沿いに走りますが、やがて離れていき……


稲荷町駅では車窓の左手側に寺田方面へ向かう本線が分かれていきます。


駅には車両基地が設置されているので、いろんな車両を見ることができます。これは16010形、もともとは西武鉄道の特急「レッドアロー」として使われていた車両です。


10分ほどで南富山に到着。


振り返ると、ちょうど路面電車の南富山駅前行きが、電鉄富山に向けて発車した16010形とすれ違っているところでした。


南富山駅と南富山駅前電停はぴたっと隣接しています。


駅前はこんな感じ


駐車場なのか駅前広場なのかちょっとよくわからない状態ですが……


ここも富山駅停留所と同じように、駅舎と停留場がほぼ一体化していました。ちなみに、この南富山から先、岩峅寺まで直通運転が検討されているとのことで、こんなにも路面電車に力を入れている行政はないのではないかと感じるほど。


富山へは鉄道メインで行ってみるというのも面白いので、旅する機会がある人は計画してみて下さい。

・つづき
LRT化して利便性が大幅に向上した「富山ライトレール富山港線」に乗ってきた - GIGAZINE

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in 取材,   乗り物,   動画, Posted by logc_nt