蒸気を吸引する「電子タバコ」のフレーバーは安全なのか?
By Monica Grigsby
電子タバコは液体フレーバーを蒸気化させて水蒸気を吸引するという器具で、レッドブル味・アップル味・タバコ味などのさまざまなフレーバーがあります。そんな電子タバコの液体フレーバーに含まれる成分を分析したところ、フレーバーに含まれる化学物質の濃度が人体にとって安全ではない可能性が示されました。
Flavour chemicals in electronic cigarette fluids -- Tierney et al. -- Tobacco Control
http://tobaccocontrol.bmj.com/content/early/2015/03/27/tobaccocontrol-2014-052175
E-Cigarette Flavoring Chemicals May Pose Risks When Inhaled - Forbes
http://www.forbes.com/sites/tarahaelle/2015/04/16/e-cigarette-flavoring-chemicals-may-pose-risks-when-inhaled/
ポートランド州立大学環境工学科の研究チームは、「バブルガム」「コットンキャンディ」「チョコレート」「グレープ」「タバコ」「メンソール」といった30種類近くの電子タバコのフレーバーに含まれる有機化合物を、ガスクロマトグラフィー質量分析法で調査した研究結果を発表しています。0.6~2.4%(6~24mg/ml)のニコチン含有量を表示しているフレーバーを分析した結果、全体の1%~4%(10~40mg/ml)の化学物質が検出されました。ほとんどの製品にバニリンとエチルバニリンなどの香気化学物質が使われており、多くのフレーバーは吸引すると有害な「一次刺激物質」のアルデヒドを含有していることが分かりました。
By Jonny Williams
研究者は「いくつかのフレーバーのアルデヒドの濃度は安全ではない可能性がある」と述べており、電子タバコは禁煙指定エリアでも喫煙できる場合がありますが、はき出される気体中に「職場暴露限界(WEL)」の許容値を1日に2回も超える高濃度の化学物質を含むフレーバーもいくつか見つかっています。液体を気化しても水分含有量の少ない「蒸気」であるため、化学物質が高濃度になるものと見られており、ただちに人体に有害な影響を与えるレベルではないものの、長期的な使用に対して安全性に懸念が残るとのこと。
By TBEC Review
電子タバコのフレーバーは25年以上の使用データが存在しないため、長期的な健康に対する影響が詳しく分かっていません。ポートランド州の研究者は「電子タバコのメーカーはフレーバーに含まれる化学物質をラベルに正しく表示して、『気体中」』に含まれる化学物質の有害性や暴露限界値が周知する必要があります」と話しています。
・関連記事
禁煙を補助する「リキッド式電子タバコ」をレッドブル味・アップル味など各種フレーバーで1週間試してみた - GIGAZINE
タバコを吸いたくなる前にニコチン投与する新しい禁煙ウェアラブルデバイス「SmartStop」が開発中 - GIGAZINE
中国製の電子タバコにマルウェアが仕組まれていた可能性 - GIGAZINE
喫煙者のうち3人中2人がタバコが原因で死亡 - GIGAZINE
タバコにより年間約35兆円の損害を出すアメリカが10代の喫煙対策に乗り出す - GIGAZINE
・関連コンテンツ