電子タバコを吸うと数百もの免疫系遺伝子がシャットダウンされる

By Ecig Click

電子タバコが「禁煙補助薬」として認可されるなど、液体フレーバーを蒸気化して吸引する電子タバコは、タールを燃焼させる従来のタバコよりも健康への悪影響が少ないと言われています。とはいえ電子タバコは市場に登場して間がないため、長期的影響を調査した研究が出揃っていない状態なのですが、新たに電子タバコ使用者を調査した研究が公開され、電子タバコを吸引すると数百もの免疫系遺伝子の活動が低下してしまうことが判明しました。

Abstract: Pulmonary Effects of Exposure to Tobacco Smoke and New Tobacco Products (2016 AAAS Annual Meeting (February 11-15, 2016))
https://aaas.confex.com/aaas/2016/webprogram/Paper16208.html


E-cigs shut down hundreds of immune system genes—regular cigs don’t | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/02/e-cigs-shut-down-hundreds-of-immune-system-genes-regular-cigs-dont/

ノースカロライナ大学チャペルヒル校のイローナ・ジャスパース氏らの研究チームは、タバコ喫煙者・電子タバコ喫煙者・非喫煙者の12人ずつのグループを集め、3週間にわたって鼻の粘膜をサンプリングして遺伝データの比較調査を行いました。鼻の粘膜を使用することで、サンプルを採取しづらい肺の状態を調査する手がかりにもなるとのこと。

サンプルから調査されたのは約600の免疫系統に関する遺伝子。従来のタバコ喫煙者と非喫煙者を調査した結果では、タバコ喫煙者の53の遺伝子の活動が非喫煙者に比べて弱まっていることが判明し、従来のタバコを喫煙するだけでも、いくつかの免疫系統に悪影響があることがわかりました。さらに電子タバコ喫煙者に関しては、タバコ喫煙者と同じ53の遺伝子活動に悪影響が見られただけにとどまらず、非喫煙者に比べて合計で358の免疫遺伝子の活動が弱体化していることが判明しました。

これを受けたジャスパース氏の研究チームは、健康な参加者から好中球マクロファージといった細菌類を攻撃する機能を持つ免疫細胞だけを採取し、電子タバコの液体フレーバーに浸して反応を見ました。その実験では、液体フレーバーの中で免疫細胞の活動が低下したため、電子タバコを喫煙すると細菌による攻撃を防げなくなり、感染症にかかりやすくなることが推察されるとのこと。

By Lindsay Fox

なお、液体フレーバーの種類によっても免疫遺伝子に対する影響が異なり、シナモンやバターのリキッドが最も悪影響が強かったそうです。これらの液体フレーバーに含まれる添加物は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が認定する食品添加物に与えられる安全基準合格証「GRAS」で確認済みの物質ですが、吸引時の影響がテストされたわけではありません。ジャスパー氏は「電子タバコの液体フレーバーに使われるような香料を吸引することで、人体に何が起きるのか分かっていないことが多く、我々は香料の毒性を理解するための入り口に立っているとことです」と話しています。

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