「やることリスト」の逆、「やらないことリスト」の重要性

by Jonf728

目標を達成するために「やることリスト」を作成し、1つずつタスクをこなしていく人も多いはずですが、なかなか事が進まずに挫折することもあります。そんな時こそ重要なのが「やることリスト」ならぬ「やらないことリスト」で、海外ニュースメディアのTIMEがやらないことリストの重要性を説くとともに、自分がやらないことリストを作成すべき状況にいるのか判断できる指針も公開しています。

Forget the ‘To-Do’ List, You Need a ‘Stop Doing’ List | TIME
http://time.com/3724744/need-stop-doing-list/

キャリア・カウンセラーのウィリアム・ライリー氏が「How to Avoid Work」という本の中で「誰かが『これをやりたい』と言っていることをやらなかった時、その人の中には「時間がない」「お金がない」「家族が嫌がる」という3つの理由のどれかが存在する」と語っているように、人は「自分がやらないこと」について言い訳しがち。しかし、「時間」というものについて言うと、もちろん時間は行動を起こすための重要な要素ですが、誰かから奪ったり貯蓄したりできないので、全ての人に対してこれ以上になく平等なものです。そのため、もし、やりたいことがあるのに「時間がない」と感じるならば、「自分は他の人と同様に1日24時間という時間を持っている」という事実を思い出すべきで、その上で「時間がない」と感じるかどうかは、自分がその24時間をどう過ごすかにかかっているとのこと。

by h080

そして「限りある時間をどう過ごすか」という決定において重要なのが、「何をやらないのか」という判断。ピーター・ドラッカー氏の教え子であり経営コンサルタントのジム・コリンズ氏は、「多くの人は何かを『減らす』という決定よりも『増やす』決定を重視しがちですが、本当に重要なのは『減らすこと』だ」と主張しています。コリンズ氏らのチームが、平凡な企業が非凡な企業になったり、よい企業が偉大な企業になったり、という11の会社の事例について調査したところ、本当に重大な決断とは「何を行うか」ではなく「何をやめるか」だ、という結論が出たとのこと。

by Daniel Lee

コリンズ氏が提案する思考実験に「朝起きて2つの電話を受け取った。1本目は自分が2000万ドル(約24億円)を相続したというもの、2本目は自分が病に冒され余命10年だというものだった。これからあなたは何をして、何をするのをやめますか？」という質問があります。自分が変わりたいと思っている時は、この質問に答えることで「自分がどうやって今日一日の時間を過ごしたいのか」を見直すことができるわけです。

さらに、コリンズ氏が「軌道修正に使える」として提案する質問は以下の通り。

1：あなたが情熱を燃やしているのは何か

2：あなたが「自分はこれを行うために生まれてきた」と思うことは何か

3：あなたは何をして生計を立てられると思うか

上記の3つ質問は自分の行動が「本当に自分が時間を割くべきこと」からどれくらいそれてしまっているかを確認する手助けになります。質問を自問自答することで「今やっている自分の行動は的確か？」「行動を修正すべきか？」という判断が行えるわけです。

by Justin See

もし自分の行動の50％が上記のリストの回答から離れてしまっているとしたら、「やらないことリスト」を作るべき。しかし、この時、研究者のカル・ニューポート氏が「情熱を追え」というアドバイスの罠について語っているように、やりたいことをゼロから考えるのではなく、「今すぐ実行可能なことのうち、最も興味を抱くこと」といったように限りある選択肢から選ぶことも大切です。ミシガン大学の研究によると、同一の仕事に従事した年数が長いほど、人は自分の仕事を「天職である」と感じるということが分かっており、やみくもに「情熱を追う！」と行動するのではなく、技術と知識の形成を優先して、その技術を使って次にできることを増やしていく、という方法が有効とされています。