「全自動運転カー以外の車両が違法になる未来が来る」とテスラのマスクCEOが語る

By Maurizio Pesce

2014年9月には日本でもデリバリーが開始された「モデルS」を開発・販売するEVメーカー・テスラを率いるイーロン・マスクCEOが、自動運転カーの未来について「しばらく先の未来になると、人間が運転する自動車は法的に禁止されることになるでしょう(In the distant future people may outlaw driver cars. )」と語っていたことが明らかになりました。

Tesla’s Elon Musk Says Autonomous Driving Not All That Hard to Achieve - WSJ
http://www.wsj.com/articles/teslas-elon-musk-says-autonomous-driving-not-all-that-hard-to-achieve-1426624848

Elon Musk believes non-self-driving cars may one day be outlawed | Ars Technica
http://arstechnica.com/cars/2015/03/elon-musk-believes-non-self-driving-cars-may-one-day-be-outlawed/

この発言は、半導体メーカーのNVIDIAが開催した「GPUテクノロジー・カンファレンス(GTC)」の場で飛び出したもの。カンファレンスの冒頭で基調講演を行ったNVIDIAのジェン・スン・ファンCEOは、アメリカ・DARPA(国防高等研究計画局)が開発する車両などの例を示して同社のプロセッサが自動運転カーの制御に用いられていることに言及し、次いでマスク氏を壇上へと招き入れました。

「打ち合わせなしにざっくばらんに語りましょう」というトークセッションの中で、ファン氏とマスク氏は以下のように語っています。

ファン氏:あなたは以前、「AI(人工知能)は核兵器よりも脅威の存在になる。それは悪魔のようなものだ」と語っていましたね。どのようにして自動運転カーとディープラーニングによるAIの可能性とを結びつけ、合理的に説明するつもりなのでしょう?

マスク氏:自動運転カーについて心配する必要はありません。自動運転カーは人々が思っているよりも簡単です。昔はあらゆるエレベーターにオペレーターがついて操縦していましたが、いまでは電気回路がその役目を担っています。しばらく先の未来がやってくると、人々は『危険すぎるから』という理由で人間が運転する車両を法的に禁止するでしょう」

Huang: You were quoted as saying artificial intelligence is more dangerous than nuclear weapons, like a demon. How do you consolidate and rationalize that with deep learning’s potential?

Musk: We don’t have to worry about autonomous cars. Doing self-driving is easier than people think. There used to be elevator operators, but now we’ve developed circuitry so they go where you want to go. In the distant future, they may outlaw driven cars because they’re too dangerous.

こう語るマスク氏はまた、「重量が2トンもある『デスマシーン(Death Machine)』を人間に運転させるべきではない」とも述べています。


自動運転カーが普及することで、さらなるメリットが生じる可能性についても言及。現在の車両は高い衝突安全性や乗員の保護を実現するために多くの技術が車両に追加されている状態で、これが重量の増加にもつながっていると指摘。自動運転カーが高い安全性を示すことが十分に認知されれば、必要以上の安全装備を省くことで、軽量で走行効率の高い車両の実現にもつながるとしています。

驚きの未来像を語るマスク氏ですが、民間企業による宇宙旅行を実現しようとしているマスク氏の言葉からは一定の説得力を感じてしまうところ。しかし、実際問題として、通常の人間が運転する車両との共存を考えると、普及には一定の期間が不可欠であるのも一方では事実として認識している模様です。

マスク氏はセッションの中で、自動運転カーと既存の車両が同時に走行することについても触れています。例えば全ての車両が自動運転カーであれば、相互通信によるメッシュネットワークを構築することで集団として安全で効率的な走行環境を作り上げることが可能になるのですが、この中に人間が運転する「手動運転カー」が1台でも入り込むと、この協調体制が一気に崩壊。不測の事態を避けるために従来どおりにたくさんの車間距離を確保する非効率的な走行に逆戻りしてしまうという難しさを語っています。

さらにマスク氏は、大部分の車両が自動運転カーに入れ替わるまでの一定の期間が必要とされることを指摘。現在、世界には20億台とも言われる自動車が存在していますが、それらは全て人間が運転する「手動運転カー」です。一方で、現時点で世界中で1年間に製造される自動車は1億台足らずであり、仮にその全てが自動運転カーであったとしてもほとんどの車両が入れ替わるまでには20年以上の長い年月が必要となります。

Googleの自動運転カーはもちろん、ニッサントヨタBMWアウディメルセデス・ベンツなど各国の自動車メーカーが開発競争を繰り広げる自動運転カーの中には既に完成に近い領域にまで高められているものもあり、実用化は時間の問題と言っても過言ではない状況。実際に「手動運転カー」が違法化されることはまだまだ先のことになりそうですが、自動車の歴史が始まって以来の大きな変革を目の当たりにするのは、さほど遠くない未来のことといえそうです。

マスク氏とファン氏のトークセッションは、以下のムービーで1時間36分の時点から見ることができます。


また、トークセッションの抜粋を以下のNVIDIAのブログで読むことも可能です。

NVIDIA Details Titan X and Next-Gen GPU Architecture, Introduces DIGITS, and DevBox
http://blogs.nvidia.com/blog/2015/03/16/live-gtc/

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