ハードウェア

Intelが新SoC「Atom x3」でライバルのARMグラフィックチップを採用した理由とは?


Intelがモバイル向け新SoC「Atom」シリーズの「x3」「x5」「x7」を発表しましたが、なんとエントリー向けモデル「x3」はグラフィックにARM製チップを採用しています。IntelがライバルARMのグラフィックを採用したのには意外な理由がありそうです。

Intel Launches New Mobile SoCs, LTE Solution
http://newsroom.intel.com/community/intel_newsroom/blog/2015/03/02/intel-launches-new-mobile-socs-lte-solution

Intel taps ARM graphics for new x86 smartphone chip, in a marriage of convenience
http://www.pcworld.com/article/2891257/in-marriage-of-convenience-intel-taps-arm-graphics-in-new-x86-smartphone-chip.html

Intel considers Windows 10-based phones "very important" for its latest series of processors
http://www.neowin.net/news/intel-considers-windows-10-based-phones-very-important-for-its-latest-series-of-processors

Intelは従来の複雑で性能差をユーザーが判別しづらいネーミングを改め、新SoCとしてAtom X3/x5/x7という性能別のネーミングルールを採用することをすでに発表していました。これはエントリー向け、ミドルレンジ、ハイエンドをそれぞれ3/5/7のナンバーリングで大別することで、ユーザーが製品名から性能を判断できるようにという配慮で、PC向けCPUのCoreシリーズと同様のネーミングルールです。


2015年3月3日、Intelはスペインで開催中のMobile World Congress(MWC2015)で、Atom X3/x5/x7について正式に発表。75ドル(約9000円)以下の超低価格スマートフォンから149ドル(約1万8000円)までにはx3を、249ドル(約3万円)までのタブレットなどのWi-Fi専用機にはx5を、250ドル(約3万円)以上のセルラー端末にx5とx7が採用されると想定しており、Intelが価格帯に応じてブランドネームを変更していることが分かります。



◆Atom x5/x7
スマートフォンでの採用が予想される主力製品がAtom x5とAtom x7。


コードネーム「Cherry Trail」で知られるAtom x5/x7は14nmプロセスで製造され、64ビット対応のCPUでグラフィックには第8世代のIntelグラフィックを採用。OSはAndroidだけでなくフル機能のデスクトップ版Windows 10にも対応します。


AirmontアーキテクチャのデュアルコアCPU×2でクアッドコアという構成。


Atom x7-8700はGPU演算ユニット「Execution Unit」を16基搭載し、従来のBay TrailアーキテクチャのAtom Z3795比でGFXBenchで約2倍のグラフィック性能を達成するとのこと。


◆Atom x3
低価格スマートフォンで採用されるAtom x3シリーズの3モデル「Atom x3-C3130」「Atom x3-C3230RK」「Atom x3-C3440」はいずれもグラフィックにARM製GPU「Mali」を採用。


なお、ライバルであるQualcommやMediaTek製の低価格スマートフォン向けSoCに比べてAtom x3は1.5~1.8倍の性能を持つとのこと。


IntelがAtom x3シリーズでARMグラフィックを用いた理由は「高い競争力を保つためのすばやい市場投入のため」とIntelのアイチャ・エバンス副社長は述べています。これは低価格スマートフォン市場が急速に成長する状況下で低電力なグラフィック開発に時間を割くと機を逸すると判断したための緊急措置であり、今後、Intelグラフィックスがx3に採用される可能性は排除していません。

また、エバンス副社長はIntel製SoCが今後、高価格帯のAndroidスマートフォンでだけでなく、次期モバイル端末用OS「Windows 10 for phones」を採用するWindowsスマートフォンでも採用される兆しがあると述べています。現在、ほとんどのMicrosoft製スマートフォンLumiaシリーズではQualcommのSnapdragonが採用されていますが、どうやらIntelはWintel連合をスマートフォン市場でも実現することを狙っているようです。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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