取材

ド迫力の空の闘いを堪能できる「レッドブル・エアレース2014」最終戦決勝レースまる分かりレポート


「空のF1」と呼ばれる世界最速のモータースポーツ「Red Bull Air Race(エアレース)」の2014年シーズン最終戦がレッドブルのお膝元・オーストリアで開催され、ついに2014年シリーズチャンピオンが決定しました。アジア人レーサーとして唯一マスタークラスに参戦している室屋義秀選手も登場したシリーズ最終戦シュピールベルク大会決勝レースとレース会場の様子はこんな感じでした。

Red Bull Air Race
http://www.redbullairrace.com/ja_US

エアレース最終戦シュピールベルク大会は2014年10月26日、F1も開催されるレッドブル・リンクで開催されました。



エアレースはプロペラ機がパイロンの間を通過しながら設定されたコースを周回してタイムを競うモータースポーツです。エアレースがどんなレースなのかは以下の予選記事を見れば一発で理解できます。

「空のF1」と呼ばれるRed Bull Air Race 2014最終戦の予選はこんな感じ - GIGAZINE


◆パイロンとは?
決勝レース当日の早朝に、パイロンを特別に見学させてもらいました。


空気で満たされたパイロンは高さ25メートル。近くで見ると圧倒的な存在感。布が階層状につなぎ合わされていて頂点付近と底では材質が異なります。パイロンは布の部分だけで1本約1万ユーロ(約140万円)とのこと。


レッドブル・リンクは高低差の大きなサーキットなので土台部分で水平を調節。


土台は鉄のパイプで構成されており中はこんな感じ。


土台の中にはパイロン内の空気の圧力を調整するコンピュータ。このコンピュータが自動的にパイロンを正しい姿勢に制御しているとのこと。


特別にパイロンの中に入れてもらえました。これはパイロン底の中心部分にある扉。この扉を開くとパイロン内の気圧が下がりパイロンがしぼむため、扉の閉開は素早く行う必要があり、パイロンへの侵入・脱出は迅速に行うことを求められます。


パイロンを中から見上げるとこんな感じ。


出入りがあったので先端が垂れ下がってきていました。


ここから空気を吸引してパイロン内の圧力を高めます。


外には圧力計。


ファンを回転させるのはホンダのGXV530。レース時はパイロンをピンと張るために爆音モードでフル回転します。


パイロンをしぼめる場合はこのローラーで先端から巻き取ることで、パイロンが横に倒れるのを予防します。


パイロンの側面には大きな穴。これはコンピュータが故障した場合に備えて外からエアを調整できるようにホースを接続するための穴です。なお、コンピュータが開発されるまではこの穴を使って圧力計を見ながら常に人力でエアの調整をしていたとのこと。


◆サーキット会場の様子
メインスタンド入り口ではド派手なエアレース仕様の2階建てバスが観客をお出迎え。


決勝レース当日は朝の10時ころから多くの人で賑わっていました。


レッドブルリンクは高低差が大きくいたる所に芝生の斜面があり、多くの人がのんびりピクニックモード。


特設のコーヒーショップもオープンしています。


スタンド裏は朝の11時には人で埋め尽くされた状態に。


ビールを買ったり……


食事したりしながら決勝レースの開始を待っています。


コース西側にあるグランドスタンドに行ってみることに。


コース内にはすでにパイロンが設置済み。コース全体を見渡せレースの一部始終を観戦できるのはエアレースの非常に良いところ。F1のようにコースの一部分だけしか見られないということはありません。


巨大ディスプレイでタイムなどレースの状況を確認することもOK。


空を見上げることが多いせいか、お客さんのサングラス率は高め。


グランドスタンド正面にスタートゲート兼フィニッシュゲートのパイロンが見えます。


レッドブル・リンク周辺は山々に囲まれるように平原が広がる素晴らしい景色だらけ。


続いてコース南側に移動。


サーキット内にはレーシングカートなどの各種アトラクションが用意されていました。


というわけで、サーキット内を見学するために丘を下ります。


トンネルをくぐっていざサーキット内へ。


このかわいらしいお店は……


ハートマークのチョコレートや……


綿菓子や……


各種スイーツが大量に売られているスイーツショップ。


スイーツショップの前には遊園地さながらのアトラクション。


小さな子どもたちが楽しめる遊具もあり。小さな子どもを連れた人の多さに驚かされます。エアレースは家族みんなで楽しめる一大イベントというわけです。


中央には野外ライブを楽しむ人たち。


このフォルクスワーゲン・タイプIIは……


レッドブルバー。


レーシングカートのコースもあり。


FAN SHOPと書かれた建物に入ると……


たくさんの人。


ここはレッドブルの公式グッズが買えるお店のようです。


このキャップは24.95ユーロ(約3400円)


ホームストレート沿いに東に進んでいって現れたアーチをくぐった先にはさらに多くの人。


ライブのステージも準備されていました。


特設エリアにはレッドブルカラーのデモカーがずらり。


記念写真を撮る人たち。


そこら中にベンチがあるのでみなのんびり。レースは午後1時からスタートします。


レースまでの間はプロのライダーの華麗なアクションや……


レッドブルのF1カーによる模擬走行も堪能できました。


さらにレース直前には巨大な飛行機がサーキット上空に登場。これはB-25 ミッチェル。第二次世界大戦で使用された爆撃機。


ロッキードP-38ライトニングなど航空機マニアにはたまらない機体がいくつも登場。これらはレッドブル創始者のディートリッヒ・マテシッツ氏のコレクション展示場であるハンガー7から駆けつけた機体で、現役で飛行できるということだけでも驚き。とにかく、レッドブル総本山のオーストリア開催ということで、レース前の各種イベントの規模の大きさに度肝を抜かされました。


◆決勝レース
いよいよ決勝レースがスタート。昨日の予選ではコース北側の丘から観戦しましたが、決勝レースはスタート・ゴールの瞬間が間近に見えるようコース南側のスタート地点に陣取りました。


決勝レースは予選の上位12名が予選のタイムに応じて1対1で対決する第1ラウンド、第1ラウンドの勝者とタイム上位2名の計8名での勝ち抜き戦であるスーパー8、スーパー8通過者4名のタイムトライアルで行われるスーパー4の合計3つのラウンドで勝者が決定します。

1対1の直接対決で行われる第1ラウンドの最初にアタックするのは前日の予選7位の室屋義秀選手でした。

室屋義秀選手のエアレース2014シュピールベルク大会決勝第1ラウンド - YouTube


室屋選手のタイムは58秒335。一方、対戦相手のディフェンディングチャンピオンであるポール・ボノムは57秒128。室屋選手は残念ながら第1ラウンドでの敗退となりました。


室屋選手に勝ってスーパー8への進出を決めたボノムがホームストレートに帰ってくる様子は以下のムービーで確認できます。

Red Bull Air Raceの着陸風景はこんな感じ - YouTube


レース後、室屋選手は「昨日の予選よりも気温が高かったのでタイムが落ちることは想定していました(注:気温が上がると空気は薄くなるため)。レースではタイムが出ませんでしたが、どこをミスしたのかというのはビデオをよく見ないと分からないですね」とレース結果を振り返ってくれました。

第1ラウンドを終えてトップタイムは地元の星ハンネス・アルヒ。


第1ラウンドの通過者8名でのスーパー8がスタート。トップタイムは第1ラウンドに続き56秒701をたたき出したアルヒ。続いて予選は10位と出遅れたニコラス・イワノフ。そしてマーティン・ソンカ、ランキングトップのナイジェル・ラムと続き、この4名がスーパー4へ進出。


現地時間の2014年10月26日午後3時40分に第3ラウンドのスーパー4がスタート。トップバッターのイワノフが57秒468。ラムが58秒052、ソンカは57秒704もペナルティで2秒加算と、いずれもイワノフのタイムを破れず優勝の可能性が消滅。そして最後にアルヒの出番。

大歓声を送るスタンドは「GO HANNES」の人文字。会場は「ハンネス」コール一色。


勝てば逆転でのチャンピオンが決まるアルヒのアタックがスタート。

ハンネス・アルヒによるレッドブルエアレース2014シュピールベルク大会決勝スーパー4アタック - YouTube


アルヒのタイムは57秒839。さらに、第7ゲート通過時にポジション違反があり痛恨の2秒加算ペナルティで4位に沈み、逆転優勝は夢と消えました。

前日の10番手から一気にジャンプアップして優勝したイワノフ。条件の悪い決勝当日に予選のタイムを上回る会心のフライトを見せました。イワノフの優勝は一発逆転が大いにあり得るエアレースの醍醐味を象徴しています。


シリーズ中盤から安定した強さを見せた58歳のラムが初のチャンピオンを獲得することになりました。


ナイジェル・ラムの初戴冠で幕を閉じたRed Bull Air Race 2014の最終戦シュピールベルク大会決勝レースは、BSスカパーのJ SPORTSで、2014年10月31日午前2時からを皮切りに、3日間連続で無料で放映されます。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「空のF1」と呼ばれるRed Bull Air Race 2014最終戦の予選はこんな感じ - GIGAZINE

「空のF1」と呼ばれる「Red Bull Air Race」最終戦が開幕、室屋義秀選手に話を聞いてきました - GIGAZINE

日本初上陸のブルーベリー味のレッドブル「Red Bull The Blue Edition」を飲んでみた - GIGAZINE

レッドブルがボトルになってキャップも付いた「レッドブル・エナジードリンク 330ml アルミボトル」を飲んでわかった新ボトルデザインの効果とは? - GIGAZINE

レッドブル (Red Bull)の知られざるオフィス - GIGAZINE

タイで開発されたスタミナドリンク「レッドブル (Red Bull)」 - GIGAZINE

in 取材,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.