サイエンス

ガンを早期発見できる「ナノダイヤモンド」でガン治療が飛躍的に進む可能性


日本では2人に1人が癌(ガン)にかかり、3人に1人が癌で死亡するといわれており、癌は長年、日本人の死亡原因の1位を占めています。そんな癌も近年の医療技術の向上に伴い、早期発見・早期治療することで「治せる病気」にもなってきていますが、それには癌を早期に発見する技術の開発が不可欠です。そのための技術として「ナノダイヤモンド」が注目されています。

Bikanta | Nanodiamonds redefining imaging
http://bikanta.techiedivadesigns.com/

Bikanta’s Tiny Diamonds Find Cancer Before It Spreads | TechCrunch
http://techcrunch.com/2014/08/07/bikantas-tiny-diamonds-find-cancer-before-it-spreads/

世界保健機関(WHO)によると、癌の発生率は今後20年間に世界で約57%上昇すると予想されており、年間で1400万から2200万人の癌患者が毎年増加すると試算されています。そして、これらの多くの癌患者が、早期発見されないことで治療の機会を逃し、死亡すると考えられています。


癌を治療するためには早期発見が極めて重要であることから、癌を早期に検出する技術の開発が強く求められおり、癌検査の市場は現在で35億ドル(約3600億円)で、2017年までに最大50億ドル(約5100億円)規模にまで拡大すると予想されています。

現在、癌を発見する検査手法としてPETや蛍光イメージング剤が用いられていますが、PETには被爆の問題が、蛍光イメージング剤には副作用の問題があり、なにより検出能力に限界があり癌を根治可能な初期状態で発見することが難しいという技術的な問題があります。


これらの既存技術に対して、バイオテクノロジーのスタートアップ企業Bikantaは、体内に蛍光ダイヤモンド分子を導入する「ナノダイヤモンド技術」を活用して癌を早期発見する手法を開発中です。

これはナノダイヤモンドを使った検出のイメージ画像。左が現在一般的になっている蛍光イメージング技術を用いて得られる画像で、右がBikantaのナノダイヤモンド技術を用いた画像。腫瘍がある組織をはっきりと検出できていることが分かります。


Bikantaが開発中の蛍光ダイヤモンドは、微細な分子構造であるため体内組織の奥深くまで侵入させられ、かつ、半永久的に近赤外線を発光することができ、さらに製造コストも非常に低廉であるとのこと。Bikantaのアンビカ・バムCEOは、ナノダイヤモンドについて「体内に永遠に光り続ける懐中電灯を持っているようなもの」と表現しています。

バムCEOは、オックスフォード大学で博士号を取得後、国立衛生研究所で研究を続け、ダイヤモンドを微細化することにより分子異常部分を蛍光性の反射光で検出できることを発見しました。そして、この技術を用いた癌の早期検出方法を開発するためにBikantaを創設したというわけです。


ナノダイヤモンドは磁気に反応する性質があり、この磁気感応性を利用することで、現在の手法に比べて100倍以上、バックグラウンドノイズを低減でき、身体のより奥深くにある癌を検出できるようになるとのこと。すでにBikanataはこれまで困難だったリンパ節の癌の可視化に成功しています。

さらに、身体の隅々にまで浸透させられ癌の早期検出を可能とするナノダイヤモンド技術は、癌の検出という役割を超えて、癌細胞を破壊する抗がん剤を結合させて検出した癌を直接たたくことで、直接的な癌治療への応用も期待されています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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