1万時間の練習で一流になれる「1万時間ルール」は万能でないという見解が登場
By marsmettn tallahassee
マルコム・グラッドウェル氏の著書「天才! 成功する人々の法則」で一躍有名になったのが「一流・天才と呼ばれる人は、例外なく1万時間の練習に打ち込んでいる」という「1万時間ルール」です。しかし、最近の研究では、1万時間ルールが通用しない分野があることが明らかになっています。
Deliberate Practice and Performance in Music, Games, Sports, Education, and Professions
http://pss.sagepub.com/content/early/2014/06/30/0956797614535810.abstract
New Study Destroys Malcolm Gladwell's 10,000 Rule - Business Insider
http://www.businessinsider.com/new-study-destroys-malcolm-gladwells-10000-rule-2014-7
1万時間ルールは、「才能が花開くまでには1万時間という長い時間の訓練・努力が必要である」というもので、あらゆる分野において通じるルールと考えられています。真摯な練習をコツコツと積み重ねることで、その道の一流のプロフェッショナルになれるという1万時間ルールは、ビートルズやビル・ゲイツなどの好例とともに、広く知れ渡り多くの人に受け入れられることになりました。なお、1万時間行う必要のある努力は「deliberate practice(真摯な練習)」と呼ばれる訓練であって、単にダラダラとおざなりな練習ではダメということには注意が必要です。
By Roger
しかし、プリンストン大学のブルック・マクナメーラ博士らの心理学研究グループがSAGE Journalsで出した新しい研究論文では、1万時間ルールが通用しない分野が多く存在することが明らかにされています。
この研究グループは、「メタ分析」と呼ばれる、数々の分析データを分析・解析する手法を用いて、88のdeliberate practiceに関する研究データ(分析データ)を分析することで、1万時間ルールがどのような分野にどれだけ効果的であるかを調査しました。
その結果によると、1万時間の真摯な練習が一流・天才と呼ばれる人たちの能力開花に与える影響度合いは平均して12%に過ぎないことが判明したとのこと。詳しい内訳を見ると、1万時間ルールの寄与度は、ゲームに関しては26%、音楽に関しては21%、スポーツに関しては18%、教育に関しては4%、知的専門職に関してはわずか1%に過ぎないとされています。
By Windsor Tennis Club Belfast
分野によっては1万時間ルールがほとんど通用しないというメタ分析の結果は、「厳格なルール」の有無が原因であると考えられています。すなわち、クラシック音楽やチェスなどのようなルールが大きく変わることのない分野の競争においては、真摯な練習を繰り返し積み重ねることが非常に大きな意味を持つのに対して、ロックンロールやビジネスなどの、絶対的なルールがなく、時として固定概念を打ち破り枠からはみ出ることで高い評価を受け得る分野においては、1万時間の修練はそれほど絶対的な成功への近道とは言えないということです。
By Domenico
プリンストン大学のマクナメーラ博士は「どんな分野であれ、真摯な練習が大切なものだということに疑う余地はありません。しかし、これまで言われてきたほどには1万時間ルールが絶対的なものではないということです」と述べています。
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