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月間収益100万円を突破した「Candy Japan」のビジネス戦略の手法とは

By Via Tsuji

2006年5月に新会社法が施行され、株式会社の最低資本金制度が撤廃されたことで起業するのに必要なコストが激減してからというもの、さまざまなサービスを提供するスタートアップが誕生しています。「Candy Japan」は、日本のお菓子を海外に発送するという一風変わったサービスを展開しているスタートアップで、創業から半年で3万6000ドル(当時のレートで約276万円)の売上をあげ、その詳細をThe Hacker Newsで公開していました。それから約2年6カ月後、Candy Japanの創設者であるTmi BemmuさんはHacker Newsで、月間平均収益が1万ドル(約102万円)を突破したことを明かし、収益を順調に伸ばした経緯を公開しています。

 Candy Japan crosses $10000 MRR
http://www.candyjapan.com/candy-japan-crosses-10000-mrr

Candy Japanは世界中の人に対して月に2回、日本のお菓子を自宅まで届けてくれるサービスで、月額25ドル(約2500円)で運営されていて、日本からの利用も可能。そのユーザー数の変化を表わしたのが以下のグラフで、縦軸がユーザー数、横軸が2013年2月13日から経過した日数となっています。色分けされたグラフは青色がPayPalを利用した単発のユーザー、赤色が定期利用ユーザー、オレンジ色がプレゼントとしてもらったユーザー、緑色が無料のサンプルを受け取ったユーザーを表わしています。2012年2月に300人ほどだったユーザー数は、2014年2月頃、グラフでいうところの715日目あたりから徐々に伸び始め、約700人に到達しました。


Bemmuさんはサービス開始当初、お菓子の配送に関して税関で何らかの問題が起こるのでは、と考えていましたが、2014年6月までに遭遇した税関に関する問題は1件のみ。それも、税関職員がお菓子に付いていた白い粉を違法物質ではないかと疑ってパッケージを開けてしまっただけのことで、大きな問題にはなりませんでした。まれに、住所不定などで送り返されるお菓子もありましたが、顧客と密接に連絡を取りあうことで、大きな問題を発生させずに運営してきたとのこと。

前述のグラフにある無料のサンプルは、Candy Japanに興味を示していたブロガーやYouTuberに送付したものになります。「無料サンプルをブロガーやYouTuberに提供したとしても、自分のウェブサイトへのユーザートラフィックの増加には結びつかない」と感じていたBemmuさんは無料サンプルの提供に躊躇していたこともありましたが、現在は逆に進んでサンプルを送ることもあるとのこと。その理由は、例えば1箱600個入りのお菓子がある場合、550人のユーザーにそのお菓子を配送すると50個余ってしまうのであれば、Bemmuさんは余ったお菓子を無料サンプルとしてブロガーに提供し、レビューを書いてもらうようにしているそうです。

By Wally Gobetz

現在、Bemmuさんが採っている仕入れから配送の流れは以下のようなものです。まず、お菓子の仕入れは、契約している地元のスーパーに「どのお菓子が外国人に好まれそうか」を提案し、提案を受けたスーパーがお菓子を納入している問屋に発注するという形をとっています。注文を受けた問屋はお菓子を直接スーパーに納入し、商品を受け取ったスーパーがBemmuさんにかわって発送を請け負い、Bemmuさんはその手数料を上乗せしてスーパーに代金を支払っています。実際にお菓子を自分で受け取り、仕分けして発送するとなると自身の負担が増えるので、現状ではこの仕組みを変えてまでコストを下げようという考えはないそうです。

しかし、過去にはその仕組みを変えようと考えたこともあったそうです。Bemmuさんが大阪にあるグランフロントのクリエイター向け会員制交流サロン「ナレッジサロン」で出会った人物はお菓子メーカーとのコネクションを持っている人物で、その人物の口利きのおかげでメーカーから直接商品を仕入れるルートを見つけることができました。スーパーを介さずにお菓子を仕入れることで仕入れのコストは当然下がったわけなのですが、そのメーカーが生産しているお菓子がたった1種類しかなかったため、将来的な仕入れ先としては難しいとBemmuさんは判断して従来の方法に戻ることとなったそうです。


お菓子の仕入れと配送に関する手法を確立したBemmuさんが現在取り組んでいるのは、いかにして定期利用者を維持するかということだそうです。顧客の満足度をアップさせるためには、時折自分のポケットマネーを費やすこともあるそうで、例えば定期利用者にオマケとしてイニシャル入りの日本製のお箸をプレゼントすることもあるとのこと。「顧客に喜んでもらうことと、利益を追従することのバランスをとることはとても難しいんです」とBemmuさんは語ります。

さらに、Bemmuさんを一番悩ませていたことはカスタマーサポートに関する業務でした。Bemmuさんのメールボックスはユーザーからの「住所を変更したけども大丈夫か?」「クレジットカードの期限が切れてしまったけどどうすればいいいか?」といったメールでパンパンになっていたそうですが、カスタマーサポート専用のマニュアルを作成したり、ユーザーがメールを送ってきた原因を突き止めてサイトデザインを変更するなどで徐々に改善を進めたところ、現在では以前よりかなり問い合わせメールの数が減りました。

By Eran

Bemmuさんはカスタマーサポートに費やしていた時間が余ったことを利用して、「Pen Japan」という新サービスを開始。Pen Japanは毎月14.95ドル(約1500円)で日本らしいかわいいデザインの文房具を発送するサービスです。Pen JapanもCandy Japanのようにうまく軌道に乗るのか、気になるところです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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