2014年06月05日 11時58分ハードウェア

ワイヤレス給電技術「Rezence」がパワーアップしてノートPCも充電可能に

ワイヤレス給電技術の標準化を進める団体「Alliance for Wireless Power：A4WP」が、2013年12月に発表した給電技術「Rezence(レゼンス)」の能力を拡大させて世界で初めて最高50Wまでの給電能力を持たせ、タブレットやノートPCまでワイヤレス充電が可能なシステムを発表しました。

Alliance for Wireless Power (A4WP) Announces the Expansion of the Rezence™ Standard... -- TAIPEI, Taiwan, June 4, 2014 /PRNewswire/ --
http://www.prnewswire.com/news-releases/alliance-for-wireless-power-a4wp-announces-the-expansion-of-the-rezence-standard-to-50-watts-to-include-tablets-pcs-and-peripherals-261774371.html

A4WPはデル・富士通・鴻海・レノボ・ロジテック・パナソニック・Intel・クアルコム・Samsungといったメーカーが参画している独立非営利組織で、多様な家電機器の中にワイヤレス給電を統合する目的で設立されました。このA4WPが2013年12月に発表したのがワイヤレス給電技術「Rezence」。

ワイヤレス給電技術としてはすでに搭載機器が実用化されている「Qi(チー)」がありますが、現在の規格では最大で5Wまでの電力供給に限られ、ごく近距離で1対1での給電にしか対応していません。RezenceはQiと同じくコイルを利用したワイヤレス給電技術ですが、磁界共鳴方式を採ったことで5cm程度なら離れていても利用可能で、また、複数の機器を同時に充電することができます。

今回の給電能力拡大により、最大で50Wまでの電力を供給できるようになり、スマートフォンだけではなくタブレットやノートPCの充電もできるようになります。

レノボのピーター・ホルテンシウス最高技術責任者(CTO)は「スマートフォンやノートPCなどに手軽にワイヤレス給電できるシステムは、毎日のようにUSBケーブルをつないで充電しなければならないことから我々を解放してくれます。さまざまなワイヤレス給電技術を検証した結果、6.78MHzの電波を用いるA4WPシステムがユーザーのニーズに最も適しているといえます」と語っています。

Rezenceでスマートフォンやデモ用の電球にワイヤレス給電している様子が以下のムービーで確認できます。こちらは2014年1月に撮影されたもの。

A4WP Rezence wireless power - YouTube

用意されたのは1台のテーブル。特別なものではなく、IKEAで買ってきたものにRezenceの充電台を埋め込んだものだとのこと。天板上には四角く囲まれた給電エリア「Rezenceエリア」が2か所に設けられています。

Rezenceエリアにデモ用のスマートフォンを置くとすぐに給電が開始されました。

端末を2台置いてもこの通り。両方の端末が充電状態に入っています。

デモ用の電球が用意されました。土台部分にはRezenceに対応した受電システムが組み込まれており、Rezenceエリア内に置かれると電球が点灯しました。

このように、間に本などの障害物が存在しても給電は可能となっています。

そっと持ち上げてみたところ、少し光は弱くなるものの、およそ10センチ程度の高さまで給電が可能であることがわかりました。

具体的な実用化のロードマップなどは明らかにされていませんが、A4WPでは認証プログラムを2014年末までにスタートさせる予定であるとしています。

一方、既に実用化されているQiは、現状では最大で5Wまでの給電能力を近いうちに10～15Wまで拡大させる予定。さらにその先には120Wまでの規格を策定するとしています。

Qi(チー) - WPC ワイヤレスパワーコンソーシアム - ワークプラン - Wireless Power Consortium
http://www.wirelesspowerconsortium.com/jp/developers/the-wpc-work-plan.html

また、既存のUSBケーブルを使って最大100W(20V/5A)までの電力を供給する技術の開発も進められており、従来の電源アダプターが姿を消して1種類のUSBケーブルで充電できるようになる日がやってくるのかもしれません。

ニュースリリース | ルネサスエレクトロニクス
http://japan.renesas.com/press/news/2014/news20140602.jsp