水面に浮かんでマラリアを媒介する蚊の幼虫を退治するボウフラ抑制装置「Solar Scare Mosquito」
夏になると多く発生する蚊は、人を不快な気持ちにさせるだけではなくマラリアなどの病気の媒介者となって人の生命を脅かすことも知られています。特に熱帯・亜熱帯地方における影響が大きく、薬剤や天敵となる生き物による駆除などが行われてはいるものの、毎年多くの人が病気に冒されるという状況が変わることはありません。そんな蚊の発生を根本から食い止めるべく開発された「Solar Scare Mosquito」は蚊の幼虫であるボウフラの発生を抑えることを目的とした装置となっています。
Gallactronics: Solar Scare Mosquito
http://www.gallactronics.com/2014/05/solar-scare-mosquito.html
以下のYouTubeムービーなどを見ると、どのような装置なのかを把握することができます。
Solar Scare Mosquito - YouTube
Solar Scare Mosquitoは水たまりなどで発生する蚊の幼虫「ボウフラ」を駆除することを目的とした装置です。
装置を水面に浮かべると、内蔵のポンプが駆動することで水面に波紋が発生し、ボウフラが発生しにくい環境になります。
本体は比較的容易に入手できるプラスチック製の食品保存容器が用いられます。天面にはソーラーパネルを装備することで、必要な電力を自ら作り出すことが可能。
蚊が卵を産み付けてボウフラを発生させるのは沼や水たまり、小さなプールなど、水の動きが少なく水面の穏やかな環境です。
本体内には水色に見える電動ポンプを主とする装置が内蔵されています。灰色のパイプを組み合わせた部分は水中に空気を送り込むための導管です。
この装置は水面を感知すると自動で動作を開始します。そっと水面に浮かべると……
ポンプが作動し、水中に空気を送り込むことで水面に波が発生しました。本体にはタイマーが内蔵され、10分おきにオンとオフを繰り返して動作を続けます。
この波を嫌うボウフラはたまらず逃げだし、うまく成虫になることなく死滅してしまう、という仕組みです。
容器の中身はこんな感じ。ごく簡単な電子回路、充電池、ポンプを主な装置としており、作成に必要なコストは10ドル(約1000円)以下と低く抑えられています。
電気回路図は以下の通り。4つのトランジスタとタイマーICのLM555の他には数個の抵抗素子とコンデンサなど、回路図が読める人なら非常にシンプルなものであることが見てとれるはず。
製作者が効果を検証したところ、数時間後には大部分のボウフラが死に、何匹かはさなぎの状態に達したものの、最終的にはボウフラが全く存在しない環境になったという結果が出ています。
マラリアなどの病気を媒介する蚊を根本的に断ち切るための取り組みとして興味深い目の付けどころですが、YouTubeのコメント欄で指摘されているように実際に蚊が生息する水たまりは無数に存在しているため、いかに効率よく多くの水たまりで対策を取れるかが一番の問題になりそうです。
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