「プロが撮った野生動物の写真」をAI改変して著作権侵害を回避しつつ再投稿する悪質なAIユーザーに写真家が警鐘を鳴らす

生成AIはさまざまなタスクをこなして日常業務の生産性向上に役立っていますが、プロの写真家にとっては悩みの種にもなっているとのこと。シンガポールに拠点を置くプロカメラマンのニッキー・ベイ氏が、「プロカメラマンの写真をAIで改変し、著作権侵害を回避しつつ適当なAI生成のキャプションとともに再投稿する悪質なAIユーザー」について警鐘を鳴らしました。なお、本記事にはさまざまな昆虫やムカデ、クモなどの写真が含まれているため、苦手な人は注意して見てください。
AI Abuse to Skirt Copyright Law - Macro Photography by Nicky Bay
https://www.nickybay.com/ai-abuse-to-skirt-copyright-law/
ベイ氏は、「近年、野生動物の写真がAIによって加工または再生成され、不正確で誤解を招くようなキャプション(多くの場合、これもAIによって生成されたもの)とともにソーシャルメディアに投稿される事例が見られます。以前は、これらは著作権侵害の明白な事例でしたが、派生作品に関しては明確な線引きがありません。特に画像生成時のプロンプトで変更点が容易に定義できる場合はなおさらです」と述べています。
プロカメラマンたちの正当な写真が閲覧されず、収益もAIユーザーの手に渡っているという点も問題ですが、それに加えて「多くの一般ユーザーが野生動物について誤った知識を得てしまう」という点も問題です。
ベイ氏は、「これは単に非倫理的で違法なだけでなく、行為者は内容そのものにまったく関心がないのです。生成された写真は、解剖学的に誤った描写を含む場合があります。付随するテキストもAIによって生成されるため、事実と異なることがほとんどです」と指摘しています。
実際に生成AIユーザーが野生動物の写真を改変・再投稿した事例を示すため、ベイ氏は自身が撮影した写真と生成AIユーザーが再投稿した画像およびキャプションを並べ、複数紹介しています。ここから下にはさまざまな昆虫やムカデ、クモなどの写真を掲載しているため、苦手な人は注意して見てください。
以下の画像は、右がベイ氏が撮影した「ORIGINAL PHOTO(元写真)」で、左は生成AIユーザーがベイ氏の写真をAIで改変した「AI-MODIFIED PHOTO(AI改変写真)」と「AI-GENERATED CAPTION(AI生成キャプション)」です。画像をクリックすると、ベイ氏が元写真を公開している写真投稿サイト・Flickrのページが開きます。写真は「Thereuopoda longicornis(long-legged centipede)」というムカデ綱ゲジ目ゲジ科オオゲジ属のゲジの一種で、ベイ氏は脱皮直後で色彩が鮮やかになる短い時間を狙って写真を撮影したとのこと。画像を見比べると、AIで改変された方は目や触覚の位置が異なっているほか、キャプションではゲジ目ではなくオオムカデ目とされている点も間違いです。

この写真は日本や東アジア、ニューギニアなどに分布するオオジョロウグモの脱皮直後の姿を捉えたもの。AI改変版は脚が節の部分で曲がっておらず、全体的につるりと人工的な見た目をしているほか、キャプションには「Asianopis spinosus」という存在しない分類が記されています。

以下はシリキレグモ(Cyclocosmia)属の一種であり、腹部の後ろ側が固い円盤のようになっていて、脅威にさらされると右側の写真のように巣穴をこの固い円盤でふさぎます。しかし、AIで改変された左側の画像を見ると、腹部の円盤に引っ張られたのか顔まで黒くなり、まったく違う見た目になっているのがわかります。

以下の写真は、チョウ目シャチホコガ科の幼虫を撮影したもので、非常に長い尾のような一対の付属肢が特徴です。AIで改変された左側の画像は細かい屈曲や頭の色といった細部が失われ、付属肢の角度も異なっています。

ベイ氏は、「AIの登場には多くのメリットがある一方で、それを悪用して偽コンテンツを生成する人もいるため、その価値が損なわれています。インターネットはすでに偽ニュースや誤った情報にまみれています。すべての悪質な行為者を阻止することは不可能であり、一般の人々が真実と偽物を見分けるのは非常に困難でしょう」「AIはもっと良い方法で活用できるはずです。こんな使い方は絶対にしないでください。どうかこのようなナンセンスな情報に惑わされず、拡散を控えてください。このようなことをするページは積極的にブロックし、信頼できるコンテンツクリエイターをフォローするようにしましょう」と呼びかけました。
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