メモ

スティーブ・ジョブズとの交渉から学んだ4つの教訓とは?

By MATEUS_27:24&25

スタンフォードビジネススクールを卒業してすぐにソフトウェア開発会社「T/Maker」を立ち上げたHeidi Roizen氏は、現在投資家として活躍中で、起業した時の経験は今思い返しても教訓になったことばかりでした。Roizen氏が経験した中でもスティーブ・ジョブズ氏と交渉をしつつ商談をまとめたことは、素晴らしい思い出であり、また、ジョブズ氏から商談を通してさまざまなことを教わったとのことで、その内容を「スティーブ・ジョブズとの交渉から学んだ4つの教訓」として公式ブログに公開しています。

Operating Partner, DFJ
http://heidiroizen.tumblr.com/post/80368150370/what-i-learned-negotiating-with-steve-jobs

Roizen氏がジョブズ氏と商談をしたのは、ジョブズ氏がAppleを離れてNeXTを立ち上げた時期のこと。当時ジョブズ氏は開発中であったMac専用のワードプロセッサ「MacAuthor」の開発者の1人をAppleから引き抜きました。ジョブズ氏が結んだ開発者との契約内容には、MacAuthorの開発・ロイヤリティの支払いが含まれていましたが、NeXTがあまりにも大きな注目を集めてしまったため、NeXTとしての最初の商品がMacAuthorである必要性がなくなったそうです。

そこで、この問題を解決するために白羽の矢が立てられたのがRoizen氏。ジョブズ氏と交流のあったT/Makerの社員が、Roizen氏にワードプロセッサの開発および販売をまかせてはどうか、と提案したわけです。ジョブズ氏は提案に賛同し、後日Roizen氏と1対1のミーティングを行います。

By Mazzali

ミーティングでは、パッケージングから今後の予定まで話し合われ、契約書の下書きまで完成。その後二度目のミーティングが行われ、全てがうまく運んでいるように思えましたが、ジョブズ氏は契約書に記されていた「15%のロイヤリティの支払い」について難色を示し「15%はばかげている。50%にして下さい」とRoizen氏に通告。売上の半分をジョブズ氏に支払うことは、Roizen氏にとってほとんど不可能な条件でしたが、ジョブズ氏は「50%に変更してください。そうでなければ、もう話すことはありません」とRoizen氏の主張を退けます。

契約締結に至らず落ち込んで帰路についたRoizen氏の元に、2人の会話を聞いていたDanny Lewin氏が足早に駆け寄ってきて「スティーブは50%という数字を見たいだけです。私はあなたの会社が50%のロイヤリティを支払うことが不可能ということを十分に理解しています。ですので、何とか50%に見せかけて下さい。あなたの会社が許容でき、かつ書類上では50%支払う、というような契約内容を考えるのです」とアドバイス。この発言により、Roizen氏は今回の契約がNeXTにとってあまり重要でないことがはっきり分かったとのこと。

ジョブズ氏にとってRoizen氏との契約で重要なのは、契約の内容や金額ではなく「自分が言ったことは常に実行する」と立ち上げたばかりのNeXTの社員に言って示すことでした。その日から、Roizen氏は契約内容を見直し、パッケージのコストや自社の社員の給料を削ってなんとか50%のロイヤリティの支払いを約束する契約書を作成します。

By AFGE

契約書の内容を見直すと、当初の契約の15%と、最終的に結ばれた契約の50%はほとんど変わらない金額に落ち着いたとのこと。それ以来、ジョブズ氏とRoizen氏の関係は良好になり、その後何度も仕事を一緒にする機会があったとのことですが、一番最初に交わした契約はRoizen氏にとってとてつもなく大きな財産になりました。

Roizen氏はジョブズ氏との交渉から学んだ4つの教訓をブログの最後にまとめています。

◆1:数字を知ること

By e y e / s e e

自分がお金を稼いでいるのは何なのか、反対に自分がお金を稼げないのは何なのか、しっかりと理解する必要があります。Roizen氏の場合は、自分と相手が契約を結べるギリギリの数字を理解したからこそ、契約を締結することに成功しました。

◆2:まぶしくて目がくらむような電灯のスイッチは入れない

By midorisyu

高額な金額を含んだ契約であったとしても、相手や自分が満足のいかない契約を結ばないこと。Roizen氏は投資家としての仕事を通して多くの起業家と契約を結びましたが、インパクトのあるプレスリリースを出したいがための契約を結びたがる起業家が驚くほど多かったそうです。

◆3:他の企業の社員が自分に味方してくれるような人間関係を築く

By Wirawat Lian-udom

Roizen氏は「Lewin氏の助けがなかったら、ジョブズ氏と契約を結ぶことは不可能だったかもしれない」としています。他の企業に、自分を助けてくれるような人物がいると、仕事がスムーズに進むことが増えます。

◆4:相手が必要としているものを理解する

By Mel

Roizen氏は当初、ジョブズ氏がロイヤリティではなく、NeXT社員に自分の方針を見せることをRoizen氏との契約で最重要視していることに気づきませんでした。しかしながら、相手が本当に必要としていることに気づけると、ゴールへの道のりは平らになり、何をすべきかはっきりするとのこと。

Roizen氏がジョブズ氏との交渉から学んだことはあくまでアメリカでのビジネスにおけるものなので、そのままでは日本での仕事には当てはまらないようなケースもあるかもしれませんが頭に入れておいて損はなさそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「Appleはテレビを作らない」とジョブズが語っていたことが明らかに - GIGAZINE

ジョブズ亡き後のAppleを担うデザイン統括責任者ジョニー・アイブの考え方 - GIGAZINE

Apple本社に設置されるジョブズ記念像は前衛的な造形であることが判明 - GIGAZINE

21世紀の教育革命「スティーブジョブズスクール」とは? - GIGAZINE

ジョブズの最期の言葉など、Appleについてあなたが知らない11のこと - GIGAZINE

映画「スティーブ・ジョブズ」に描かれなかったAppleの真実とは? - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.