400年ぶりに新種の「対称性多面体」構造が発見される


4つ以上の平面に囲まれた立体を「多面体」と呼び、中でもすべての面が合同の正多角形で構成される「正多面体」は最も美しい対称性をもつ立体で、正四面体など5種類しかないことが知られています。この正多面体の亜種として、要件を緩和することで対称性を持つ多面体が考え出されてきましたが、実に400年ぶりに新しい対称性多面体がアメリカの数学者によって考案されました。

After 400 years, mathematicians find a new class of solid shapes
http://theconversation.com/after-400-years-mathematicians-find-a-new-class-of-solid-shapes-23217

「正多面体」(通称、プラトンの立体)は、すべての面が合同な正多角形で構成され、すべての頂点で同じ数の面が接する立体で、正四面体・正六面体(立方体)・正八面体・正十二面体・正二十面体の5種類しか存在しないことが証明されています。


その後、すべての面が合同であるという条件を緩和することで「半正多面体」(通称、アルキメデスの立体)が考案されました。「サッカーボール型」として知られる「切頂二十面体」が特に有名です。


さらに、正多面体の凸性を緩和することで新しい正多面体として「星形正多面体」(通称、ケプラー・ポアンソの立体)2種類をドイツの数学者ヨハネス・ケプラーが発見します。その後、さらに2種類の星形正多面体が発見され全部で4種類になりましたが、ケプラーが星形正多面体を発見したのは約400年前のことで、それ以降、対称性多面体は発見されていませんでした。

星形正多面体の小星形十二面体。


カリフォルニア大学のスタン・シェイン博士は目の網膜の研究をする過程でクラスリンと呼ばれるタンパク質の構造に興味を持ちその立体構造を数学的に解析するうちに、20世紀の数学者マイケル・ゴールドバーグ博士の考案した多面体(ゴールドバーグの立体)を見つけます。


ゴールドバーグの立体は、立体を構成する面が平面ではないことから厳密には多面体とは考えられていません。しかし、ゴールドバーグの立体にインスパイアされたシェイン博士は、多面体構造の前提条件とされる「面が平面である」という要件を緩和して、完全な平面ではない「ねじれた面構造」を許すことで、新たに対称性を持つ「対称性・準多面体」とでも言うべき立体を考案することに成功しました。

これがシェイン博士とその研究チームが考案する新しい対称性立体構造です。立体を構成する六角形の面はねじれた構造をしているものの、美しい対称性を描いていることが分かります。なお、シェイン博士によると、ねじれ具合を調整し、面の数を増やすことで、対称性を持った立体は無数に作り出せる可能性があるとのこと。


今回考案された新たな対称性多面体は、「そもそも面が平面でないという点で、多面体ですらない」という意見は十分考えられるところです。しかし、バーミンガム大学のデービッド・クレイブン博士は、今回の発見が400年ぶりの新しい対称性多面体と認められるか否かは、「ねじれた面を寛容に受け入れることができるかどうか」にかかっているとしつつも、特定のねじれ具合を持たせることで見事な対称性を実現できる点を高く評価しています。

なお、一般的には、このような数学的な発見が直ちに技術的に応用・活用されることはほとんどありません。しかし、シェイン博士が考案した「新たな対称性多面体」の立体構造は、現在、根本的な治療法が確立されていない特定のインフルエンザウイルスが持つ構造ではないかと見られており、ウイルスの構造を把握して治療技術を確立するのに今回の多面体の考察が応用できるのではないかと期待されているとのことです。

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