精神疾患を発症させる共通の遺伝的特性の発見で汎用の治療薬ができる可能性

By Be-Younger.com

うつ病(大うつ病性障害)統合失調症などの精神疾患への薬物治療法は近年大幅に進歩していますが、いまだ特効薬は見つかっていません。しかし、キングス・カレッジ・ロンドンの研究者が大うつ病性障害・統合失調症・双極性障害の3つの精神疾患を患う被験者の遺伝的特性を調べることで、3つの病に共通する因子を発見しました。3つの精神疾患に遺伝的特性の共通項が見つかったことから、精神疾患には考えられている以上に共通性があり、その共通因子をつきとめることで幅広い精神疾患を治癒できる可能性が指摘されています。

Psychiatric genome-wide association study analyses implicate neuronal, immune and histone pathways : Nature Neuroscience : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/neuro/journal/v18/n2/full/nn.3922.html

Psychiatric illnesses have more in common than we thought — which could be good news for treatment | The Verge
http://www.theverge.com/2015/1/19/7629169/shared-genes-mental-illness-schizophrenia-depression-bipolar-pathways

人間の遺伝子情報であるヒトゲノムを解析することで、さまざまな疾病の原因を探る試みが続けられており、治療薬の開発に活用されています。ヒトゲノムを利用する解析手法の一つとして、一塩基多型の変異を目印に、疾患の感受性遺伝子を探し出す「ゲノムワイド関連解析(Genome Wide AssociationStudy:GWAS)」という手法があり、複数の遺伝子が病気の発症に関わる場合に有効であるとして注目されています。


キングス・カレッジ・ロンドンのピーター・ホルマンズ博士らの研究チームは、精神疾患患者約3万3000人と精神疾患を持たない約2万8000人を被験者として、GWASによって被験者の遺伝情報を比較することで、精神疾患に関わる遺伝子変異に強い関連性のある経路がないかを調べました。そして、各精神疾患の発症リスクへの寄与度を経路ごとにランク付けすることで、どの経路が複数の精神疾患に共通して寄与するかを調べたところ、大うつ病性障害・統合失調症・双極性障害の発症リスクを高める共通の経路があることを発見したとのこと。

By Walter A. Aue

ホルマンズ博士は精神疾患を発症する原因には「生活環境」があることは間違いないとしながらも、「遺伝的要因」も大きく影響すると述べており、複数の精神疾患に関与する遺伝的共通性についてさらに研究が進んでいくことで、多くの精神疾患に効果的な薬が開発できる可能性があると考えています。

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