ターミネーター2のT-1000のような液体金属が3Dプリンターで出力可能に
ノースカロライナ州立大学の研究チームが高温ではなく室温で形状を維持できる液体金属を生成し、3Dプリンターで出力することに成功しました。ターミネーター2に登場した液体金属のボディーを持つT-1000のような、映画でしか見ることのできなかった技術がついに現実となっています。
3D Printing of Free Standing Liquid Metal Microstructures - Ladd - 2013 - Advanced Materials - Wiley Online Library
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adma.201301400/full
NC State News :: NC State News and Information » Researchers Build 3-D Structures Out of Liquid Metal
http://news.ncsu.edu/releases/wms-dickey-liquid-structures/
液体は空気中で球状に変化しようとするため、形状を維持することは非常に難しいことですが、化学および生体物質工学学科のマイケル・ディッキー助教授は、ガリウムとインジウムの液体合金が室温に保たれた空気中で構造を崩さずに形状を保つ事を可能にする皮膚のようなものを形成することを発見しました。どういうことかと言うと、ガリウムを75%含む液体合金が空気に触れると、ガリウムが酸化して液体の回りに薄い膜を張り、この膜が液体を包み込むことよって液体金属は形状を崩さずに維持できるというわけです。
By shelley brunt
ディッキー助教授が率いる研究チームはさらなる研究を続け、3Dプリンターを使ってガリウムとインジウムの液体合金を出力することに成功。この液体合金の特徴は、液体金属の小さな玉をスーパーに積み重ねられているオレンジのように上に積み重ねることができるということ。液体金属の粒はお互いにくっつきますが、それぞれの形状を維持しして2つの玉が1つにまとまってしまうことはありません。
粒状の液体金属を3Dプリンターを使用して積み重ねている様子は以下のムービーから確認できます。
3D Printing of Liquid Metals at Room Temperature - YouTube
3Dプリンターのノズルから液体金属の玉が3つ出力され、横に並べられました。玉は液体にも関わらずベシャッと型崩れしないで球状の形を保っています。
3つの玉の上にさらに玉を重ねていきます。液体金属の玉同士はくっつきますが、1つに同化することなく形状を維持。
次は、2つずつ縦に重ねられた液体金属の玉の間に新しい玉を設置します。
玉はプクッと膨れて……
縦に並んだ玉の間にくっつきました。
液体金属の玉をどんどん上に向かって重ねていきます。
最終的には塔のような形になりました。一連の作業は、高温の熱を加えることなく行われているとのこと。
ディッキー助教授が開発した技術を使用すれば、液体金属を使ってオブジェクトを作成することも可能です。
球状の液体金属を虫の触角のように積み重ねています。
また、ディッキー助教授の研究チームは液体金属のワイヤを作成することにも成功しています。
液体金属のワイヤは、平面に対して垂直に直立することが可能。
室温でも形状を保つ液体金属は電気伝導体であるので、電子機器の部品をつなぐ導線などとして使われる可能性があるとのこと。形状を崩さない液体金属を3Dプリンターで出力するには、同じ量の圧力を与え続けるという特殊なプロセスが必要なため、現実的にはT-1000のような複雑な構造を持つものを出力することはまだ現実的ではありませんが、これからの発展に期待したいところです。
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