「iPad2」を心臓病患者が使うと危険な場合があることを14歳の女子高生が発見
By Johan Larsson
カリフォルニア州ストックトンの高校に通うGianna Chienさん(14)が、8000人以上の医者による「Heart Rhythm Society」という会議において、「iPad2の使用は植込み式除細動器を使っている心臓病患者にリスクがある」という発表を行いました。
Heart Patient Risk From iPad2 Found by 14-Year-Old - Bloomberg
http://www.bloomberg.com/news/2013-05-09/heart-patient-risk-from-ipad2-found-by-14-year-old.html
Giannaさんは2011年の誕生日にiPad2を買ってもらったとき、お年寄りがiPadについてのレクチャーを受けているのを見て、「iPadと心臓病の人が使っている医療装置との間に、何か関係があるのではないか?」と思いつきました。これはGiannaさんの父・Walterさんが心臓電気生理学者だったというのが大きく影響しています。
植込み式除細動器を使用しているボランティア26名に協力してもらって実験を行ったところ、iPad2を胸の上に置いた人のうち3割で、除細動器を非常停止させるマグネットモードが発動しました。同時に、ペースメーカー4台、心電図を記録するループレコーダー1台でも実験を行いましたが、こちらは影響を受けなかったそうです。
マグネットモードというのは、何かが起きたときのために除細動器を停止させる機能で、磁石を用いて制御しています。iPad2は俗に「お風呂のフタ」と表現されるスマートカバーを取り付けるため本体内に30個の磁石が埋め込まれていて、iPad2を持って使用しているときは何も起きないのですが、体に立てかけたような状態だと影響が出てくるというわけです。
ほとんどの除細動器は、磁石を装置から離すと自動的にマグネットモードが解除されて元通りの動作が再開されるのですが、手動での再起動が必要なものもあります。「患者はこの危険性を知らされるべきだし、医者は不測の事態でマグネットモードに入ったときにちゃんと元に戻るのかどうかをチェックすべきです」とGiannaさんは指摘しています。
ブルームバーグでは、Appleの広報担当者にこの研究についてのコメントを求めましたが、安全性については製品ガイドに記載しているとおりだとしてコメントを断られました。製品ガイドには、ペースメーカーを使っている人は最低でもiPadを6インチ(約15cm)離して使用すること、医療施設では職員や表示に従って電源をオフにすること、と書かれています。
除細動器のリーディングメーカーであるメドトロニックでは、試験時にはiPadを使用しても特に危険は見つからなかったそうですが、患者に対しては除細動器の近くに磁石を置かないようにと指導しており、今回の研究発表が除細動器やペースメーカーを使用している人に対して、iPadを使うときに体から6インチ以上離すことを忘れないようにというよい注意になる、とコメント。
ユタ州のインターマウンテン医療センターに勤務し、Heart Rhythm Societyのチェアマンでもあるジョン・デイさんも、「除細動器を使っている人もいままで通りiPadを使って大丈夫ですが、ただ、胸の上には置かないでください」と注意を呼びかけています。
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