企業をスゴイ会社にするための3つのルール
By notforsnowboard
数多くの経営者によって「会社を成功させるためのルール」というものが公開されていますが、人によって言っていることが様々で、アドバイスの中には実践が難しいものも多くあります。そこでHarvard Business Reviewが調査を行い発見したのが、成功している会社に共通する3つの法則「Three Rules for Making a Company Truly Great」です。
Three Rules for Making a Company Truly Great - Harvard Business Review
http://hbr.org/2013/04/three-rules-for-making-a-company-truly-great/
Harvard Business Reviewが発見した3つの法則とは「価格で勝負する前に質を上げる(価格以外の点でライバルと競い合うということ)」「コストを考える前に収益を考える(コストのカットを考えることよりも、収益を増やす方法を優先する)」「前述した2つ以外のルールはない」ということです。
3つのルールは当たり前と言えば当たり前であり、戦略と言えないほどのものに映るかもしれません。しかし長年にわたって偉大な企業を支えてきた基本的な概念がこの3つなのです。企業のリーダーたちがどのようにこれらを受け入れてきたのか?ということまでを知ることはできませんが、明日のリーダーたちが可能性を広げるためにルールを使うことは可能。ということで、Harvard Business Reviewは法則に従い成功した会社の例と、平均的な収益を上げることとなった会社の例をまとめています。
なお、この調査は1966年から2010年の間までに活躍した2万5000以上の会社をデータベースで調べ、総資産利益率(ROA)を元に企業の成績を測定、企業の強さや安定性という点を評価しました。その結果、成績のよかった企業を2つのカテゴリーに分けることに成功。一つは、2万5000社のうちROAから求めた成績がトップ10%に入った「奇跡の企業」で、もう一つがトップの20~40%に位置し、長期にわたって成績のいい「ロングランナー」的企業。Harvard Business Reviewはこれら2つのカテゴリーに分類される会社に電話し、さらに比較のため、平均的な成績の会社についても定義つけを行いました。なお、2万5000社中、174の会社が「奇跡の企業」、170の会社が「ロングランナーでした。
◆01:価格で勝負する前に質を上げる
By theloushe
全ての企業は刺激的なスタイルやブランド・機能性・耐久性・利便性など価格以外の点で勝負するか、それとも必要最低限の質に抑えて価格で勝負するか、という2つのうちいずれかを選択する局面に遭遇します。そして調査の結果、奇跡の企業は圧倒的に前者を選択し、平均的な企業は価格で勝負することがわかりました。一方でロングランナーに明確な傾向は存在しませんでした。
例えば1980年に交通の規制緩和がされた後、運送会社はサービスの提供範囲を定義しなければならず、多くの会社がこれまでよりも広い範囲を選択しました。しかし「奇跡の企業」であるHeartland Expressは確実で時間通りのサービスを提供するために、対象とする地域の範囲を広げず、比較的少ない顧客数を維持し続けることに決めました。この差別化によって結果的にHeartland Expressは約10%も利益を上げることができたのです。
反対にサービスの提供地域と幅を広げたのがロングランナーであるWerner Enterprisesです。まずWerner Enterprisesはサービスの提供地域をアメリカ全土に広げ、市場を多様化し、規模においても価格においてもWerner Enterprisesと類似したサービスが生まれることを防ぎました。しかし、会社のスケールが広がるともうけの少ない仕事も受け入れざるを得なくなり、一流企業となることはできたのですが、「奇跡の会社」とまではいかず、「ロングランナー」にとどまったのです。
3つの企業の中では「平均的な企業」であるのがP.A.M. Transportation Services(PAM)。Werner Enterprisesよりも狭い範囲のサービスと顧客ですが、価格は安めです。しかし産業において需要が供給を上回ったため、PAMは短距離運送に特化し、遊休資産を抱えることになりました。収益を再び得るためにPAMはターゲットを自動車メーカーにしぼって契約を締結。自動車メーカーの運送時にトラブルが起こればPAMが呼ばれるようになったというわけです。PAMの戦略に何か問題があったわけではなく、ピンポイントにターゲットを絞った点はHeartland Expressと同じなのですが、「低価格」というポジションを取り、ルールに従わなかったため、PAMは「平均的な企業」となったとHarvard Business Reviewは見ています。
◆02:コストを考える前に収益を考える
By bernat...
企業はすぐれた価値を生み出すだけでなく、それを収益化しなければなりません。収益を上げるため、例外的に高い価格設定や量の多さでライバルと圧倒的な差をつけて収益を獲得しする企業も存在しますが、それよりもさらに例外的なのは「コストを下げることによって収益を生み出す」リーダーです。
例えば1970年代にディスカウントショップの伝説となった奇跡の企業Family Dollarも高い価格設定を行いながら収益を上げることに成功した企業の一つです。企業の顧客の多くが裕福でないことを考えると、他よりも高い価格設定で成功したFamily Dollarは驚くべき企業と言えます。この会社はえり抜きの品々と利便性という点に重きを置き、店舗は顧客がアクセスしやすいロケーションに構えられ、数多くの商品の中から少しの商品だけを購入できるようにしました。このような販売方法にコストがかかるのは当然のことなのですが、Family Dollarはコストの高さや効率の悪さを黙認し、高い価格設定を一貫して続けることによりすぐれたROAを数十年も維持できているのです。
「02」におけるサンプルとしては9つの奇跡の企業があり、そのうち8つの企業が収益を多く上げることによって成功し、コストをダウンさせることによって収益をあげることができたのは1つのみ。そして8つの企業のうち6つは製品の価格を高く設定し、残り2つは大量に生産することで収益をあげています。
価格でなくボリュームに重きを置いている2つの企業のうちの1つがMerckで、医薬品業界のロングランナーEli Lillyよりも早期にアグレッシブな成功を遂げました。Merckは国際市場においてジェネリック医薬品の価格で勝負することを拒否し、「価格で勝負する前に質を上げる」というルールに従うことを選択。しかし低価格商品の壁は高く、なかなか利益を得ることができませんでした。そこで特許を取得した有効性のある医薬品を多く生産し、高いROAを実現することができたのです。
◆03:「01」「02」以外のルールはない
By Vicki & Chuck Rogers
これは居心地の悪い真実であるとともに自由であるとも言えます。しかし収益を追求するにあたって、例外的に「01」「02」以外のルールが存在するはずです。会社の収益を決定する要因をこの他に考えると、人材育成、リーダーシップのスタイル、企業の文化、報酬システムなど様々なことが考えられます。これらの要因が企業の成績に重要な関わりを持つことには疑問の余地がありません。しかし、これらの要因に一貫したパターンを見つけることはできなかったのです。
収益に関係する重要な要因を変更したにも関わらず、優れた収益を得続けた会社は存在します。その理由は、前述した2つのルールを守り続けていたからです。言い換えると、トップの成績を獲得している会社は低価格競争とは無関係で、収益を得る方法を既に獲得しており、それ以外の要因は全て選ぶことができるのです。
優れた企業になるため、これらのルールを利用するにはまず企業競争における自分の会社の位置と収益を得る手段を明確にする必要があります。そして、次にあなたが優先順位を争う2つの事項に限られた財源を充てなければならない時、どちらが非価格要素を高め、高価格の設定や、大量の生産をする選択かを考えて下さい。
もしあなたが経営上で行う計画のほとんどが「コスト削減」であるなら、あなたの行う改革や努力は無駄になってしまいます。しかしそれがライバルと競いあっているカスタマーサービスのレベルを上げるためであれば、手段と目的はかみ合っていると言えます。コストを削減するだけでは会社は本当の意味で偉大になりません。もし会社が短期的なコスト削減や投資の引き上げなどによって道に迷ってしまったら、それは会社が最も望む「向上」をダメにしていると指摘して下さい。
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