ファイル共有サイトの帝王キムからの挑戦状、「MEGA」のセキュリティーを破れたら賞金1万ユーロ
By Eric Caballero
キム・ドットコム(Kim Dotcom)氏が設立したファイル共有サービス「Megaupload」は米国内だけでも1000以上のサーバーに25ペタバイトの膨大なデータを納め、1億7500万ドル(約135億円)以上もの莫大な利益を上げていました。しかし、2012年始めにはアメリカ司法省と連邦捜査局(FBI)の捜査により同サイトが著作権侵害を行っているとみなされ閉鎖に追い込まれ、本人も母国のニュージーランドで逮捕されてしまいました。
「Megaupload」閉鎖&FBIが運営者を逮捕、驚愕の運営実態と収益額が判明
http://gigazine.net/news/20120120-megaupload-shut-down
しかし、キム・ドットコム氏はその後すぐに保釈され、約1年を経て2013年に50GBの容量を無料で使用可能で保存したファイルを不特定多数の相手と共有することもできるクラウドストレージサービス「MEGA」をローンチ、瞬く間に100万以上のユーザーを集めています。
無料で50GBも使える「MEGA」スタートから1日で登録者数100万人を突破
http://gigazine.net/news/20130121-mega-1-million/
そして、この新サービスとともにカムバックしたキム・ドットコム氏は同サイトのセキュリティを向上するために世界中のハッカーやクラッカーたちに「MEGA」のセキュリティを突破できたら賞金を支払う、という挑戦状を送りました。ニュースサイト「The Next Web」の記事によれば、先週、キム・ドットコム氏は同サイトのセキュリティについて批判を受けその後「協力者には何かしらの賞金を出すつもりだ」とコメントしていたので、今回の一件はそれを実行したのだと思われます。
Kim Dotcom puts up $13,500 bounty for first person to break Mega’s security system - The Next Web
http://thenextweb.com/insider/2013/02/01/kim-dotcom-puts-up-13500-bounty-for-first-person-to-break-megas-security-system/
この発表は同氏のTwitterアカウントで行われており、その内容は「オープンソースによるMEGAの暗号化システムは未だ破られず。もし、これを突破したならば1万ユーロ(約124万円)を進呈する。詳細はブログへの投稿を待たれたし」というものです。
また、「MEGA」は「新たなパスワード変更機能などの実装などを通して継続的にアカウントやデータの安全性の向上を行っていく」とのコメントを公式ブログで発表。同サイトは既に5000万のファイルを格納し100万人以上のユーザーを持ちながらも、依然としてベータ版のサービスでもあるため報奨金を提供して「あなたにバグを見つけて欲しい」と言ってユーザーに協力を求めている状態です。キム・ドットコム氏は「バグを修正するために協力者に金銭的なインセンティブを与えることは多くのテクノロジー企業で採用されている方法だ」と述べており、実際にFacebook、Google、Dropboxなどの多数の企業が同様の施策を行っています。
キム・ドットコム氏が「20人以上の弁護士が著作権侵害に対する対策を熟慮しMEGAは合法的に運用され、法律によって保護されている」と主張する一方、50GBのストレージ容量と共有機能を持つ同サイトは違法ファイルが共有される巨大なプラットフォームとして機能するだろう、という批判的な意見もあります。「著作権問題のため削除されたファイルはMEGAに納められているファイルのうち0.001パーセントにすぎない」とキム・ドットコム氏は主張していますが、著作権保有者たちが実際にどれだけのファイルをチェックすることが可能なのか、どれだけの削除依頼があったのかなどは不明です。
とは言え、「MEGA」による著作権侵害への対策は行われており、ユーザーによって一般に公開されている同サイト上のファイルを検索するサードパーティ製の検索エンジンに対するブロックも行い、「MEGA」をコンテンツのダウンロードサイトとして活用可能にしようとした「MEGA-SEARCH.ME」が機能しないようにする対応は素早いものでした。
Kim Dotcom's Mega Blocks Third-Party Search Engine
http://thenextweb.com/insider/2013/01/31/in-less-than-24-hours-kim-dotcoms-mega-blocks-third-party-search-engine-that-indexed-some-of-its-files/
しかし、ファイル共有関連の話題を扱うブログTorrentFreakによれば「MEGA」が過剰にコンテンツの内容を監視しているのではないかとの疑いがあるそうです。
Dotcom’s Mega Removes Legal Files Citing Bogus DMCA Requests | TorrentFreak
http://torrentfreak.com/dotcoms-mega-removes-legal-files-citing-bogus-dmca-requests-130131/
「Mega-Search」を介してアップロードされた動画はすぐに削除されており、この事は「MEGA」がサードパーティー製のクライアントからのアップロードを阻止しているか、内容を過剰に監視していることを示唆していると「TorrentFreak」は指摘。著作権を侵害するとして「Mega-Search」を介して投稿された多数のファイルが即座に削除されたことは、「MEGA」が著作権者からの削除依頼に基づいてではなくアップロードされたコンテンツを積極的に監視して削除しているか、あるいは完全にサードパーティーを排除しようとしているということを示唆すると主張しています。また、この現状は「MEGAがホストしているファイルは1日あたりたった50程が消去されるだけだ」というキム・ドットコム氏のコメントと矛盾しています。
というわけで、「MEGA」は賞金制度なども含めセキュリティの向上に取り組んでいるようですが、一方で新たな問題としてサードパーティーの締め出しやファイル内容の検閲に対して懸念を表明しているメディアがある、というのが現状のようです。
◆おまけ
「Mega-Search」にアクセスして表示されたファイルを「Hits(ヒット数)」でソートした結果は以下の通りです。実際にファイルのダウンロードは行っていないので、個々の内容に関しては不明ですが、並んでいるファイル名を見る限り割と怪しい雰囲気であることは否めません。
MEGA-SEARCH.ME - A collaborative MEGA search engine / Lot of MEGA links / Download on MEGA
http://mega-search.me/?r=&s=3&o=1&c=1
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