19世紀に造られた「日本最古」のルルドの泉が五島列島に存在している

「1858年にフランスのルルドで聖母がベルナデッタという少女の前に姿を現し、そこに数々の難病を治す奇跡の泉が湧き出た」というのがキリスト教徒には有名なルルドの泉の話です。バチカン市国が60例以上の「奇跡」を認定したということもあり、現在でも当地を訪れる巡礼者は後を絶ちません。
本家本元のルルドの泉

by La Vie Français: Our Lady of Lourdes
http://aporritt-laviefrancais.blogspot.com/2010/06/our-lady-of-lourdes.html
1891年に当時のローマ法王レオ13世が自らバチカンの宮殿内にルルドの泉の模型を造らせたことから、これに倣って世界中で「ルルドの泉」が造られるようになったということです。隠れキリシタンの里として400年以上の歴史を誇る長崎県の五島列島では、その8年後の1899年(明治32年)に初めて福江島の井持浦教会にルルドの泉が造られました。100年以上の歴史を持つ日本のルルドの泉とは一体どのようなものなのでしょうか。実際に訪れてみました。
五島列島の一番西に位置する福江島。その中心街である五島市福江町が起点となります。今回は国道384号線を使って向かいました。このルートでは車で1時間半から2時間程度の距離です。

こちらがその正確な位置
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車を走らせていると、現れたのが日本一美しい海水浴場に選ばれたこともある高浜海水浴場。季節外れなのが残念です。

入り組んだ海岸線には山々が迫り、港が点在しています

山道を走っていたかと思えば急に畑が広がりました。島の地形は起伏に富んでいます

のどかな漁村が現れました

このマイクロバスは移動商店になっていました。おばあちゃんが買い物中。

気持ちのよい道が続きます

到着です。公式な看板の一番上にもルルドの文字。

目の前にはおおきな運動施設が広がっています。休日でしたが人影は見えません。

バス停も「ルルド前」

坂の上に教会が見えます。これが井持浦教会です。

看板には日本語の他に英語、中国語、韓国語で詳細な説明がありました

教会の下には「水の聖母堂」と書かれた建物

古めかしい呼び鈴がありましたが誰もいません

中にはキリスト教関連の書籍が置かれています

歴史を感じさせる十字架、燭台などが展示されています

「ルルド創設100周年記念誌」が売られていました

売店もありますが、聖母マリア像や十字架、キリスト教関連書籍などキリスト教徒の巡礼者向けのものが多く、気軽な観光客向けのものはあまりありません。

さらに上がると教会の全容が見えてきます

マタイ伝11章28節から取られた言葉「いらっしゃい」

教会の歴史は1895年からと古いのですが、1987年の台風で大きな被害を受けて取り壊され、翌年に新たに建立されました。

こちらにも巡礼者用のグッズがありました。オリジナルシールに冊子、「泉水入れ」のボトルもあります。

巡礼記念のスタンプ

ルルドの泉は教会の脇にありました

このルルドの泉は井持浦教会を建立したフランス人宣教師のペルー師が、石の置き方ひとつまで逐一指導して作らせたということです

ですが、どうも水が湧いていないようです

なんと泉は完全にかれていました。事情を聞こうにも辺りには人の気配はありません。

どうしようかと思っていたところ、泉の横に看板と水道を発見

説明文とコップを見るに、これがルルドの泉と同じものだということのようです

「ルルドのマリア様への信仰をもってお飲み下さい。」と書かれています

蛇口をひねると水が出ました

先ほどの「泉水入れ」で水をくむことにします。表面にはオリジナルシールが貼ってありました。

水は透明で、口に含むと軽くミネラルの風味を感じました。実際の効能は、信仰心がなければ分からないものなのでしょう。

教会に置いてあった冊子「井持浦ルルド巡礼地」によると、五島列島は「ルルドの島」で、数多くのルルドが存在しているということでした。

いったいどういうことなのかと、起点の福江町に戻って福江教会を訪ねてみました

1962年に建立された比較的新しい聖堂です。

聖堂の左手奥に柵に囲われたルルドがあります

ここはそもそも形だけ倣っているようで、泉はありません

「ルルドの泉」の話は聖母が出現や難病や治癒など「オカルト」や「パワースポット」的な文脈で語られることが少なくありませんが、100年以上前に、キリシタン弾圧の過酷な歴史をようやく生き延びた信徒たちにとって各地に造られたルルドの泉はもっと純粋に信仰のより所だったのでしょう。泉のないルルドが存在するのも、ただ奇跡の水を求めるというだけではない、信仰心の現れ方のひとつとも言えます。
そうした心のあり方は現代の多くの日本人にとってはなじみの薄いものかもしれません。ただ、これらのルルドの泉が造られるに至った経緯と、そこで育まれた宗教性は記憶にとどめるべき「日本の歴史」ではないでしょうか。なお、五島市は「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の一部として島内の教会の世界文化遺産登録を目指しています。
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in 取材, Posted by darkhorse_log
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