「2号機に対する注水もあまり猶予はないと考えている」、3月17日20時台の原子力安全・保安院会見内容まとめ
3月17日20時30分ごろから22時過ぎにかけて、原子力安全・保安院による会見が行われました。
内容は本日行われた水投下の効果について、また、現時点でどの炉を優先事項として扱っているか、扱われるべきなのかといったことに関する質疑応答です。
詳細は以下から。
保安院:
東郷幕僚長によると、ヘリの水投下はあくまで応急的。基本的に今やるべきだと判断して実施したとされている。
ポンプだとか電動で動くものがあるので、動くようになれば、今は海から直接海水を入れている状態ですが、そういうことをせずに従来型のやり方で、大きなポンプを動かさないにしても、いろいろな作業ができるようになるのがいいことだと思います。
記者:
いまそこにかかっているリソースを、緊急に振り向けなくてはいけないところに割くということでしょうか?1、2号機に電源が通じた場合リソースを振り向けたいところはどこですか?
保安院:
私の理解では、まずは今やっている自衛隊や警察のご協力を得てやっている水で冷やす部分を成し遂げるということ。他の組織にお願いしていることもあるので人員はたくさんいらないかもしれないが、これが第一。外部電源を確保するのも大切なので、この要員を他に振り分けることは無いと思われる。
電源が回復すると、海水ポンプは海水がかぶっていて使えないので修理しなくてはいけないが、施設の中のまだ使える設備を見て、使えるものもあるかもしれない。施設には純水のタンクもあるのでメーキャップすることも可能かもしれない。点検して使えるものは使っていく。リソースについては3号機のプールは天井がないため放水という形で可能。電源が回復して中の配管やポンプが使えるようになると、施設の設備でプールに給水することが可能となるかも知れません。放水する一方で電源を回復させれば、施設を使っての給水が可能となるかもしれない
読売新聞ヒダ:
うまくいけば外部からの送電線の電力確保が今日中に可能だと言われていましたが、まだ10時間くらいかかるということなんですが、どうしてそんなに楽観的なのでしょうか。2号機は外部電源につなごうとしているが、それは可能なのですか。
保安院:
中の繋ぎ込みまでどれくらい時間がかかるか説明しなかったのは間違いないので、誤解を招いたかもしれません。敷地内に持ってくるのは今日中にできるかもしれないと申し上げたつもりだった。
発電所の中の電気設備に、(電源)車から電源を供給するのは規格外。つなぎこみのケーブルを使ってみたら規格外なのでうまくいかなかったということもあります。送電線の場合はもともとの設備を使って送電線と接続することになるので問題ないと思います。
記者:
そうすると、前回はかなり難しいことに挑戦していたということになりますが、そういった事情の説明はなかったのでは?
保安院:
送電線が切れているところを復旧することができればそちらに取りかかるが、電源車を持ち込むのが一番手っ取り早いのでそちらに取りかかりました。一方で送電線からの引き込みについては、送電線が切れていたりしたところに迂回ルートを回したりして、ようやく発電所の近くまで持って来れたので、やっと設備につなぎこむところまできたというところです。
記者:
プラント側の異常があると聞いたことがあるが、今は問題ない?
保安院:
特に事業者からはそういうことは聞いていない
記者:
確認させてください、放水が20時過ぎに終わっていて、(この発言はおよそ21時半ごろ)計測データは入ってきていないのですか?
保安院:
今日のデータの最終版が18:40のもので、その後のデータはこの間もこちらに届いていると思います。
記者:
今確認できますか?
保安院:
ちょっと確認させてください。
その間に、先ほど調べると約束したことについて、3号機の使用済み燃料プールの容量ですが、9.9m×12.2m× 11.3m=1365立方メートル。水であれば1365トンです。プールの高さは11.3mです。
記者:
今に至るまで放水ができなかった理由は?
保安院:
そこのところはまたチェックしておく
記者:
例えば12時現在のデータははあるんですがその前の午前4時などはない。これはいったい何を意味しているのか
保安院:
1~3号機については消防車をつらねて海水を注入し、流量計がつけてあるので数値が読めるようになっています。これで注水がされていることを確認しました。ただ線量が高いので定期的巡回で確認しています。これまで報告を受けていたのは注水されていたという事実の報告でしたが、数字としてこうして入るようになりました。以前のものには単に「海水注入中」としかなかったが、数字を報告されるようになったところです。数値は入れている海水の量を計ったものです。
放水のデータについて申し上げます。18:40が手元の資料の最後になっていますが、それ以降の10分毎のデータがあります。18:50は3638リットル、19:00は3630リットル、19:10は3626リットル、19:20は3623リットル、19:50は3599リットル、20:00は3601リットル、20:10は3586リットルということで、数値的には大きな変動はありません。
記者:
数値としては時間によって多少下がっているようにも見えますが?
保安院:
そこはグラフでも書いてみないと分かりませんが確認してみます。
記者:
相変わらず評価としては下せないということですね、ありがとうございます。
記者:
外部電源はなぜ2号機に接続するのか、また3号機のプールの容量で高さはどの部分なのか。また数字の確認ですが、冒頭の上空の数値をもう一度。
保安院:
上空の数値は1~4号機の上空300フィートで(毎時)87.7ミリシーベルト、1000フィート(毎時)4.13ミリシーベルト。これは今日17日10時の値です。昨日の計った値では、100フィートで(毎時)250ミリシーベルトです。
2号機の難しいところは、本来はいいことなんですがまだ屋根があるので、2号機については上から水を入れられないところです。そうなると電気系統を生き返らせて使用済み燃料プールの温度を保つ必要があるという要請が強いです。
記者:
自衛隊の散水、放水の効果は、数値を見てどの程度判断できるのか。例えば、明日の朝までかかるのでしょうか。
保安院:
具体的にいつまでというのはわれわれだけでは言えない。データを見ながら関係者と相談する
記者:
自衛隊による放水は今後も続けられるのでしょうか?
保安院:
今続けられるかどうか我々は情報を得ておりません。
記者:
2号機の外部電源は分かりましたが、その他についてはどうなっているんですか?
保安院:
1、2号機がひとつのパッケージになっていて、東北電力の持つ東電の送電線ひきこみで対応しています。3、4号機にあたるものとそれ以外とで外部電源は3つあったと記憶しています。
記者:
外部電源とどうつなげるか図式で説明していただくことは可能ですか
保安院:
できるかどうか考えてみます。
記者:
先ほどの3号機のプールの高さが11.3メートルだということですが、通常は燃料はどの高さにあり、水位はどのくらいなのか。
保安院:
燃料は4メートルくらいの高さ、通常水は7メートルの高さまで入っています。
記者:
使用済み燃料プールのほかに共用プールがあったと思いますが?
保安院:
共用プールのことですね?1号機のうしろにあると説明しましたが間違えていて、4号機の後ろにあるのが正しいです。それぞれ1~6まで専用のプールがあり、取り出した燃料はそれぞれ専用プールに入れます。それが済んでから共用プールに入れます。だいぶ冷め切ったものしか共用プールしか入っていないので、まずは1~6号機のプールの心配をするのが先だと思います。
記者:
2号機は屋根から散水できないということですが、あした一杯電気の工事をやった後、それ以降でも間に合うんですか?つまり危険度はどれくらいなのでしょうか。
保安院:
当初東京電力から聞いていたのは、4号機の使用済み燃料プールは一番発熱量が多いので一番心配な部分です。懸念される4号機のプールに注水を考えていたが……2号機ですね、すみません。2号機からも写真をみると白い煙が出ているのであまり猶予はないと思っています。こちらの水位も確保しなくてはなりません。先ほども申し上げましたが、屋根があるので既存設備で注水するために電源確保をする予定です。
記者:
明日いっぱいかかりますか?
保安院:
なるべく早く。みんなの思いはそういうことです。10時間くらいかかるとのことだが一刻も早くやってほしいです。
記者:
答えにくいかもしれないが、官邸というか国と東電が統合本部を設置したことで情報の流れがおかしくなっている。東電から官邸にいってからこちらに情報がくることでタイムラグがあるのではないでしょうか。
保安院:
われわれも東京電力本部に分室を作ってそこの情報はきちっと取った上で保安院全体でこなしてそこを通じてインプットして対応している。関係者の意志決定をするには統合本部は効果があるのでは。
朝日新聞:
統合本部ができる前と後では、後の方が情報提供が早くなったのでしょうか
保安院:
今回のようなこれから結果の評価を下さなくてはいけないが自衛隊や機動隊にも来ていただくというようなこともあり、官邸の力も借りると言うことになると、ああいう場が必要で、機能したのではないかと思います。現地の人とも会話できるシステムができていましたので、こういうよい機能を生かしていく。これからも難しい状況が続くため、一部の官庁や会社だけでは難しいので、ああいうものを作るのはひとつの考え方。
記者:
煙はいつ確認したのか?また1号機からも出ているのか
保安院:
衛星写真で海側の写真を拝見し、2号機の海側に穴があいているのをみて理解しました。2号機も一度大きな音がして圧力が下がったのでそういったものが関係するのかもしれない。
記者:
1号機から煙は出ていないという理解ですか
保安院:
私が拝見したかぎりなかったと思います。
記者:
話は変わりますが、現場でがんばっている人の状況はどうなっているのでしょうか。食事の分量や睡眠時間などは?
保安院:
それはちょっと知見を持ち合わせていないので調べます。人数は構内全体で300人ちょっとと聞いています。
記者:
自衛隊のヘリと特殊車両、消防車で対処していますが、コンビナート火災などの消火用の車両などは使う予定など把握されていませんか。
保安院:
推測としてはその過程で考えたかもしれないが把握していない。初期のころ聞いたような気もするが、定かではない。
記者:
格納容器は気圧が10分の1くらいだということですが、格納容器は亀裂が入ったりしているものもあるだろうということで、圧力や冷却作業で1~4号で格納容器が破損する状況は考えられないのでしょうか
保安院:
今、データ的には明らかに起こっているようには見えないと思います。前からご報告したように何か起こったのではないかという疑いは晴れたわけではないから可能性は消し去れません。モニタリングのデータではそこはここでこうなっている、明らかに傷んでいるものはないと思われます。
記者:
3号機への注水や散水はありますが、4号機は?
保安院:
4号機は使用済み燃料の量も多いし手当しなくてはいけないが、そこは3、4号機それぞれ今のようなオペレーションをやっていく。最新のところを認識していませんが、早急に対応したいと考えています。
記者:
3号機を重点に、4号機も考えて行かなくてはという部分は変わらないということですね?
保安院:
はい、そうです
記者:
外部電力の優先順位は東電さんの意向だというが詳しい理由は?
保安院:
今のご質問の点についても確認します。
記者:
先ほど2号機から白い煙があがっているということの関連ですが、まずはサプレッションプール(圧力抑制室)について、白い煙が確認あれているということは破損を意味しているのでしょうか?
保安院:
引き続きそこは確証がありませんので可能性の段階。私はそう思っている。
記者:
では、白い煙はどこから出ているのでしょうか?
保安院:
あるとすれば使用済み燃料プールからでしょう。
記者:
2号機も使用済みプールから白い煙が出ているということですか?サプレッションプールから発生しているのではないのでしょうか?
保安院:
サプレッションプールよりも使用済みプールの方が、白い煙だということであれば可能性は高い。
記者:
白い煙はいつの時点で確認?
保安院:
今も出てるかどうか確認します
記者:
衛星写真はいつのものですか?
保安院:
たしか東電の方が3、4号機の写真を持ってこられて、たしかプレス説明の直後にいただきましたが……あのすぐ後に衛星写真をマスコミの方からいただいて、東電からの陸側の写真ではなく、海側から見た写真だったのですが、それによると出ていたような気がしました。今出ているかどうかは確認します。
記者:
燃料1日あたり4~5度温度上昇するということなんですが、プールの温度上昇を計算して想定することは可能なのか?
保安院:
ある程度はできると思います。正確さの度合いはありますが。
記者:
理論的に出せる温度も資料として出していただけないでしょうか。
記者:
検討します。
記者:
関連して、その資料で新燃料ということで定義が分からないんですが、4号機についてはすべて使用済みプールにはいっているがそこに新燃料があったのでしょうか?
保安院:
もともとあったものです。ちょっと確認させてください。
記者:
新燃料というのはどういうもので、どう扱われているのですか?
保安院:
新燃料は新燃料専用の貯蔵庫を持っているケースと、一度使用済みプールに収めることもあるので、タイミングによっては使用済みプールに新燃料が入っていることもあるし、そうではなく専用の貯蔵庫に入っていることもあります。おそらくこの書き方をしているのでプールに入っているのは新燃料だと思われますが確認させてください。新燃料は発熱していません。核分裂させる前の燃料なので。ウランの状態のものです。
ニコニコ動画 七尾:
写真画像は公開になっているのですが、動画は撮影されていないのでしょうか?動画も撮影して情報提供を依頼することはないのでしょうか?
保安院:
私はあまり見たことがない。保安院において動画で何かを審議することはないです。
記者:
状況はだんだん厳しくなっていくと思うが、今後のことについてはどのようにお考えですか。
保安院:
どんな困難があったかということについては、線量に問題やそれに起因するやっていただく職員の方の時間的制約の問題などがあったと思いますがまだ全体としてどういう問題があったのか整理した情報を持ち合わせていない。
今回の評価をした上で、やっていただける方との調整もあるでしょうから、今晩からか明日からか早期にやる。
記者:
その次の手段は?
保安院:
これからよく突き詰めて考えます。
記者:
話はやや離れますが、北沢防衛大臣が今日が限界だと判断してヘリでの放水を決心したようなのですが、保安院としてそういった認識はあったのか。防衛省側に切迫した状況だという説明をなさったのか。
保安院:
そうですね、まず全体なスケジュール感としては切迫していることは間違いないです。使用済みプールは白煙があがるところが多いので、(対処は)早ければ早いほどいい。燃料というのは確実に水の中に入っていてもらいたいものなので、日々限界といってもいいくらいで、日数管理をしていかなくてはならない。ただ、やっていただける方にはコストをはらって大変な思いをしてやっていただくので、そことの兼ね合いもあります。防衛大臣はそこをお考えの上で発言されたのでは。
記者:
何か重大なことがあったのでしょうか?
保安院:
いいえ。1日経てば経つほど難しくなっていくのではないかと。
記者:
そういった意味で今日は山場を超えられそうなのでしょうか?
保安院:
最初から申し上げているようにそういった評価をしていいかどうかはっきりしないところです。
記者:
100フィート上空での(毎時)250ミリシーベルトという高い数値について、これが直接的な放射線の値ではなく、福島の方へ影響するものとは別とおっしゃいましたが、その数値の意味と、評価を教えてください。
保安院:
それはそうだと思います。この値をもって周辺の水平展開をした量の場合の見直しは直接につながらない。上にそれだけいくということは、放射性物質は横にいく可能性も直接リンクしないにしてもあるので、データを見ながら考えていかなくてはならないところです。
記者:
意見交換の内容については教えていただけるのか
保安院:
今どういうことが起こっているのか、どういうデータでどういうふうに見ているのかという内容です。それ以上は特段秘密にすることがあるかどうかは別としてそんなことだと思って下されば。議事録にでるかどうかは何とも言えません。
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