下り最大168Mbpsの高速通信規格「マルチキャリアHSPA」が登場へ
昨年12月にイー・モバイルが下り最大42Mbpsの「EMOBILE G4」を開始し、今月下旬からソフトバンクモバイルも下り最大42Mbpsの「ULTRA SPEED」を開始する予定ですが、いずれも第3世代携帯電話の通信方式「W-CDMA」を拡張した下り最大21Mbpsの「HSPA+」を採用した通信を2つ束ねた「DC-HSDPA(Dual Cell High Speed Downlink Packet Access)」と呼ばれる通信方式を採用したものでした。
しかし進化はこれだけではとどまらず、なんと下り最大168Mbpsを実現する予定であることが明らかになりました。
※上記画像は「HSPA+」に対応したイー・モバイルの通信端末「D31HW」のものです。
詳細は以下から。
Ericsson achieves three HSPA world firsts - Ericsson
大手通信機器メーカー、エリクソンのプレスリリースによると、同社は2月14日から17日にかけてスペインのバルセロナで行われるモバイル関係の見本市「GSMA Mobile World Congress」で世界初となる3つのデモンストレーションを行うそうです。
1つ目はプロトタイプの通信端末とネットワーク装置を用いて行われる、複数の基地局や周波数帯の帯域幅を広く利用することで通信速度を向上させる「マルチキャリアHSPA」のデモで、商用ネットワーク装置上で達成された記録としては世界最速となる下り最大168Mbpsおよび上り最大24Mbpsを実現するというもの。
そして2つ目は現行のDC-HSDPAと同じ「5MHz幅の周波数帯域を2つ使う」という条件のまま、動作速度を向上させた「DC-HSPA」のデモで、商用ネットワーク機器を用いた下り速度は現行の2倍にあたる最大84Mbpsを実現するとのこと。
最後となる3つ目は、あらかじめ複数の信号に分割した送信データを複数のアンテナから同じ周波数帯域で同時転送する「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」と呼ばれる多重化技術などを用いることで、5MHz幅の周波数帯域を1つ用いるだけで下り最大42Mbpsの通信を実現する「シングルキャリアHSPA」で、2つ使わないと下り最大42Mbpsを実現できない現行の「DC-HSDPA」よりも効率的であるとされています。
「マルチキャリアHSPA」が実際に商用サービスとなる時期については現時点では分かりませんが、2012年には「第4世代携帯電話(4G)」として現行のモバイルWiMAXの次世代規格で、下り最大330Mbpsを実現する「WiMAX 2」のサービス開始が予定されていることを考えると、一般的な光ファイバー回線よりも高速なモバイル回線が利用できるようになるのは、そう遠くないようです。
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