2010年06月10日 15時22分メモ

世界各地の都市の観光客と地元民の行動範囲の違いがわかるマップ

Flickrに投稿された写真のGeotag（撮影された位置を示すタグ）を、ロンドン・ニューヨーク・パリ・東京など世界の主要都市の地図上に点で表示し、その中で「地元民」と「旅行者」によるものを色分けして表示することによって、旅行者と地元民が写真を撮る場所の違いを視覚化したEric Fischer氏によるプロジェクト「Locals and Tourists」を紹介します。

遠くから来た旅行者が足を運ぶスポットと、地元民が日帰り観光で訪れると思われるようなスポットの違いが垣間見えてきて、なかなか興味深いものとなっています。

詳細は以下から。Locals and Tourists - a set on Flickr

ロンドン。青が「地元民」（ロンドン都市圏内で1ヶ月以上にわたって写真を撮影している人）、赤が「旅行者」（ほかの都市の地元民と思われる人で、ロンドンで写真を撮影した期間が1ヶ月未満の人）による写真の撮影ポイント。黄色で表示されているのは地元民か旅行者か判断がつかなかった場合（どこの都市でも1ヶ月以上にわたって写真を撮影していない、投稿した写真の数が少なすぎるなど）です。

地元民も旅行者も中心部に集中していますが、人々が「足を伸ばす」場所に目を向けてみると、やはりサッカーの聖地ウェンブリー・スタジアム（1）やテニスの聖地ウィンブルドン（2）へは遠くから訪れる人が多いことがわかります。それに対し、2012年のロンドンオリンピックに向けて建設中のオリンピックスタジアムを含むオリンピック・パーク（3）を撮影しているのはまだ地元民ばかりのようです。キューガーデン（4）は旅行者も多少足を運んでいますがハムステッド・ヒース（5）は主にロンドン在住者が緑を求めて訪れる模様。その近くのハイゲイト墓地（6）はカール・マルクスを始めとし著名人の墓が多数あるので観光地としても人気があります。映画のロケ地としても有名なノッティング・ヒルを見ると、旅行者は週末にマーケットが開かれるポートベロー・ロードに集中しているのに対し、脇道まで足を踏み入れて探索するのは地元民が多いようです。

ニューヨーク。地図の縮尺はすべて同じで、15マイル（約24km）四方となっているそうなので、各都市の広がりを比べることもできます。

旅行者はやはりセントラルパークやブロードウェイ、タイムズスクエアを擁する中心部に集中しています。ヤンキー・スタジアム（1）へはヤンキースと対戦するアウェー・チームの応援に遠くからもファンが駆けつけるのでしょうか。ブロンクス動物園（2）を訪れる旅行者は多少いるものの植物園まではなかなか足を伸ばさないようです。そのほか旅行者に人気の地点は自由の女神像があるリバティ島（4）、移民管理局跡の博物館などがあるエリス島（5）、ワールドトレードセンターのツイン・タワー跡地一帯（6）など予想通りの顔ぶれではないでしょうか。

サンフランシスコ。

ゴールデンゲートブリッジ（1）とアルカトラズ（2）が真っ赤。アルカトラズ島へ向かう船の上から写真を撮る人も多いようです。

サンフランシスコの犯罪発生件数を高度で表した地図と比べてみると面白いかもしれません。

パリ。

凱旋門（1）やエッフェル塔（2）、ヴェルサイユ（3）はやはり旅行者に人気ですが、超高層ビルが林立する再開発地区ラ・デファンス（4）を訪れる人も多いようです。スタッド・ド・フランス（5）のように、郊外にぽつんと赤（旅行者）が集中するスポットを調べると、遠くからスポーツ観戦客を集める大型スタジアムだったというケースが多くの都市で見られます。郊外のソー公園（6）やサン・クロード公園（7）までは旅行者はなかなか足を伸ばしにくいようです。パリ中心部から比較的近いシトロエン工場跡地のアンドレ・シトロエン公園（8）は、現代的な温室や噴水、パリ市内を一望できる固定式の気球もあるのですが、訪れている人々はパリジャン中心なようなので、穴場観光スポットとなっているかもしれません。

東京。

Geotag付きの写真を投稿したFlickrユーザーに比較的外国人観光客が多いせいか、やはり秋葉原（1）や浅草（2）が人気のほか、新宿（3）や渋谷（4）、六本木（5）で写真を撮る旅行者も多いようです。ディズニーランド（6）やお台場（7）に黄色（地元民か旅行者か判断が付かない人）が多いのは、普段写真を撮る習慣がない人でも記念撮影してしまうような「お出掛けスポット」だからでしょうか。