「聖戦のつもりか」、聖書の1節を記したライフルスコープが米軍で使われ物議を醸す
イラクやアフガニスタンなどの中近東ではイスラム教が多く信仰されているということで、各国駐留軍は宗教的な摩擦がおきないように様々な配慮を行っています。
ところが、米軍が採用したライフル用照準器に聖書の一節を表す記号が入っていることが判明。一部はイラク・アフガニスタンの現地軍の兵士にも利用されており「アメリカは聖戦のつもりなのか」「キリスト教徒の武器が異教徒を撃つとはどういうことか」と物議を醸しています。
詳細は以下。
Trijicon: No more Bible references on scopes - MarineCorpsTimes.com
U.S. military weapons dubbed 'Jesus guns' after being inscribed with secret Bible messages | Mail Online
Al Jazeera English - Americas - 'Bible codes' on Afghan army guns
問題となっているのは、アメリカの光学機器メーカー、トリジコン社が製造しているACOGシリーズのスコープ。
「PSA27:1」は「詩篇27章1節」の意。「主は、私の光、私の救い。だれを私は恐れよう。主は、私のいのちのとりで。だれを私はこわがろう。」とあります。
「JN8:12」は「ヨハネ書8章12節」で「こうして、イエスは再び彼らに語って言われた、『わたしは世の光である.わたしに従う者は、決して暗やみの中を歩くことがなく、命の光を持つ』」と書かれています。
また同社の他の製品にも似たような表示があり、Reflexシリーズには「2COR4:6」と記されています。これは「コリント人への第2の手紙4章6節」で「『やみの中から光が照りいでよ』と仰せになった神は、キリストの顔に輝く神の栄光の知識を明らかにするために、わたしたちの心を照して下さったのである」とあります。
トリジコン社は創業以来、時計の文字盤などにも用いられる放射性物質のトリチウムを利用し、暗い環境でも照準用の点が見えるようにしたスコープを製造しています。聖書を示す記号については創業者が信心深いクリスチャンであったため「国へのサービスに対する私達の自信と信仰の一部として」創業以来ずっと刻印されているとのこと。
光に関する節が多く選ばれていることから「異教徒を滅ぼせ」というより、会社のモットーと「いつでもどこでも光り続ける」という同社製品の特徴を聖書の引用で表すという意図があるように思えますが、宗教的な要素であることは事実。アラブ系報道機関アルジャジーラは「このような武器の使用はイスラム系の原理主義組織に米軍を批判する口実を与えかねない」とコメント。他のイスラム系組織も抗議声明を出しています。
米軍とトリジコン社はすでに600万ドル(約5億3千万円)で80万個の購入を契約済み。トリジコン社は今後製造する分についてはこうした刻印をとりやめ、未出荷の製品の改修と出荷済みの製品に対しては改修キットの配布を行うとしています。
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