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Googleマップストリートビューのパンフレットの「よくあるご質問」はネットに公開しているものとどこが違うのか?


本日発表されたGoogleマップストリートビューの追加措置について、自治体の説明の場や協力してもらっている地域での配布資料として活用できるように情報をまとめたパンフレットをGoogleは約6000部用意しているそうです。

で、そのパンフレットとはどのようなものなのか、東京の渋谷にあるGoogle日本法人受付近くに置いてあった実物をもらってきたので、その中身がどうなっているか確認してみました。中でも「よくあるご質問」の中身が違っており、ネットに掲載されていないことが書かれているため、Googleが一体どういった方針でストリートビューを不快に感じている人を納得させようとしているのかがわかります。

詳細は以下から。
これが実物。A4用紙と同じサイズです。


開くとこんな感じ


1ページ目はストリートビューのメリットについての説明


個人・ビジネス・自治体においてどのように活用できるのか、具体例を出して説明しています。確かに一度も行ったことのない会社へ行く際や出張の宿泊先のホテルがどこにあるのかといった確認、取材先の下見などにかなり役に立っています。


Googleマップ自体の説明


特徴的なのがこの裏表紙部分


ページ下部にある「公開に適さない画像を報告する方法」はネットで公開されている「公開に適さない画像を報告する方法」と基本的に同じです。


ですが、「よくあるご質問」の部分はネットで公開されている「よくあるご質問」には掲載されていない質問が多く、同じ質問でも表現を変えている場合があり、Googleがこの件に関してネットを使わない人たちに対してどのようなアピールを行って納得させようとしているのかという方針や考え方が垣間見えます。


Q:ストリートビューはプライバシー侵害の恐れがある、という批判があるが、プライバシーに対してどのような配慮をしていますか?
A:Google はサービスを提供する各国の法律および慣習を尊重し、多くの地域では法で求められる以上の保護措置を取ることで、プライバシーに対して可能な限り配慮をしています。撮影にあたっては、一般的に立ち入れる場所からの撮影を心がけ、個人を特定できる要素(人物の顔や自動車のナンバープレート)にぼかしを入れる技術を導入しています。また、公開に適なさい画像の報告を受ける専用のフォームを用意し、掲載中止を求められた場合には、速やかに該当部分の公開を中止するなど適切に対応しています。

Q:Googleは個人のプライバシーに対してどのような見解を持っていますか?
A:プライバシーに関する法令、および規制の重要性を認識し、これらを遵守するよう最大限の努力をもってサービスを行っています。多くの地域では法で求められる以上の保護措置を取っており、また、プライバシー保護技術への投資、継続的な開発など、先進的な取り組みを行っています。

Q:フランス、カナダ、米国など、日本以外の運営でストリートビューが法的に規制を受けたことはありますか?
A:2009年1月現在では、1件もありません。フランス、カナダ、米国を含め、ストリートビューに対する法的規制等は存在せず、また規制を制定する動きも現時点では存じておりません。各国ともに、公の場所での写真の撮影、公開の自由を認めており、その観点からストリートビューを認めています。

Q:Googleが自主規制により、ストリートビューを提供していない国はありますか?
A:ありません。現時点で7カ国において提供しています。他の地域でも撮影は進めており、サービス提供地域は拡大する予定です。

Q:ストリートビューが犯罪を誘引した事実はありますか?
A:いいえ。世界中どの地域でもそのような事実は知られていません。

Q:Googleは各国の政府機関とプライバシーを扱う政府機関などとの関係はあるのですか?
A: はい。以下に挙げられる団体に連絡を取り、サービスに関するアドバイスをいただいた上で運営しています。
・英国: Office of Information Commissioner
・オーストラリア: Office of the Privacy Commissioner
・フランス: Commission nationale de l'informatique et des libertes
・カナダ: Privacy Commissioner

Q:パソコン、インターネットが全く利用できない環境にあり掲載を中止してほしいと希望する場合、どのような連絡方法があるのですか?
A:より正確で迅速に対応するため、掲載中止の連絡は全世界共通の専用ウェブページからご報告いただく形を基本としておりますが、Googleの日本オフィスでは、お電話によるお問い合わせにも対応しています。

おそらくこのパンフレットの内容も随時更新されていくはずなのですが、ネットにほとんど縁がない人がこのパンフレットを見た時にどのような印象を持つのかが気になるところです。

なお、Googleマップのストリートビューについては独立行政法人産業技術総合研究所に所属し、情報セキュリティ研究センターソフトウェアセキュリティ研究チーム主任研究員であり、各種セキュリティ問題について非常に詳しい高木浩光博士(工学)が以下のような問題提起をこれまで行ってきています。


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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse

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