インタビュー

「旅はレコメンデーションではなくてディスカバリー(発見)」、Airbnbは一体何を目指すのかインタビュー


テクノロジーの力によって、これまでのような「ホテルに泊まってツアーで街を散策する」というような画一的な旅行の仕方ではなく、「地元の人の家に泊めてもらって地元の人に教えてもらった情報をもとに旅をする」というパーソナルな旅行の方法が可能になってきました。そんな方法を可能にするツールの1つとして、ホテル業界に激震を与えたのが旅行プラットフォームのAirbnbです。ニューヨークではインターネットが可能にした新しい宿泊業態の普及にストップをかける法案が可決されたりと、これまでの体制と新しいサービスの形がぶつかり合っていることも報じられていますが、日本のAirbnbをめぐる状況はどのようなことになっているのか?ということで、Airbnb Japan代表の田邉泰之さんに現在のAirbnb Japanが目指すものや、新しい旅の形を提案する新サービス「トリップ」について、あれこれ聞いてきました。

暮らす人と旅しよう。
https://www.airbnb.jp/

Airbnbのオフィスに入ると、ここはカフェか何かだろうか?というようなオシャレ空間が広がっていますが、この部屋は実際のAirbnbのホスト(貸主)のお部屋をモデルにしている、とのこと。そして、以下の画像に写っているのがAirbnb Japan 代表取締役の田邉泰之さんです。


GIGAZINE(以下、G):
そもそもAirbnbはホームステイの延長線上で、余っている部屋に誰かを泊めるというスタイルから出発していますが、なぜか日本の場合は空き家を貸し出すような民泊的な側面ばかりが強く取り上げられています。また、実際に日本国内でAirbnbのホストを検索しても、1人で大阪と京都に複数の物件を持って運営している業者のような人が散見されます。

問題を起こしているケースのほとんどは、ホームステイとして自分の空き部屋を貸している人ではなく、ホテルビジネスのツールとしてAirbnbを利用している一部の業者ばかりなのですが、物件の数が多いために悪目立ちしてしまっている印象です。


サンフランシスコやニューヨークでは、Airbnb自体が、適切な許可なしに1人で複数の物件を展開しているプロ業者を取り締まる「1ホスト1リスティング」という新ルールを打ち出したりしているんですけれども、日本でもこのような規制をする考えはあるのでしょうか?

Airbnb Japan 代表取締役 田邉泰之さん (以下、田邉):
まず、ホームシェアや住宅市場をめぐる状況は、ホームシェアに適したルール作りが既に行われているかを含めて各都市ごとに異なります。基本的には、簡単で分かりやすい現地に則したルールが作られています。場所によっては住宅供給数が限られているために、意図せず影響が起きてしまう場合もあるようです。これらを踏まえ、一方で「自宅でのホームシェア」を活性化しながら、他方で、住宅供給に影響のある「自宅以外のショートタームレンタル」には最適なルール作りを既に完了した都市において、プラットフォームとしてお手伝いできることとして打ち出したのが「1ホスト1リスティング」という考え方になります。

日本には840万軒の空き家があって、そのうちの半分の400万件は既に貸せる状態です。推測にはなりますが、国も「ホームシェアリング」とは別の「ショートタームレンタル」という市場を好機として検討されていると考えております。日本では今後さらに様々な貸し方が生まれてくる可能性がありますので、できる限り早く、クリアでわかりやすいルール作りを希求しています。

我々はルール作りをする立場ではありませんので、「こういうルールがあった方が良い」というお話は致しかねますが、Airbnbはグローバルで8年間、191カ国で運営していますので、その知見は謙虚に共有させていただいて、ここ3年間は検討会などにも参加させていただいております。

G:
検討会というと?

田邉:
自由民主党の「観光立国調査会」、IT総合戦略本部の「ITの利活⽤に関する制度整備検討会」、厚生労働省・観光庁の「民泊サービス」のあり方に関する検討会、規制改革会議の「公開ディスカッション―民泊サービスにおける規制改革―」、同地域活性化ワーキング・グループ、といったものです。これら以外も含めて、検討会などに出席する機会を多くいただいて、政策決定のお役に立てるよう、可能な範囲で情報提供させていただいております。「全ての都市で一律のやり方がある」というよりは、その都市に適した形のルール作りに協力の機会をいただいている状況です。


G:
ローカルに合わせていくというイメージでしょうか。

田邉:
仰るとおりですね。今、急ピッチでいろいろな案が出てきており、新しいルールも2017年中にはできるのではないか、と承っております。

G:
Airbnbのリリースを読んでいると、実際には「ローンを払い終えた定年後のシニア世代が、子どもも独立していなくなったマイホームの空き部屋を貸して、ホストとして海外の旅行者との交流を兼ねつつ、年金だけでは寂しい収入の足しにできれば良いな」というスタイルがAirbnbさんの理想なのかな、と感じます。


田邉:
仰るとおりですが、実はいろいろなストーリーや貸し方があるというのがより正しいと考えております。ホストの方々にお会いするといろいろなストーリーが出てきます。

G:
ストーリーというと?

田邉:
「子どもに巣立たれてから外に出る機会もなくなり、寂しい思いもしていたところ、ホストをすることによってまた色んな人と交流して元気になった」という声もあります。また、地方によっては「今まで外国の方が来られなかったところに外国の方が来られて、街全体でおもてなしを提供し始めた」という話も聞きます。様々な思いで部屋を貸し出される方がいらっしゃって、借りたいというニーズもいろいろあって、双方が上手くマッチングされるというのが魅力の1つです。「ホストはこういう人」というよりは、「いろいろなホストがいる」というのが正しいのかもしれません。

G:
この前発表があった「トリップ」は、まさにその延長線上という感じなのでしょうか。

暮らす人と旅しよう。
https://www.airbnb.jp/new


田邉:
はい。今までのAirbnbのサービスで最も喜ばれていたのが地元の人々との交流で、地元の人々との交流を求めている方がコアにいらっしゃいます。

Airbnbは創業者であるブライアン・チェスキーとジョー・ゲビアが共同生活をしている時に自宅で開始したサービスで、最初に訪れたゲストは3人でした。

見知らぬ人とでも「信頼」を築けるようにするため民泊サービスのAirbnbが追求したことは? - GIGAZINE


そのうちの1人でインドから来られたアモルさんと、ブライアンは今もお付き合いがあるそうです。ブライアンが何年か後にアモルさんに「最初の宿泊で何が思い出に残った?」と聞いたところ、アモルさんの携帯に残っている思い出は、「家」ではありませんでした。

思い出に残っているのは、ブライアンと話した内容だとか、ブライアンやジョーのコミュニティに紹介してもらってみんなとワイワイしたこととか、色んなことについてジョーが手伝ってくれているところの映像や写真で、そこにあるのは「人」だったのです。


行為としては「家に泊める」ということですが、実際に楽しまれているコンテンツは、地元の人々との交流や、地元の人々の生活を垣間見られるというところです。そこで、「交流にはいろいろな方法があるのではないか?」「人との接し方ももっとさまざまなものがあるのではないか?」ということがあり、自然な流れとして、「トリップ」が生まれました。

家は貸さないけれども、「私のコミュニティを紹介するよ」とか、「私が情熱を持っているアクティビティはこういうものだよ」というのをゲストに体験してもらって、「あ、地元の人はこういう風に生活しているのだ」、「こういう楽しみ方をしているのだ」ということを垣間見られるのが「トリップ」の体験であると思います。

G:
ではトリップは、今までの家や土地や建物、部屋に結びついたものというよりは、どちらかというと体験ベースなので、ツアーに近いイメージなのでしょうか。

田邉:
体験ベースではありますが、ツアーとは異なっております。サービス全体を「トリップ」と呼んでおり、その中に、宿泊、体験、そしてスポットの情報があります。日本では未定ですが、長期的ビジョンとしては今後、フライトなどのサービスが入っていく予定です。

G:
パッケージとは違うんですよね?

田邉:
パッケージとは異なっております。これから立ち上げていくものを含めて、始めから終わりまで、旅をサポートするサービスをまとめて「トリップ」と呼んでいます。

G:
それぞれの組み合わせの有無は自由で、例えば「宿泊」と「体験」を組み合わせることもできれば、「体験」だけでも成立するというイメージで合っていますか?

田邉:
そうですね。自分がやりたいものだけに参加して、使いたいサービスだけを使っていくことも可能です。

G:
Airbnbは宿泊のホスト側がAirbnbに登録して展開しているサービスですが、トリップの「体験」の場合はどうなるのでしょうか?

田邉:
体験のホストを希望される側がAirbnbに体験を登録することで、「体験」を掲載できるようになっており、宿泊と同じくCtoCのプラットフォームという仕組みは同じです。

G:
宿泊先を提供している人が「体験」もプラスアルファで提供する、というよりは、「体験」だけでも提供できるという感じなのでしょうか。

田邉:
宿泊先を提供していない場合でも、体験を単体で提供することは可能です。

G:
要するに、「ものを持っていなくても、こういうことができるよ」ということなんですね。

田邉:
仰るとおりです。なお、体験のホストに関してはウェブサイトの「体験を提供してみませんか?」というページからご登録をリクエストしていただくことになっております。リクエストされた体験内容は、弊社のクオリティ基準を充足している必要があります。

暮らす人と旅しよう。
https://www.airbnb.jp/experiences


G:
なるほど。日本で展開する時のイメージとして、どういうものが体験の中で提供されると考えていますか?

田邉:
可能性はいろいろあると考えております。「人口の80%の人が喜ばれるだろうな」というものではなく、ユニークなものと思います。

G:
もうすでに応募はたくさん来ているのでしょうか?

田邉:
数はまだ公表しておりませんが、増えております。

「体験」を提供するのは「この人にこれを教えて欲しい」と思わせることができるような、特定の知識やスキルを持っている人と考えています。

クオリティ基準については、いくつか大きなカテゴリがある中で3つお話させていただきますと、「知識とスキル」「その人が人に出会うことに情熱を持っているかどうか」「いろいろな方に対しておもてなしが提供できるか」の3点です。クオリティ基準を充足したホストさんが、体験をウェブサイトに掲載していきます。まだ始まったばかりであるためプロセス自体はこれからです。

G:
体験のローンチは全世界で同時なんですか?

田邉:
ローンチされた都市は12都市(ロサンゼルス、サンフランシスコ、マイアミ、デトロイト、ハバナ、 ロンドン、パリ、フィレンツェ、ナイロビ、ケープタウン、東京、ソウル)で、今後、大阪も含め51都市に広める予定です。最初に選ばれた都市に東京が入っております。

G:
今の話でいくと、首都圏でやるようなイメージがないんですけれども、すでに始まっている12都市の中に東京があるんですよね。東京で体験の提供のイメージというのがいまいちよく分からなかったのですが、どういう風な体験を想定しているのでしょうか。

田邉:
今のところ、例えば東京で体験を提供しているホストさんは、和菓子作り体験、剣道体験、ヨガ体験など様々な分野があります。

他の例ですと、お寿司に精通したホストさんやレストランと繋がりもあるホストさんがいらっしゃいます。通常では体験できない場所でくつろいだり、お寿司屋さんの板前さんに直接お寿司についての普段聞けないお話をうかがうような機会もあります。

G:
そういうこともありなんですね。

田邉:
ホストさんの知識や持っているコネクションによって、普段自分では体験できないことが体験できるという喜びが味わえます。

G:
例えばですが、GIGAZINEの編集部の建物が旧旅館なので、Airbnbの登録もやろうと思えばできるのですが、「GIGAZINE編集部の見学!」みたいなことも「体験」として有効なのでしょうか。

田邉:
何を体験していただくかによるのですが、少し詳しく教えていただけないでしょうか。

G:
「一緒に地元の取材をしてみる」ということであれば体験としてOKというイメージでしょうか。

田邉:
興味深いですね。普段では行けない建物内に行けたり、御社だから見せていただける編集部の裏側があれば面白いと感じます。「実際に記事をどうやって作っているんだろう、見てみたい」というような記事の編集や制作にご興味のあるゲストですと、ゲストの興味と提供される体験が一致すると思います。そして、さらにどのように面白くしていくかだと思います。例えば、ホストが私で、私が「今回は休みますので、代わりの者がホストをします」というのであれば、もしかしたら、ユニークな体験ではないかもしれません。「私だからこそ提供できるもの」が好ましいと感じます。

G:
なるほど。場所というよりは人に依存したイメージなんですね。

田邉:
仰るとおりです。

G:
NHKの「ブラタモリ」という番組ではタモリさんが地元のやたら詳しい人と一緒に歩いていますが、あんな感じなのでしょうか。

田邉:
仰るとおりなのですが、移動が主眼ではなく、そういう方々の「知識」や「経験」を共有してもらえることや一緒にワークショップを体験することが鍵となります。ディープな体験には、やはり人が大事です。

G:
建物や場所というよりは、人の方なんですね。

田邉:
「この人だから面白くなるだろうな」ということが重要なので、ウェブサイトやアプリを見ていただくと、体験の各ページの冒頭では「私はこういう人です」とホストが紹介されているわけです。


G:
なるほど、それで人が前面に出てくるんですね。

田邉:
はい。「私はこういう人で、こういうことをするのだけど興味をお持ちですか」と尋ねたら、「あなたがやるのなら興味があります」ということでお客さんがつくのではないかと想定しております。

G:
少し話は変わりますが、海外ではAirbnb反対派がかなりの規模を誇っています。例えばアメリカの場合、非営利団体「全米州政治資金研究所」が運営するウェブサイト「フォロー・ザ・マネー」の調査によると、「Airbnb反対派はホテル業、ホテル従業員の労働組合、不動産業界に所属する個人や企業からなり、10年以降、2600万ドル余りをクオモ州知事や議員、市議会議員に寄付してきた。また、住民、政治家、住宅活動家からなる反対派団体『シェア・ベター』は、Airbnbが利益を隠し、世界中で『億単位の課税』を逃れていると非難する広告キャンペーンを展開するため、10万ドル規模の資金を投じる計画だ」とありました。

実際にニューヨーク州では「州法が禁じる短期滞在の募集をAirbnbで行った利用者は、1回目の違反で1000ドル(約11万3000円)、2回目で5000ドル(約56万9000円)、3回目以降で7500ドル(約85万3000円)の罰金を科されることになる」というメチャクチャな法律を出していて、Airbnbさん自体がこの州法に対してニューヨーク市を提訴しています(インタビュー後の12月5日(月)にAirbnbが訴訟を取り下げ)。

Airbnbが部屋の貸出を登録制にする法律は違法だとして市を訴えることに - GIGAZINE


日本でも同じようにして、自治体レベルのとんでもない法案が出てくるのではないか?という恐れもあると思うのですが、現段階でAirbnbさんにはローカルのルールとの擦り合わせをやっていく意志はあるということなんですよね?

田邉:
我々は前向きに検討していただいていると感じています。11月25日にはシェアリングエコノミー協会さんが日本で初めて開催された「シェア経済サミット2016」のディスカッションに参加させていただきましたが、その時にもポジティブなディスカッションをさせていただくことができました。

G:
なるほど。要するにその辺りのことについて、Airbnbさんは「我々は知りません」というスタンスではなく、「上手くやって一緒に何とか落ち着く点を探していきましょう」というスタンスだという理解で合っていますか?もちろん、ルールを決める立場ではない、ということではありますが。

田邉:
仰る通りです。私たちはルールを決める立場ではございません。我々はあくまでプラットフォームではありますが、引退された方々が活躍し続けられる仕組み作りや空き部屋の問題や地方創生という文脈で、お手伝いできるようなサービスがあるのではないかと謙虚に考えております。様々な地方自治体の方々とお話しさせていただいており、地方によって活用方法は異なるのですが、Airbnbというユニークなプラットフォームを活用できるようなルール作りをしていく、というのが正しい考え方なのかなと感じております。

G:
次に聞きたいことがまさにそれなんです。

実際に例えば新宿の場合、新宿区議会議員のいとう陽平議員の公式ブログによると、民泊に関する苦情は4月~9月で115件、前年度の年間件数95件を大きく上回っており、「新宿区民泊問題対応検討会議」が発足して議論が行われたそうですが、「一方で学識経験者や地元町会、商店街等の方からご意見をお伺いすることができても、民泊を求める方が会議の構成メンバーではないため、規制する以外の選択肢はないと考えています。本来であればAirbnb等の事業者と対話をすることで条例制定の前に自主規制の方向性を見出すことがまずやるべきことです。Airbnbの運営母体が国外の企業であるため、自治体だけでなく国レベルでもコミュニケーションが難航しているのが現状ですが、今後は改善が必要となります。また、物件を管理している事業者に関しては主に自治体が対応することになりますが、現場へ訪問しても業者が不在であるため接触すること自体が難しい場合が多いそうです。」と書かれています。

この書き方だとAirbnb日本法人がまったく何もしていないように見受けられるのですが、実際はそんなことはありませんよね。

田邉:
弊社の方針として、各省庁や自治体様との関係を尊重する上で、やりとりの有無含めこちらで具体的にお話することは控えさせていただきます。我々以外の会社も含めた「シェアリングエコノミー」の有効活用について、わかりやすいルール作りを進めたい、というところで協力を継続しているのが事実でございます。このような点が明確になりますと、色々な物事が解決していくのではないかと考えております。

G:
自治体などがAirbnbに連絡が取れないというのがあちこちで散見されます。自治体がAirbnbに連絡するにはどうすればいいのでしょうか?Airbnbさんに話合いに来て欲しい、という場合はどういう風に連絡が来るのでしょうか。

田邉:
弊社には専門の公共政策チームがおり、日本政府を含め様々な国の政府機関との協働をさせていただいております。また、2016年6月に弊社の公共政策チームのグローバルトップであるクリストファー・レヘインが来日して日本のメディアの方々向けのセミナーを開かせていただき、弊社が各都市でルール作りに対してどのような取り組みをしているかという説明をさせていただきました。各地方自治体さんと関係構築は順次開始しておりますが、日本の地方自治体(地方公共団体)の数は1700をも超えるという事実もございます。

G:
では、問い合わせたら対応は可能という話で、そこは常にオープンに構えているという感じで合っているんですよね?

田邉:
公共政策チームを中心に対応させていただいております。

G:
今の話を聞いていくと、別に対話を拒絶するわけでもありませんし、求められれば行くし答える、ということですね。

田邉:
仰るとおりです。

G:
一体何がどうなってこんな擦れ違いみたいなことがあちこちで起きているのかが意味不明だなということで、先程聞いたのも、実際には自治体が問い合わせていないのではないか?と感じためです。

いろいろな自治体がAirbnbがどうこうと言っていますが、報道されているものを見るとほとんどAirbnbを置き去りにしてやっていて、欠席裁判をしているようにしか見えないので、「これはおかしいな」と思っていました。

Airbnbは8年前から運営されているサービスで、「次から次に新規店舗出店」みたいな感じでやっているわけではありませんよね。それなのに、なぜこういう扱われ方をしているのかが疑問なんですけれども、なぜだとお考えですか?

田邉:
難しいご質問だと思います。まず、新しいサービスが立ち上がる時には様々なご意見があるものと考えております。そして、我々は、1つずつという方法ではなく、やはり国全体で「分かりやすいルール作りを早く進める」という部分にフォーカスして協議を進めて参りました。これまでの協議で学ばせていただいたことも多く、我々のみでここまでこれたというわけでは決してなく、いろいろな国の政府機関や地方自治体さんと対話を継続しながら知見を相互に共有し、また、様々なご指導をいただきながら参りました。

繰り返しになり恐縮ですが、我々のトッププライオリティーは、できるだけ早く安全に、Airbnbに限らず、シェアリングエコノミー、ホームシェアそしてショートタームレンタルがそれぞれ広がっていくわかりやすいルールや仕組みを作るというところにあると考えている次第です。


G:
今のトッププライオリティーが全体としてのルールの制定にあるんですね。

田邉:
仰る通りです。全体としてのルールの作成のお手伝いが中心でした。並行して、我々の方でお手伝いできることがあればどんどん協力させていただいていております。現に、色々な地方に参りまして「ホストとは」「Airbnbとは」という情報共有などの取組みをこの3年間継続しております。最近では、岩手県の釜石市さんとAirbnbとの提携発表をさせていただきました。我々のできる範囲において、プライオリティーをおきながら活動させていただいております。

G:
なるほど。話が変わるのですが、GIGAZINEの旧本社が大阪市にあるので、11月8日(火)に実際に大阪市の役所へ出向いて申請に必要な書類を尋ねたところ、「最低でも6泊7日以内でないと特区内でも違法で、賃貸借契約書を毎回ゲストと取り交わさないと違法という2つを前提にした上で、必要な書類は、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業特定認定申請書、申請者が法人である場合には、定款又は寄付行為及び登記事項証明書。申請者が個人である場合には住民票の写し。あとは賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款、施設の構造設備を明らかにする図面、滞在者名簿の様式、消防法令適合通知書の写し、そして使用する水が井戸水のように水道水以外の場合は水質検査成績書の写しが必要です。賃貸物件の場合には施設に係る全ての賃貸借契約書の写し並びに所有者及び賃貸人が事業の用に供することを承諾していることを証する書面の写しが必要で、分譲物件の場合には管理規約に違反していないことを証する書面が必要。あとは施設の構造設備及び外国人旅客の滞在に必要な役務の提供等の概要、付近見取図、居室内に備え付ける施設の使用方法に関する案内書。最後に、近隣住民への周知に使用した資料及び周知方法と実施結果を記した書面を出して欲しい」と言われました。

今話しているだけでもうんざりするのですが、Airbnbがサービスを展開している他の国で合法的に提供できるケースのほとんどに、日本のような煩雑な手続きがあり、本当にすべてのホストがこれらをクリアしている状態なのでしょうか?日本だけが特別に面倒なのか、それとも諸外国はここまで面倒ではない、ということなのでしょうか。

田邉:
ご質問いただいているのは旅館業法の例外を定めた国家戦略特別区域法での特区民泊のお話ですよね。我々としては、原則のルールである旅館業法自体がクリアではないと認識しています。個人の方でも弁護士の先生に相談することなく簡単に法律が理解ができ、登録手続も簡単かつ現実的、というのが重要だと考えます。この精神は、日本だけではなく、全ての都市でお話しさせていただいていて、実際に、新しいルール作りを既に整え始めた都市の中には非常に簡単な方法でホームシェアができる事例がどんどん出てきております。パリやロンドン、アムステルダムがその良い例です。重要になってくる部分だと思いますので、日本も手続が簡単にできる方向に進んでいくことを希求しております。

G:
それで、プライオリティーの高いのがルールの整備だということに繋がってくると。

田邉:
仰る通りです。アンクリアをクリアにした上で、簡単で現実的なルールが必要だと考えております。

G:
この必要な書類を実際に見て、それこそネットでぽちぽちフォームに登録してアップロードしたら全部まとめてできるような仕組みができないかな、と思いました。

田邉:
そのような仕組みになると良いと私も考えております。

G:
こういう煩雑な処理をもっと簡単にするサービスをAirbnbが提供してくれたら良いのにな、と……。でも、そもそもルールがないと、という話ですね。

田邉:
ご提案ありがとうございます。Airbnbは、ホストとゲストがマッチできるプラットフォームではありますが、国や地方自治体さんとも色々とご協力できることを望んでおり、活動をして参りました。

G:
今もパリなどの事例が出ましたが、10月24日のフォーブスの報道によると、韓国では多くのAirbnbホストをリスティングから削除することになり大騒ぎになったそうですが、日本でも違法なホストを一斉削除する可能性はありますか?

田邉:
まず、ご質問の前提で出ております報道に関しては事実に一部誤りがあり、念のため申し上げますと、我々は、ホストの責任を全うしてAirbnbのゲストが期待する本物の旅行体験を提供してくださる韓国のホストコミュニティを構築・維持することをお約束しています。2016年8月から、Airbnbでは、韓国のコミュニティに関して弊社のビジョンに適合しないことを理由として、オフィステルと呼称される種類のビル内にある1500のリスティングを削除した、というのが正確な事実関係です。

次に、新しいルールがどのようなものになるかがまだ見えていない段階ですので、「何をするか」というのを申し上げるのは難しいと考えております。しかしながら、ユーザーさんの役割、プラットフォーマーとしての役割、そして国や地方自治体の役割が明確になっていった暁には、我々の役割をしっかり全うする所存です。

G:
先程から何度も繰り返し仰っているのは、その辺りのルールの部分で、ここをはっきりさせないとAirbnbさんの方が何をどうすれば良いか分からないというのが現段階なんですね。

田邉:
まず明確にすることが大切と感じております。

G:
なるほど。これも非常に個人的なことなのですが、火災保険を更新する時に保険会社に質問してみたところ、Airbnbのようなホストのところに宿泊したゲストが火災を起こすなどした場合には少し面倒なことになるだろう、という話でした。Airbnbはすでに多数の国で8年間展開していますが、他の国の場合、そういう保険はどう扱っているんですか?

田邉:
ホスト保証という制度があり、定めに従い1億円まで保証をさせていただいています。また、ゲストの方が家の中でケガされた場合などに関して、Airbnbホスト補償保険という制度があり、定めに従い1億円までサポートさせていただいております。

安全対策。保証済。


G:
それは、日本の中でも適用されると考えて良いんですよね?

田邉:
はい、基本的に適用されますが、個別の案件毎に規約等の定めに従います。

G:
三井住友海上さんが民泊専用保険を展開しているので、「Airbnbにもあったような……」と思いました。Airbnb自体の保険が適用されないという話ではないのであれば、なぜさらに保険が?とちょっとよく分からなかったのでお聞きしました。

田邉:
シェアリングエコノミーが面白いのは、サービスの周りにいろいろな地元のサービスが広がっていくというところにありますので、保険もおそらくそうだと思います。例えば、お掃除の手伝い、鍵の引き渡しの手伝いなど、様々な周辺ビジネスが地元で生まれていくことが魅力の1つだと思います。

G:
要するに問題になっていることは今仰った話のように、いろいろな経済圏でサービスや利用者が広がっていくけれども、利用者の周辺でAirbnbを利用しているわけでもなく、今後利用する予定もないし、Airbnbで何の利益を得ることもないような人が迷惑を被っている、ということなんですよね。

田邉:
そのような話を申し上げたつもりはございませんが、今後サービスが大きくなるにつれて、やはり地域との共存ということが非常に重要になってきます。ですので、例えばご近所さん用のお問い合わせ窓口を設置したり、アメリカではマンションの管理会社さんと提携することで、ホストだけでなくビルの中にいるみんなに利益が還元されるような仕組みを試験的にテストしたりしています。

G:
そのアメリカの方のテストは具体的にはどのようなものですか?

田邉:
ビルのオーナーさんが自室でAirbnbを活用すると収益の何%かがビル側に戻り、住んでいらっしゃる皆さんが利益を得られるようなシステムです。今後我々が成長していく中では「共存」がキーワードになってくると思います。共存を我々が無視しているわけでは決してございません。共存の方法はこれからいろいろなアイデアが議論されると思います。また、我々から提供させてもらうものにとどまらず、街や自治体さんが共存のための仕組みを考えられる場合もあるのかなと思います。

G:
なるほど。その辺りも、先程仰っていましたが、リソースが多いわけではないので手が回っていないけれども無視しているわけではない、ということですね。

田邉:
私たちがスタッフとして安心しているのは、創業者の意図が「人を助けたい」というところから始まっているからなんです。

ホスト側についてもゲスト側についても、Airbnbを使って正しい方法でコミュニティが広がっていくという部分がメインの想いです。この想いに基づき色々なものをポジティブな方向に進めていけると考えております。我々の説明がまだまだ十分ではなく、先ほどのようなお話が出てきているかもしれませんが、我々としてはそういうことを決して無視しているわけではなくて、正しい形で広まっていき、地元に利益がある形で展開できればなと常々考えているところです。もしかすると、東京・大阪・京都などで展開の方向は異なるものになるかもしれませんが、それは我々がひとりで決められることではなく、地元の方々やコミュニティ、自治体さんが地域の事情に最もふさわしい形ややり方でお決めになるもの、と感じております。


G:
地元が決めた内容がある上の話で、その次がAirbnbのターンになるというイメージですかね。

田邉:
仰るとおりです。あくまで我々がひとりで何かを解決するとか、何かをひとりで動かすということではないと感じております。活用方法を含めて地元の方々とともに考えていくものだと思う次第です。

G:
今の話を聞いていて「その辺りが擦れ違いの理由なんだろうな」というのは何となく思います。Airbnbは8年前から既に存在しているので、先攻めになっているんですよね。地元の方はそれを受けてから「後の反応」という話になっているみたいなので、その辺りの認識のズレが全部の原因なのかなという気はします。

田邉:
我々も全てのソリューションを提供しているとは思っておりません。このあたりはリソースをかけて共存が正しい形で広まればと考えております。

G:
現状、日本のAirbnbの規模はどれぐらいまで成長しているのでしょうか。

田邉:
約4万6000件のお部屋を登録頂いております。

G:
日本の場合は1日にどれぐらいのゲストが泊まっていらっしゃるのでしょう。

田邉:
今年の1月から10月でインバウンドのゲスト300万人にご利用いただきました。

G:
それはすごい!

田邉:
8年間、創業者たちが一番気を遣ったのが「安全な仕組み作り」です。我々としても、オンラインサービス、プラットフォームとしてできることがまだあると思っており、新しい機能を追加することにより、共存・発展していければと考えています。


G:
日本のAirbnbでは依然としてホストの数が増え続けているのですか?

田邉:
はい、増え続けております。

G:
それは確かにすごいことですね。ホテル業だったら自分でホテルを建ててから、という話ですけれども、そうではなく利用者がどんどん登録してきて業者も増えると、なかなか制御ができませんよね。

田邉:
制御、の意味をもう少し教えていただけないでしょうか。

G:
要するに、ホテルであれば「全室が埋まったら」といった物理的な条件に合わせて従業員を雇ったりするじゃないですか。しかし、Airbnbはホテル業ではないので、その辺りのコントロールが難しく、利用者はどんどん増えていきますが、ビル1棟をオフィスとして使うような大規模な展開をすぐにできるわけではないですよね。

田邉:
念のため申し上げますと、Airbnbは物件の運営はしておりません。

G:
そのあたりの理解が自治体などからしてみると、「サービスを提供しているのはあなたたちでしょう?」という話になってきて、Airbnbさんの方からしてみると「我々はサービスのプラットフォームを提供しているだけでその宿泊先ではないんです」ということで擦れ違いが起きてしまっている感じですよね。

田邉:
過去にもピア・ツー・ピアのサービスはありましたのでAirbnb自体は新しいサービスというわけではございません。産業によってピア・ツー・ピアにはさまざまな形があり、いろいろなチャレンジがあると感じます。これからも丁寧にご説明させていただきながら解消していくことになると考えております。

G:
全然関係がない質問なのですが、田邉さんはどういう事情でAirbnb日本法人の代表取締役になられたのですか?

田邉:
「次に何をしようかな」と考えていた際に、偶然Airbnbのサービスを見て「面白いな」と思いました。過去にエンターテインメント関連の仕事や、オンラインの仕事もしましたけれども、旅が元々好きだったのもあり、これからは旅の頻度がもっと高くなるかな、と考えたのです。

G:
頻度というと?

田邉:
多くの人は年に1回か2回海外旅行をするくらいだと思うのですが、Airbnbを見た時に「旅のことを考えるのは1回か2回だけど、これはエンターテインメントに近いな」と思いました。「こういうところに行ってみたい」「こういう人に会ってみたい」「こういうところに泊まってみたい」というニーズからコンテンツとエンゲージメントが高くなり、その頻度が高くなるだろう、と思ったのです。

その「旅」で一番大きいのは非日常、つまりディスカバリー(発見)の部分です。「旅先に行ってまさかこのような出会いがあるとは思わなかった」「このような思いをするとは思わなかった」「このような体験ができるとは思わなかった」、これらが大きな刺激になって、自分の糧にもなると思います。このような意味で、旅をすることは良いことではないのか、ということと、これからの課題や地方創生の話をうかがった際に、「これらを組み合わせると面白いことができるのではないかな」と思い、少しでも日本のお手伝いができればと興味を持って「やらせてください」ということになりました。


G:
今の話でいくと、田邉さん自身がAirbnbを利用したことがあったのでしょうか。

田邉:
そうですね、まず見て面白いと思って使ってみました。そして、「これは経験したことがないサービスだな」と感じて、ぜひ広めたいと思いました。

G:
実際に田邉さんはどの国でAirbnbを使ったのでしょうか?

田邉:
サンフランシスコで使いました。

サンフランシスコに訪れるのは初めてではありませんでしたが、その前に訪れた時のサンフランシスコのイメージと、Airbnbで体験して泊まったサンフランシスコのイメージは、まるで違いました。


G:
どういう風に違ったんですか?

田邉:
サンフランシスコをぐるっと自動車で回ると、「見たことのある橋だな」「お店がたくさんあるな」「ここは住宅街なんだろうな」というように、以前の旅では「ニューヨークより少し小さめの都市なのかな」というイメージで帰ったのです。ところが、Airbnbで泊まったところはミッションという高級住宅街だったのですが、タクシーで降ろしてもらったところが住宅街の真ん中にある急な坂道で、映画「ベイマックス」の舞台みたいだったのです。坂の上からダウンタウンを一望でき「すごい場所で降ろされたぞ」と感動しました。

今度は宿泊先の家に入っていくのですが、ミッションという高級住宅街のあたりは結構古い家が多いのです。映画に出てくるような木で作られた古い綺麗な家で、玄関のドアを開けてすぐに階段を上がっていくのですよ。これはなかなか日本にはない設計ですよね。家の1階はガレージになっていて、階段を上がったところがリビングスペースになっているのです。


リビングにはきれいな絨毯が敷いてあり、長い廊下の壁には写真がずらっと貼られていました。壁の写真や絵を見ると、ホストの方の趣味などが見えてくるのです。

リビングで仕事をしていると芝刈り機の音がしたり、芝の臭いがしてきたり、子どもがキャッキャと騒いでいる声がしたり。「この組み合わせをどこかで味わったことがあるな」と思っていたとき、ふと、昔ニュージャージーというところに住んでいた記憶が20年ぶりぐらいによみがえってきたのです。「生活するというのは、このような感じだったな」ということをしみじみと思いました。

ところで、普通の旅では、地元の方が行くようなスーパーやお店には行かないと思います。ただ、そのときは、水や明日の朝ご飯などが必要ということになりまして、ホストの方に聞くと地元の情報を教えてくれました。その情報を元に行くのです。そうすると、急な坂を上がり下りしてスーパーに行き、重たいものを持って帰る時に、「地元の人はこんな生活をしているんだ」とまたしみじみと思いました。


古い家なのでシャワーの水圧が弱いのですが、それが決して嫌ではなく、「このような生活をしているのだな」と実感しました。その1つ1つがディスカバリー(発見)なのです。旅行サイトを使うと、「レコメンデーション(おすすめ)」をされます。これは、過去にユーザーが好きだと思ったものと似通ったものを提案しているのですが、旅はやはり「レコメンデーション」ではなくて「ディスカバリー」なのだと思います。

G:
なるほど、確かにその通りですね。

田邉:
水圧が弱いとか、窓が最後まで閉まらないとか、そのようなことも全然気にならず、「面白いな」と思うことができました。

僕はメキシコ料理が大好きなのですが、日本ではまだアメリカで食べた本当のメキシコ料理を食べたことがないのです。ホストの方に「アメリカに来る度に毎回メキシコ料理に行く」という話をすると、「じゃあここは絶対行った方が良いよ」という地元の情報を教えてくれました。そこで、行ってみると、細かいことを言うと失礼になりますが、自分では絶対に入らないようなお店なのです。

G:
地元の人だけが知っているというやつですね。

田邉:
「大丈夫かな?」とも思ったのですが、過去のレビューも良く、そのような情報を元に「信じよう」と思ってお店に入ると、とてつもなく美味しいのです。それは自分では発見できなかったディスカバリーです。


そのお店は、地元の人に勧められたので、観光客がいないのです。地元の人が雑談している中で1人で食べていると、映画の中に入ってしまったようなイメージになり、すごく心地の良い違和感が感じられたのです。

G:
旅行そのものという感じですね。

田邉:
仰るとおりです。これを初めて体験したときに、「これほど面白いことはない」と考えました。しかし、よく考えますと「田舎に泊まろう!」という番組があったと思います。これを思い出して「もうみなさん興味を持っているんだな。田舎に泊まろうの帰りに出演者の方が泣いていたけど、その気持がよく分かるな」と思いました。

ハワイに行った時のホストさんとは、ハワイに行く前から、アプリを通じて頻繁にやりとりをしていていました。オアフ島のノースショアにあるビーチが目の前の家を借りたのですが、家の裏庭から毎日写真を撮って送ってくれるのです。「カメが来て、息子がカメと遊んでいます」といった連絡が毎日送られてきて、「まだ行くまでに1カ月はあるから、良い景色を送ってこないでくれ!」と冗談で言うこともありました。そのホストの方とはハワイに行く前に、すでに友達になっていたと思います。


G:
なるほど。

田邉:
Airbnbは、これまでお話してきたように、「田舎に泊まろう!」のようなものがあり、自分では発見できないものを発見できると思います。Airbnbのメインは「人」です。人と触れ合うことにより、ディスカバリーをすることができます。テレビでもコンテンツとして既にあるわけですから、この体験は、潜在的には絶対ニーズとしてあると考えています。いろいろな番組で田舎に行って、田舎の漁師さんと一緒に漁をして魚を焼いて食べるというのは、Airbnbの「体験」にほぼ共通する部分だと思うのです。宿泊もそうであり、新しく立ち上げた体験もそうです。「人」ベースで地元に詳しいユニークな方々の生活の中に、2日間、3日間入らせていただくということなのだと思います。

そうすると、心地の良い違和感がぽこぽこと出てきます。それが「ディスカバリー」となって喜びとなることから、ディープな楽しい旅を求めている方には本当にオススメ致しますし、たぶん喜んでいただけるのではないかなと思います。それは宿泊だけでなく体験だけでも味わえるものです。

G:
Airbnbの「体験」「トリップ」がどんなものなのか?ということは、今の話が一番分かりやすかったです。やはり直接聞くと、身に迫る話なので、「なるほど!」と納得しました。

田邉:
我々としても良いものだという自信はございます。

G:
展開している最中のサービスなので、どうしても具体的なことを避けつつ回答されていると分かるのですが、その中で「自分の体験」としてお話いただいた今の内容が一番具体的だったので、今までの話の中の抽象的で分からなかったことが全部集約されているように感じました。辛い立場だとは思うのですが、できれば今後も具体的な話をしていただけるともっと理解を得られるのかなと思います。田邉さんの最後の話は強烈でした。

田邉:
基本的に、我々はまだまだ認知度が足りないと思っております。引き続き、謙虚に、地道に、少しずつターゲットを広げながら説明を続けていくことが任務だと考えております。

G:
本日はありがとうございました。

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in 取材,   インタビュー,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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