プレスリリース配信「ValuePress」の運営元バリュープレス社に迫る
GIGAZINEはいろいろなプレスリリースをメーカーなどからも配信してもらっているわけですが、世の中にはこういうプレスリリースを配信することを仕事にしている企業も多々あるわけです。
今回取り上げる「ValuePress!」はマスコミ向けプレスリリース配信代行サービスであり、通常のプレスリリース配信と違って、記者が実際にそのプレスリリースを読んでくれたかどうかを計測可能で、なおかつメール配信登録をしなくてもRSSで新着リリースを提供していたり、いろいろと積極的な展開も行っています。
で、その運営元である「株式会社バリュープレス」(旧社名グローバル・フレックス・プランニング 2006年11月より社名変更)は仕事の内容によってRPGのように経験値やアイテムが表示されるという面白い社内システムを持っており、今回はそのあたりを含めてインタビューしてきました。
◆バリュープレスってどんな会社?
オフィスはこんな感じになってます
社員用のオフィスグリコを発見!
GIGAZINE(以下、Gと省略):
今まではかなり変わった会社ということで各方面から取材されていましたが、現在はどうなっているのですか?
バリュープレス(以下、VPと省略):
収束に向かっていますね。遅刻罰則の赤タイツはもうやっていないし、ライブカメラもそろそろやめようかと思っているんです。社内システムは今後もやっていくつもりですね。
G:
プレスリリースの配信を行ってますがこれはいつからやっているのですか?リリースの送付依頼はやはり中小企業からが多いんでしょうか?
VP:
配信は2004年9月からやっています。依頼はIT系が約4割で一番多いですね。
会員数は4600社で、そのうち100社ほどが上場企業です。全体的には中小企業も多いので広く浅くという感じになっています。
・会員企業カテゴリ別グラフ
G:
ValuePressには他にない効果測定などがありますよね。ああいう細かい測定システムは最初からあったのでしょうか?
VP:
効果測定ではリリースをどの記者が見たのか、どこに掲載されたのか、ちゃんとわかるようになっています。見られて結果が出なかったのか、そもそも見られていないから結果が出なかったのかが知りたかったので最初から導入しました。内容を見てダメだったのなら企画自体をよりよくすればいいですが、見られていないのならば全然意味がありませんから。
G:
会員企業には教育・医療・福祉といったところも結構あるんですね。
VP:
個人でリリースを出したい人や学生さんの団体なども登録しています。そうした面白いニュースが多いのもバリュープレスらしさだと思いますね。
◆大体スタッフは全部で何人いるのか
G:
スタッフはトータルで何名ほどいるんでしょうか?
VP:
ValuePress部門ではシステム5、デザイン2、企画営業3、運営5、総務経理1で16名です。最初は2名から始まりました。
G:
2004年からということはすごい勢いで増えたんですね。採用は新卒ですか?採用の基準などは?
VP:
全員中途採用ですね。基準はその都度面接で一番いい人を選ぶ形になっています。
G:
募集はどのようにしていますか?また、何名ぐらい採るのですか?
VP:
「Find Job !」で募集しています。大体一回の募集で25名~30名ぐらいの応募があって、そこから1、2名です。
◆1日のおおまかな一般的スケジュール
G:一日のおおまかなスケジュールはどうなっていますか?
VP:
人それぞれですが、基本は9時~18時で9時の時点で主要スタッフは揃っています。12時~13時がお昼になっていて、残業の度合いは同業他社とそれほどかわらず、多少夜遅くはなることもありますが会社に泊まらなければならないほどではありません。比較的健全に動いていますね。システムとデザインに関してはすべて社内でまかなっていて、外注はないですね。
◆昼食などはどうしているのか?
G:
昼食はどうなっているのでしょうか?このあたりは食べるところ多そうですが。
VP:
居酒屋が昼にランチを出しているところが多いので、そこをまわる人が多いですね。あまりコンビニへ行く人はいないです。以前はオフィスの1Fがファーストキッチンだったので、一ヶ月間ずっとファーストキッチンでの同じメニューということもありましたが、最近はみんな健康的な食事ですね。
◆会社の自慢
G:
会社の自慢、アピールポイントはありますか?
VP:
ValuePressの特徴としては、価格が圧倒的に安いこと、閲覧のレポートがとれることですね。会社の特徴は社員全員にRPGのような"レベル"があって、業務を行なうことで経験値が加算され、レベルがあがるんです。社員でランキングを出しているんですよ。
・前代未聞、驚愕のスタッフシステム
G:
このシステムも自社で作ったんですよね、こんなのは聞いたことがありません(笑)
VP:
そうです。スタッフごとのマイページに自分のレベルが表示されるんです。経験値ごとに自分の使える"技"があって、例えばフードコーナーを自由に使っていいとか、社長に命令を出せるとか、仕事中にゲームができるというのもあります。まだここまでの人はいなくて、未来の話ですね。
G:
アイテム一覧というのは何ですか?
VP:
欲しいアイテムを登録できるんです。登録されたアイテムは例えば自分の担当したプロジェクトが無事に完了した(黒字)タイミング等でマイページにランダムで発生し、発生したアイテムは入手可能になります。アイテムは自宅に発送したり、他の人に送ったり。
G:
このシステムはいつごろから動いているのですか?評判などはどうでしょう?
VP:
5月ごろから動いていますが、評判は悪くないですね。仕事を楽しめるように作られていて、仕事内容と所要時間を入力するとポイントが算出されるんです。これはみんなが見られて、誰がどんな仕事をしているかがわかるようになっています。案件ごとにかかるコストや収益も自動的に出るんですよ、例えば時間がかかりすぎるとコストがかかって収益はどくろマークとか(苦笑)
G:
このシステムを作るのにはどれぐらいかかりましたか?
VP:
1年ぐらいかけて作って、現在もアップデートしながら運用してます。このシステムで顧客管理もやっていて、ログイン履歴やどれぐらい利用したかというのもわかるようになってるんです。さまざまな情報をGoogleで自動的に検索させてあらかじめ予測しているんです。上場している場合は上場コードが入ったりですね。
G:
全自動でデータ収集をしているのですか?
VP:
1時間に1回、BOTがまわってますね。無料で会員登録をしたが、利用実績のない企業が、実際にサービス利用する可能性を収集したデータから自動で判断し、「営業をしたらきっととれる」という情報も表示させています。この「チャンス発見」という表記がそれですね。向こうがこちらにどのぐらい興味を示しているか、というのがランク別に表示されるようになっていたり。
G:
全部全自動で判断してるのですか……これも作ったんですよね、信じられないですね。一流企業でもここまでやったのは見たことがないです。
VP:
仕事の管理に関しても、締め切りをすぎてしまった数、通常の締め切り、今抱えている案件、仕事の予測時間が表示されます。例えば超過率が9%なら、仕事を依頼した時に91%は納期通りに仕事をしてくれた、ということですね。
G:
すごいですね…こういうので社員管理というのはみんなある程度は考えますが、ここまで徹底してやっているのは始めてみました。
VP:
逆に社員は自分がどういう状況なのか意識することができるんです。現状がわかっていれば改善できます。例えば超過率が50%を越えていたら依頼した仕事の半分は締め切りを過ぎているということだから、次からは依頼しないようにするとか、依頼側の判断もできますしね。これは「Net to Do」という、やはり弊社のオリジナルのシステムと連動しています。
G:
メッセンジャーのようなものですか?
VP:
これは仕事を振るためのシステムです。メールで仕事を依頼するとどれぐらい進んでいるのかわからないし、送った自分が忘れてしまうことが結構あったので作りました。やってほしいタスク、締め切り、優先順位を書いて相手に送る。すると送られた側では「仕事が追加された」というお知らせが出るんです。仕事が間に合わないかもしれないという時でも、仕事にかかる時間から逆算して仕事開始予定時間になると教えてくれるんです。これは売り上げ管理システムよりはあとで、稼働し始めて1年ぐらいです。
G:
社員の反応はどうでしたか?
VP:
自分で自分に仕事を振るときにも使い、メモしなくても忘れないので役立っていますね。仮に締め切りを過ぎた仕事があって、無視していると、ちゃんとシステムに音声で怒られるんです(笑)
G:
このソフトはいつ頃作成しようと思ったのですか?これで管理しないといけないぐらい仕事が増えたからでしょうか?
VP:
それまではメールで仕事を振っていたのですが忘れてしまうことが多くて。そういうソフトはないかなとネットで探したがなかったので、じゃあ作ろう、と。うまく処理できない仕事の場合は、会議の議題として設定することもできますし、自分のタスク、相手に依頼したタスクも把握できます。誰が何件依頼して、何件依頼されたかなど、仕事の割り振り状況が一覧で見られたりします。
G:
ただただひたすらに感心します、すごいですね……。今までにいろんな社内システムを見てきましたが、ありとあらゆるものの次元を突破していますね。
◆「ValuePress!」運営やサポートなどで苦労したエピソードや伝説のエピソード
G:
「ValuePress!」のサポートや運営で苦労したエピソードなどはありますか?
VP:
平穏無事に来ていますね。サーバまわりは常に大変でしたけれど……アクセスが増えたときにどう対応するか、とか。あとはどこまで情報公開した方がいいのか、というさじ加減は難しいですね。
G:
試行錯誤した時期というのがあるのですか
VP:
ちょうど今までがその試行錯誤の時期ですね。基本的に情報は包み隠さず出そうということにしていたんですが、そろそろ会社も好き勝手なことをやる時期ではなく、地盤をしっかり固めていかなければいけないと思っていて、会社の転換期に、全てをさらけ出すことが、必ずしも良いとは限らないと思うところもありますね。
◆こんなユーザーの方に利用してもらいたいという想定している利用者層
G:
想定している利用者層はありますか?
VP:
当初はマスコミだけだったんですが、一般の人々もニュースになる前の情報を知ることができるので利用してもらいたいですね、特にブロガーの方とか。
G:
ブロガーでの登録者はいるのですか?
VP:
現在のところ、登録はマスコミの方に限定させてもらっているのですが、トップのRSSを読んでいるブロガーはいるかもしれないですね。サイトのトップには最新のリリースが掲載されていて、ニュースになる前の、或いはニュースにならないが興味深い情報を誰でも入手できますので、ぜひ、ブログのネタ探しにもご利用いただきたいです。
G:
RSSのアクセスは結構あるのですか?
VP:
RSSはアクセス解析していないですね。
◆サイト閲覧・利用のコツ(注目して欲しいポイントや特集など)
G:
サイト閲覧・利用のコツということで、どういう風に作られているのですか?
VP:
動線は考えていて、電話でも相手に伝わるようなインターフェースにしようと思って作りました。電話でもわかるぐらいの情報量なら、普通に見たときにもわかりやすいと思い、意識して作りましたね。
G:
それでああいうインターフェースになったわけですね。
◆こんなシステムで運営してます(サーバOSや台数などの大雑把な構成)
G:
どんなシステムで運営されてますか?システム自体は自社開発ということですが……。
VP:
数台という感じですね。
G:
なるほど。あと、プレスリリースを出す前にどの媒体に掲載されるか予測するシステムというのが昔のリリースに書いてあったのですが、今はどうなっているのでしょう?
VP:
あれは2004年度にお試しでやっていたのですが、精度が悪かったので閉鎖したんです。今作ればいいところまではできると思います。
G:
あれができたときに一体どうやって作ったんだろうと思っていたんですが、どういう仕組みだったんですか?
VP:
ニュースの単語とジャンルを全部解析して、それとプレスリリースがどのぐらいマッチングしているか、マッチング率が高ければ載る可能性が高いですよ、というのを表示していたんです。
G:
なるほど、何だかGoogleニュースっぽい雰囲気ですね。
VP:
サーバもテストサーバ以外はVMwareで確認しています。
◆今後の方針(こんな感じの展開を予定しています、など)
G:
今後はどういう風に展開していこうと考えてますか?
VP:
3年前にスタートしたときは、この業界の需要が今ほどではなかったので、その間は開発を増やそうかと思っていたんです。ですが、ここ1年で配信数も急激に増え、面白いニュースも多くなってきているので、企業の広報業務を代行みたいなかたちで請け負っていこうかと考えています。
G:
システム的にはさらに妙ちくりんなものを作る予定はありますか?
VP:
システム部門だけ独立して別会社を作ったんです。面白い会社についてはそちらのほうですね。今後の内容に期待してくださいという感じです。
次回、「ゲーム好きで知らない者はいない「ファミ通.com」編集部に行ってきました」…乞うご期待。
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