SEMを得意とするネット広告代理店「アイレップ」に行ってきました


ふとしたきっかけで、いわゆるSEMを得意とする広告代理店「アイレップ」を訪問する機会を得ました。

SEMというのはSearch Engine Marketing、つまり検索エンジンから自社の特定サイトへの訪問者を増やすマーケティング手法のことで、俗に言うSEO、検索エンジン最適化やリスティング広告、キーワード連動型の広告などを組み合わせて最大の効果を発揮するのを目的としたものです。ネット上で何かをしようとした場合、検索エンジンの影響を無視することはできず、どのようなサイトであろうと検索エンジン対策は必須課題。

というわけで、Google社認定Advertising Professionalやオーバーチュア認定プロフェッショナルについて、また、SEMというのは結局のところどういうケースで有効なのか?そして、知られざる広告代理店用のGoogle APIなどについていろいろと聞いてきました。
◆Google社認定Advertising Professionalというのは具体的に何をするのか?

GIGAZINE(以下、Gと省略):
アイレップのサイトを見ていると「Google社認定Advertising Professional」の資格を持っている方が社員に何人かいるようなことが書いてあるのですが、これはどういう資格なのですか?

アイレップ(以下、Iと省略):
Googleの正規代理店というのが日本に今、200社ぐらいあります。そのため、Googleが一応「Professional制度」という認定資格制度を持っているわけです。それで、ある程度Googleと常日頃からコミュニケーションを持っている代理店はその資格の試験を受けに行くことができるわけです。その資格取得者がアイレップにはいるわけです。

G:
その資格を持っていると何ができるようになるのでしょうか?

I:
この資格を持っていると技術的に何かできるというのではなくて、そういう知識を持っているという証明になるわけです。Google AdWordsにおいてある一定の最低限の知識を持っているという証明になるわけです。試験内容に一部技能も含んでいるのですが、それができるからといってコンサルティングできるかというとそれはまた別問題ですね。

G:
ということは、基本的にGoogle AdWordsに対する資格と言うことなのでしょうか?

I:
そういうことです。試験内容はGoogleさんは公表していないのですが、一般的なGoogleに関する話ももちろん出てきますので、Google及びGoogle AdWordsについてある一定の見識を持っていますよという証明になりますね。

◆オーバーチュア認定プロフェッショナルというのは具体的に何をするのか?

G:
もうひとつの「オーバーチュア認定プロフェッショナル」というのは、これも同じような資格なのでしょうか?

I:
同じ感じですね。一応アイレップは日本で8社しかないオーバーチュアの推奨認定代理店なので、その推奨認定代理店、認定代理店、一般代理店とある中で、それぞれ有することができる資格が違うんですよ。

G:
その各代理店の差というのはどういう差があるのでしょうか?

I:
基本的にはある程度の売上というか、運用体制やバックアップ体制がそれぞれ全く変わってくるんですよ。たとえば推奨認定代理店と認定代理店を比べて、ある広告は認定代理店には掲載できなくて、推奨認定代理店しか掲載できないとかそういうのはないです。あくまで、掲載に当たってはガイドラインに準じますので、代理店を経由しようがオンラインで直接申し込もうがその点に違いはないわけです。ただし、クライアント(依頼主)さんにとってはいろいろと調整が必要になるじゃないですか。それが推奨認定代理店に対しては一定のサポート体制をひいてもらえます。そうするときめ細かい対応であったり、コミュニケーションが密に取れるようになると言うわけです。

G:
サポートの質の違いという意味での代理店の差なのですね。確かに誰もが十分な知識を持っているというわけではないですからね。

◆どの業種がクライアントとしては多いのか?

G:
実際のところ、どういう業種が仕事を依頼してくる顧客としては多いのでしょうか?

I:
特に全方位的に行っているのですが、やはり個人企業は少ないです。SEMというのは本質的にユーザーさんが検索するボリュームに比例するので、いかに利益率が高くてももともと検索の数が少ない、あまり検索されないような業種や仕事、フレーズだとそもそも効果が実感しにくい収益性が低いモデルだとどんなにマーケットが大きくても競争が起きないんですよ。基本的にネットの広告はオークション制という競争によって掲載順位などが決まっていくシステムになっていますので、マーケットが大きくなおかつ収益の大きい業種が金額を最も多く投下する価値があるわけです。
そうなると、保険関係と金融が多いですね。具体的には消費者金融、損保、生保などです。それから人材系ですね。転職やアルバイトなどです。自動車関係も大きいですね。トヨタとかニッサンなどのメーカーよりは中古車取り扱いとかのディーラーさんですね、そういうのが自動車は多いです。普通に検索数の多い不動産であるとか、あとは通常のコマース系ですね。一回の収益が低いので、マーケット規模が大きい割には予算投下は若干小さくなるわけです。
アイレップとしては何かの業種を専門的に取り扱うわけではないので、SEMというくくりでやっているということになります。

G:
ちょっと変なことを聞くのですけど、今まで言ったその業種以外、つまり結構変わったクライアントさんというのはどういうのがありましたか?

I:
今はおつきあいはないのですが、アダルトとか、ギャンブル関係はこういうモデルに対して斬新な手法を用いているので、かなり必死にやってこられるところがありますね。ただ、正直、彼らのモデルは焼き畑とはまでは言わないのですが、やっぱりある程度短期で集客を行い、切り替えをしていくモデルなので、本質的にアイレップの目指す方向性と違ってきたわけですね。なので、今はおつきあいは皆無です。
あと非常にニッチなところで工業用製品、誰が調べるんだろう?というようなのがありましたね。検索回数なんて月に10回程度しかないのですが、こういった対策をしていないとその1回を見つけることができない、と。ただ一度売れると非常に莫大な売上があるので、やる価値があったわけです。薬とか特許関連とかもですね。ニッチであるからこそ、見つけてもらうために検索エンジン対策が必要だったわけです。
あと、ブランドのある商品名ならその商品名で検索するのですが、そうでない場合はいろいろな単語で検索するわけです。いろいろなキーワードを組み合わせて。普通ならこれに対してこちらでいろいろと提案するのですが、専門性が高いとその単語の抽出作業が大変ですね。逆にこうなってくるとふつうの検索エンジン対策をしている競合他社さんだと無理な場合があり、それでアイレップを選んで来るというケースがありました。

◆普段のオフィスの様子

受付には今まで受賞したいろいろなものが飾ってあります


これが社内のオフィスの様子


◆大体スタッフ・社員は全部で何人いるのか(正社員、契約社員、システム関連、デザイナー、バイトなどすべて含む)

I:
一応100人を超えたあたりですね。8割ぐらいが正社員で、あとは契約社員や派遣社員ですね。一応システム管理とデザイナーは正社員です。ただ、デザイナーさんに関してはディレクションに応じて外注する場合もあります。というのも、仕事の中にLPOという広告の受けページを作ることがあるからです。この受けページのディレクションからコンサルまで全部アイレップでやるのですが、人数をそんなに抱えられるわけではないので、個人のデザイナーさんとかパートナー会社さんと組むことがありますね。

◆1日のおおまかな一般的スケジュール(出勤はフレックスタイム、午前は打ち合わせ、午後は取材など)

I:
一般的には9時出社と10時出社の2パターンが大きく分けるとありまして。

G:
どういう差でその2パターンになっているのでしょうか?

I:
基本的には自主性に任せています。クライアントさんの中には普通に9時から動く場合もありますので、それらに合わせて、自主的にスケジュールを組んでいます。そういう意味で、メンバーごとにバラバラなので一般的なスケジュールというのは難しいですね。
午前中にメール処理や打ち合わせをこなして、午後からクライアントさんを訪問し、夕方にまた社に戻ってメンバーと打ち合わせをするなどがメジャーなすごし方ですね。

G:
一週間のうちで言うと月~金が基本ですか?

I:
会社としては土日はお休みです。ですが、土日もネットは動くんですよね(苦笑)

◆昼食などはどうしているのか?(外食する割合、コンビニで済ませる割合、など)

I:
基本は弁当ですけど、アイレップの所在地が青山なので、付近のレストランとかに行っている人とか、近くの青山学院大学の学食に行っている人もけっこういますね。

G:
学食ですか?!

I:
新入社員は、ランチだからと言って毎回1000円とか1500円とか使うわけにいかないですよね(笑)

G:
確かに。ほかにはどんな昼食がありますかね?そちらの方は…?

I2:(同席した他のアイレップ男性社員の方)
半分は妻の手作り弁当で、残り半分は近くのカフェとかですね。カフェめしみたいなのが多いです。忙しいと近くのマクドナルドになります(笑)

I3:(同席した他のアイレップ女性社員の方)
えーっと、コンビニかカフェですね(苦笑)

G:
本当に千差万別ですね~

◆オフィスの自慢(他の同業他社にここは負けないというアピールポイント、あるいはGoogleのように食べ放題飲み放題などオフィス環境の自慢話など)

I:
うちは見ての通り質素な会社なので…何かありますかね…?

(話し合うことしばし)

I:
ああ、休息室にマンガがたくさんあります(笑)

G:
みんなが持ってきたものなんですか?

I:
基本的にそうですね……えっと、大部分は私が持ってきてます(笑)

G:
同業他社に負けないポイントだとどんなのがありますか?

I:
立地ですね、青山という場所にあるということが。広告代理店というのはよく「○○」の代理店という言い方をするんです。渋谷さんとか、赤坂さんとか。なので、アイレップは「青山さん」なんですよね。青山の広告代理店というと、なんとなく漠然としたオシャレ感が出るじゃないですか。そういう意味で言うと、立地的な良さですね。

G:
オフィス環境的にはあまりそこまで細かく気配りしたり凝ったりはしていない感じですかね?

I:
基本的にそんなに凝っても仕方がないので。できる限りシンプルにしてますね。なので、社長室とかはないんですよ。普通に社長も役員もみんなフラットです。同じ机で同じフロアです。

G:
それは何かポリシーみたいなのがあるんですかね?

I:
社員の数も増えてきていますし、会社の風土とか文化とかを対外的に話すことができないというのはやっぱり困ってくることになるので、しゃべりやすい雰囲気を作るというのは心がけてますね。

G:
年間でイベントとかはないのでしょうか?

I:
アイレップは基本的に4半期ごとに事業部ごとに飲み会をしたり、4半期ごとにキックオフという形でメンバーを集めてこれから何をしていくかとか、業績の報告とか、あとはいろいろなコミュニケーションですね。

◆仕事で苦労したエピソードや伝説のエピソード

I:
もともとうちがベンチャーの駆け出しだった頃、住宅手当とか無かったんですよ。社員がまだ20名強で泊まりの日々が続いて、机で死んでるような状態になっちゃったんですね。そうしたら代表がとことこやってきて、このままだったら死んじゃうから、住宅手当出すから近くに住め、ということになったんですよ。で、競合他社さんの住宅手当の額とか調べて、3キロ圏内だと住宅手当を出すから住めと言うことになったんです。

G:
競合他社さんのを調べたというと、どうやって調べたんですか?

I:
えっと、競合他社さんと言っても、つきあいも多く、電話して調べるんですよ。そっちはどうやってるんですか、と(笑)
結構横のつながりはあるんです。同じ悩みって抱えるじゃないですか、そこはやっぱり競合しちゃうビジネスについては話せないですけど、それ以外は結構違うんですよ。話はしますね、いろいろと。

G:
結構地道で堅実にいろいろやっている雰囲気ですね。

I:
そうなんですよね。広告代理店というとなんだか派手な感じがあるんですけど、うちはそういうのとは無縁なので。それが独自の立ち位置に関係している理由かも知れないですね。

G:
あと、アイレップは広告代理店以外の仕事、「日本有料老人ホーム紹介センター」というのもやっているのですが、これはどういう経緯で…?

I:
もともと代表がリクルート系列出身の人間なんですけど、社会貢献とかに興味がある人なんです。会社としてのビジネスをどういう風に考えているかというと、クライアントさんに対してマーケティング支援をしていく、と。あとマーケティング支援していくというのはマーケティングノウハウを持つことになるわけです。となると、クライアントさんに提供するだけでなく、自分たちにも応用できるわけです。マッチングビジネスですね。インターネットマーケティング事業部はネットをメインに提供していき、そしてネットを介在してシニアというマーケットに有料老人ホーム紹介業などを行うようになったわけです。

◆こんな顧客・企業の方に仕事を依頼してもらいたいと想定している顧客層

G:
どういう顧客を想定しているんでしょうか?

I:
ネットでマーケティングを支援しているので、コンバージョン、つまり成果ですね、これが見えやすいネットと密接に関連してクライアントさんだとやりやすいんですよ。なぜかというと、今までの既存のマス広告と違って、ネットを経由した広告はダイレクトなんです。クリック数とか実際に何人購入したとか何人が資料請求をしたとか全部分かるわけです。その中で集約と収益化をお手伝いしているわけです。
最近だとテレビなどのCMで検索窓を出して「~~を検索してください」とかやってますが、ああいうのは一種のブランディングですね。でもそれ以外の実際の利益が直接発生するクライアントさん、それはもう小さなところから大きなところまでが主に顧客層です。

◆SEMを依頼する場合のコツ(どういったことが可能なのか、どういう結果を期待すればいいのか)

I:
基本的にお客さんにもある程度手法は理解してもらった方がいいですね。

G:
どの程度までの理解度があればいいですか?

I:
技術志向のマーケティングと、リスティングなどのマーケティングがあって、それら全部を含めて何百社もあるわけです。そうなると会社さんとの相性というのもありますが、データがしっかり出てくるものですから、結果として何をしてもらっていて、こういう成果が出ているというレポートを見たときに、ああ売れているんだ、だけじゃなくて、どうなっているのかを判断できるレベルですね。そういうのを見る目をクライアントさんには持って欲しいですね。
少なくとも、自分の使っているものはどういう仕組みになっていて、何をしているのかというのを理解してもらえるとこちらもやりがいがありますし、パートナーシップを組めるというのがありますね。

G:
そうなった場合、アイレップ自体が他社との明確な差というか、ウリみたいなのはどこになるんでしょうか?依頼する場合に。

I:
専門の代理店として、システム化とか半専任のリソースとかをコミットできる点ですね。クライアントさんからもらった商材に付加価値を付けていくというのが基本的なスタンスです。売っているものに対する考え方の差ですね。広告枠を販売しているのか、ソリューションを販売しているのかというと、決まっている商材に価値を付けるということになるわけです。

G:
最終的には頼む側のクライアントはどういった結果を期待しておけばいいのでしょうか?

I:
やはり最終的にビジネスの収益ですね。そのゴールにおいてどの部分をアイレップが担当するかと言うところですね。

G:
ということは、クライアント側にはある程度の目標数値みたいなのを設定してもらった方がいいわけですか?

I:
そうですね。しかし、いきなり検索エンジンマーケティングで1000万円売り上げたいんです!と言われても、果たしてその1000万円売上ができる市場があるのか、競合他社はどんなのがいるのか、そういうのはこちらではわからないんですよ。もちろん、経験的にわかりますが。やはりそういうのはクライアントさんから情報提供してもらわないと分かりませんね。

◆こんなシステムで運営してます(サーバOSや台数などの大雑把な構成、あるいはチーム編成など)

I:
アイレップが管理しているキーワードというのは非常に膨大なんですね。

G:
ですよね

I:
以前だったら何百とか何千ぐらいだったのが、何十万とか何百万になってくるわけです。そうなると当然ながらもうExcelなどでは管理できないわけです。PHPやCGIで吐き出す仕組みが必要になっているので、そういうシステムはありますね。あとAPIが公開されているので、それらを使います。

G:
そんなのがあるんですか?

I:
例えばオーバーチュアであれば、自動入札ツールと呼ばれるツールがあるんですが、アイレップの場合はi-bidderというツールをお客さんに提供しています。


G:
そういうAPIを使ったツールが使えるというのは代理店を使う利点ですね。サーバの規模的にはどういうのを使っているんですか?

I:
LinuxサーバとWindowsサーバですね。どっちも使ってます。ASPで提供しているわけではないので、バランサーで何台も構成と言うよりはクライアントさんに合わせて専用のサーバを置く感じですね。処理が大きいので。ある程度のスペックと容量が必要になってきますね。

◆今後の方針(こんな感じの展開を予定しています、など)

I:
サーチエンジン特化している会社なんですけど、デジタル化していくメディアにおいてサーチがいろんな形で増えると考えています。テレビがデジタル化されることでテレビからサーチするという可能性ももちろん出てきますから。直近だとモバイルサーチですね。人間は行動欲求がある限り探す行為をするわけです。その探す行為についてフォーカスしていくわけですね。そうすると新しいサービスに付加価値を付けてやっていくことになります。
また、アイレップとしてはインターネットというものだけにこだわっているわけではなくて、マーケティング支援とマッチングビジネスをしていきたいと考えているので、そういう意味で代表なんかは「産業を作りたい」と言ってます。

G:
今後の検索業界の行方の予想というのはどうですか?

I:
電通さん含めていろいろな企業が予想を立てているのですが、やはりここ3年から5年はさらに大きくなっていくと思います。今までナショナルクライアントと呼んでいる大手広告主さんが、いわゆる既存の広告媒体以外のネットに向き始めた感じですね。これがソリューション化するまではあともう少しかかります。こうやって大きい広告主さんがマーケットを引っ張っている感じですね。
あとは地方の小さな広告主さん、つまり地方用の仕組み作りですね。米国ではもうオーバーチュアが発表しているんですが、ローカライズされた広告の配信をする予定を立てているんです。やはりこの枠という感じで値段が決まっているのではなく、オークション制で売買されるモデルなので、裾野がトップとダウンと両方から広がっていきますね。
また、RSS、ソーシャルネットワークなどなど、いろいろと新しい仕組みが出てきていますよね。ソーシャルブックマークとか。そういうのをユーザーの検索と結びつけて、ユーザーの集客と関連づけていくわけです。それもSEMの一つです。こういうマーケットは名前は変えても大きくなっていくのかなと思いますね。

G:
ネット広告費はどのあたりまで増えるでしょうか?

I:
日本の広告費はセールスプロモーション含めて6兆円と言われているんですが、そのうちの1兆円弱ぐらいまでは大きくなると予想しています。これぐらいネット広告は伸びますね。その中におけるSEMを考えると、日本では30%ぐらいまでいくと思います。SEMのシェアはもっと爆発的に伸びるはずです。


次回、「プレスリリース配信「ValuePress」の運営元バリュープレス社に迫る」…乞うご期待。

0

in インタビュー, Posted by darkhorse_log