なぜ大人になってから友達を作るのは難しいのか?
童謡「一年生になったら」の歌詞に「友達100人できるかな」とあるように、幼い頃に友人を作るのは比較的簡単だったものの、成長して大人になってからは「新たに友人関係を構築するのは難しい」と感じた経験がある人は多いはず。海外メディアのThe ESTDが大人になってから友人を作ることの難しさについて解説しています。
Why making true friendships as an adult is harder than ever | The Established
https://www.theestablished.com/self/health/why-making-friends-as-an-adult-is-harder-than-ever
インド・ムンバイに拠点を構えるThe Mood SpaceOnline Therapyのセラピストであるメハク・ロヒラ氏によると、幼い頃の友情はほとんど偶発的に生まれたものとのこと。ロヒラ氏は「こうした友人関係は学校やその他のグループが人々との交流の機会を与えてくれたことによって生まれています。学校などでは他の人と出会いやすくなり、定期的に交流が繰り返され、その結果より強いつながりが築かれることになります」「さらに、子どもや思春期の児童は、自然に好奇心が強く、他人に対してオープンで、年齢と共に感じるようになる不安感を抱えていません」と述べています。
しかし、年齢を重ねるにつれて自身の性格や好み、信念はより明確なものとなり、その結果同じような考えを持つ人や自分の興味に沿った会話をする人とのコミュニティに帰属することになります。そのため、幼い頃よりも時間を共に過ごす相手を厳選するようになるとのこと。旅行ジャーナリストのチャンドレイ・バンドヨパディヤイ氏は「幼い頃は、友人になる相手を選ばなかったはずです。しかし、成熟するにつれて友人となる相手を明確に選択するようになります」と指摘しました。
The ESTDによると、結婚や出産、仕事への没頭のあまり新たな友情を育むことは後回しになることが多いとのこと。そのほか、心理学者のモンク・プラヨグシャラ氏は「社会不安や拒絶に対する恐怖が新たな友情を築くのを妨げることがあります。幼い頃は、学校や住んでいる場所など、同じような背景を持つ人たちと共通の環境にあり、友情を築くことにためらいがあまりありませんでした。しかし、年を取るにつれて社会的な余裕がなくなり、新たな友人関係を構築する意欲が制限される傾向があります」と述べています。
マーケティング専門家のアンジェラ・セシリア氏は「成長し、我が子が生まれた私たちは、一緒に時間を過ごす人や友人、尊敬する人について慎重になっています。なぜなら、その集団がさまざまな面で子どもにも影響を与えるからです。子どもは両親の影響を受けるだけでなく、周囲の人々からも影響を強く受けます。そのため、間接的に子どもに良い影響を与えられる人々が生活の中にいることが重要です」と語りました。
心理学者のシャウリヤ・ガラーワット氏は「新しい友情を育むことは、感情的および精神的な健康が保たれるだけでなく、さまざまな刺激を受けることができます。オンラインでもオフラインでも、自分が評価され、尊重されることで大切にされていると感じさせてくれる仲間を見つけることは、人々を前向きな姿勢に変えてくれます」と提言しました。
一方、ガラーワット氏は「テクノロジーとソーシャルメディアは友人関係を構築する新たな方法ですが、オンラインで構築した友情は非言語コミュニケーションの欠如などの問題から関係が長続きしないという課題もあります」と指摘しています。
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