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バッハが10代で作曲したオルガン独奏曲の320年越しの初演映像公開


大音楽家として知られるヨハン・セバスチャン・バッハが10代のころに作曲した2曲のオルガン曲の楽譜が、1992年の発見から30年以上かかって本人作だと確認されました。楽曲は2025年11月に開催されたライプツィヒ・バッハ資料財団の75周年記念祭で、作曲から320年を経て初めて演奏され、YouTubeで映像が公開されています。

Newly discovered organ works by Johann Sebastian Bach | Bach-Archiv Leipzig
https://www.bacharchivleipzig.de/en/bach-archiv/newly-discovered-organ-works-johann-sebastian-bach

Musikalische Sensation: Präsentation neu aufgefundener Bach-Werke // 75 Jahre Bach-Archiv Leipzig - YouTube


今回披露された楽曲は18世紀初頭、テューリンゲン州アルンシュタットの教会オルガニスト(オルガン奏者)をしていた18歳ごろのバッハが書いた、オルガン向けの独奏曲です。


1992年、音楽学者でバッハ専門家であるピーター・ウォルニー氏はベルギー王立図書館でこの2曲の楽譜を発見。楽譜には署名がありませんでしたが、ウォルニー氏は独特のスタイルと楽曲の構造から、バッハの曲だろうと考えたとのこと。しかしはっきりとして証拠がなく、また誰が写譜したものかもわからなかったため、30年にわたって研究を続けました。

調べを進める中で、研究者仲間であるベルント・コスカ氏が、ザロモン・ギュンター・ヨハンというオルガン奏者が1729年に書いた手紙を発見しました。

ヨハンは1727年、テューリンゲン州シュライツにある教会で行われたオルガニスト選挙に応募しているのですが、その応募資料で「アルンシュタットの前のオルガニストのもとで学んだ」と自己PRしています。この「前のオルガニスト」がバッハのことを指すため、ヨハンはバッハの弟子だったといえます。

Bach-Schüler bei der Organistenwahl zu Schleiz 1727/28 | Bach-Jahrbuch
https://bjb.publia.org/bjb/article/view/2317


このヨハンの筆跡が楽譜のものと似ていたことから、ウォルニー氏は他にジョンが残した文書の捜索と調査を行い、「当該楽譜は1705年、サロモン・ギュンター・ヨハンがバッハの楽曲を書き写したもの」と結論づけました。

ウォルニー氏は「長らく、楽曲を特定するためのパズルの一片を探し求めていましたが、ようやく全体像が明らかになりました」と述べています。

2つの楽曲はそれぞれ「チャコーナ ニ短調 BWV 1178」「チャコーナ ト短調 BWV 1179」として、バッハの作品目録番号「Bach-Werke-Verzeichnis(BWV)」が与えられました。

ちなみに、シュライツの教会オルガニスト選挙にはヨハンのほか、同じくバッハの弟子であるベルンハルト・クリスティアン・カイザーヨハン・ヤコブ・キーザーら合計7人が応募しており、キーザーが当選。キーザーは1762年に亡くなるまでオルガニストを務めました。キーザーやカイザーもバッハの楽譜を多数書き写して後世に残したことで知られ、特にカイザーは筆跡がバッハ本人に似ていて、「前奏曲とフーガ ホ短調 BWV 548」など重要な楽曲の写譜を行ったそうです。

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in 動画, Posted by logc_nt

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