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イーロン・マスク率いるDOGEが6000万行ものCOBOLコードを含む社会保障局のシステムをコード生成AIでわずか数カ月の内に移行させようとしており危険性が指摘されている

by Gage Skidmore

海外ニュースメディア・WIREDが、イーロン・マスク氏の率いる政府効率化部門(DOGE)がアメリカ社会保障局(SSA)のコンピューターシステムを、数ヶ月という短期間でCOBOLからJavaなどへ移行しようとしていると報じています。ソーシャルニュースサイトのHacker Newsで、この移行計画を危険視する声が挙がっています。

Doge Plans to Rebuild SSA Codebase in Months | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=43505659

SSAは2017年にコアシステムを置き換えるための数億ドル規模の計画を発表しており、その際には約5年かけて近代化を進める予定でした。しかし2020年に発生したCOVID-19パンデミックにより、この取り組みは一時休止しています。


2025年3月、連邦議会に「ソフトウェア資産の管理と監視強化法(SAMOSA)」案が提出されました。この法案は各政府機関にソフトウェア資産の監査や重複ライセンスの統合などを義務付けるもので、政府機関に18カ月の評価期間と1年の近代化計画期間を与えています。SAMOSA案はもともとバイデン前政権時の2023年7月に提出されていますが、2023年12月に下院を通過したものの、会期終了までに上院で審議されず不成立となっており、今回改めて議会に法案が提出された形になります。

SAMOSA案の提出を背景に、マスク氏の側近であるスティーブ・デイビス氏が主導する今回の計画は、6000万行以上のCOBOLコードを含む巨大なSSAのシステムを全てJavaなどの現代的な言語に書き換えることを目指しています。通常であれば10年はかかるとみられる大規模な移行を数カ月で行うために、DOGEは生成AIを使ってコード変換を試みると予想されています。

by WEC3390

SSAのシステムは社会保障番号の発行や支払い管理、給付金計算などの中核機能を担っています。専門家たちは、このような大規模な移行を数ヶ月で完了しようとする計画には無理があり、現在社会保障給付を受けている6500万人以上のアメリカ人の支払いを危険にさらす可能性があると警告しています。

SSAの元上級技術者は、「SSAのシステムは『針金とダクトテープで繋ぎ合わされている』ような状態であり、不用意に一部を取り除くと全体が崩壊する可能性がある」と警告しています。DOGEは生成AIを利用して数ヶ月でCOBOLコードを全て置き換えることを計画しているとのことですが、SSAの元技術者は「このような短期間では無数の事例に対応するテストが不可能」と主張しています。

by Kevin Savetz

ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、WIREDと同様にDOGEの施策を危険視するコメントが多く投稿されています。

afavour氏は「巨大なレガシーシステムを一から書き直そうとするプロジェクトはだいたい紙の上ではよく見えますが、実際には見つけるのが難しいCOBOLエンジニアに支払う費用を、開発者の労働時間が大幅に上回ることになります。数ヶ月で全体を置き換えるなんて?破滅的。絶対に破滅します」と述べています。

また、piva00氏は「これは新人エンジニアによくある間違いで、好きではないシステムを書き直せば想定上の問題がすべて解決すると考えています。マスク氏配下のDOGEに関わる若者たちは、数十年動いているものの完全な書き換えを経験したことがなく、彼らが必然的に失敗するのを見るのは面白いでしょう。ただ残念なことに、SSAのシステムが混乱すると多くの人々の生活に実害をもたらすでしょう」と語りました。

さらに、メインフレームのソフトウェアベンダーで働いていたというjareds氏は「COBOLが『レガシーで悪いもの』とみなされることにうんざりしています。私自身はCOBOLのプログラミングをあまりしていませんでしたが、IBMは今でもメインフレーム向けに新しいコンパイラやz/OSの新バージョンをリリースし続けています。言語が古いというだけで無用で書き直す価値があるとは限りません。COBOLを悪者扱いするのではなく、実際の問題点を説明すべきです。SSAのシステムがCOBOLの古いバージョンに縛られているのは予算不足のせいなのか、長期的なメンテナンス計画の不備なのか、新しいバージョンへの移行を妨げる技術的な問題があるのかなど、理由を明らかにするべきです」とコメントしました。

by Eric Peacock

なお、この移行計画がいつ始まるかは不明ですが、すでにDOGEは「Are You Alive Project」と呼ばれる、不正受給と思われるケースを発見するプロジェクトを進めています。マスク氏は2025年2月にSSAが不正受給だらけであると主張しましたが、WIREDはマスク氏が主張した「150歳の受給者」の問題はCOBOLの日付処理の特性によるものであり、実際に150歳の受給者が存在するわけではないと指摘しています。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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