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ドローンで置き配をする「Zipline」とはどんなものなのか?


テキサス州ダラス郊外で、Ziplineという企業がドローンを使った荷物配送システムをテストしています。上空300フィート(約91メートル)の高さから荷物をつり降ろすというスタイルで、既に1億マイル(約1億6000万キロメートル)の飛行を終えているとのことです。

2024 Behind the Scenes with Zipline - YouTube


The Drone-Delivery Service Beating Amazon to Your Front Door - WSJ
https://www.wsj.com/tech/the-drone-delivery-service-beating-amazon-to-your-front-door-1ad898b4

Ziplineのドローンが飛行する様子は以下の動画で紹介されています。

How Zipline Delivers with Platform 2 - YouTube


ユーザーはまず、アプリで商品を注文します。例ではジュースやサラダが注文されています。


注文を受けると、配送拠点に設置されたドローンから荷物格納用のポッドが分離し、ケーブルでつり下げられながら降下。


降下したポッドがダクトに入ります。ダクトの先では荷物積み込み担当の人間が待機しています。


人間が商品をポッドに格納。


ポッドがドローンへ帰還。


ユーザーの元へ飛び立ちます。


ユーザーが指定した地点まで来ると、ドローンは空中で静止し、ポッドを降ろします。


ポッドが着地し、腹部をオープン。


荷物を残して上昇します。


Ziplineのケラー・リナウドCEOは、車などによる既存の配達方法は古く、増加する需要に耐えきれず、また環境にも悪いとして、ドローンのような次世代の配達方法が必要になると訴えています。いわく、Ziplineのドローンは最大8ポンド(約3.6kg)の荷物を配送可能で、将来的には薬や医薬品などを1日数百万個も配達することが可能とのことです。

Ziplineのドローンの特徴としては「ドローン自体は上空に待機し、荷物をつり降ろす」というものがあり、これにより他社の同種のドローンと比べて騒音を軽減できます。また雨、風、熱対策も施されており、悪天候でも配送できるのが利点だそうです。


ケーブルが電線に絡むなどしてつり上げられなくなったときは、最終手段としてケーブルを切断することも可能。

Zipline Shorts | What happens if someone pulls on the droid? - YouTube


何者かがポッドをつかんでも安全に切り離せるそうです。


また、ポッドにはパラシュートが装備されており、空中でケーブルが切断されても安全に落下します。


母体となるドローンも同様、非常時はパラシュートが作動します。

Zipline Shorts | Minimizing risk with multi-layer safety - YouTube


ドローンはルワンダでもテストされており、24時間で500個以上の荷物、7000個以上の製品を運搬しました。

24 hours of national-scale instant logistics in Rwanda | January 2025 - YouTube


記事作成時点で、Ziplineはウォルマートと提携してアメリカで配送を行っており、ファストフードチェーン「チポトレ」の配達も近々行う予定とのこと。このほか数十の小売店、レストラン、医療システムと契約を結んでいて、将来のパートナー向けに小型の集荷拠点を設置する予定です。

アメリカでは荷物配送用のドローンを許可する動きがあり、ショーン・ダフィー運輸長官は2025年3月14日、連邦航空局が自動ドローンによる配送サービスを簡単に承認できるよう、新たな規則を近く発表すると述べました。これまで、企業がドローンを自律飛行させるには個別に許可を得なければならないところ、そのプロセスを簡略化するよう働きかけられているそうです。

Ziplineは、荒天をシミュレートするためにドローンを激しく揺らすシステムや、長期的な摩耗や損傷をシミュレートするために部品を凍らせたり焼いたりするなどのテストで安全性を担保しているとのこと。リナウドCEOは「我が社のドローンは自律飛行で1億マイルを飛行し、安全上の事故はゼロでした」と述べました。

Zipline Shorts | How testing for failures improves safety - YouTube

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1p_kr

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