アメリカの情報機関を統括するトップが「政府の機器にはSignalがプリインストールされている」と認める、政府が職員にSignalを使わないよう指示していたにもかかわらず

by Focal Foto
アメリカ連邦議会下院情報委員会の公聴会で、トゥルシー・ギャバード国家情報長官が、メッセージアプリ「Signal」が政府機関の機器にあらかじめインストールされていることを認める証言を行いました。これにより、副大統領を含む政府高官らが機密通信に使ってはならないはずの民間アプリで戦争に関する重要な会話をしていた問題がさらにエスカレートする可能性が高いと、メディアは報じています。
Gabbard says Signal comes ‘pre-installed’ on government devices - POLITICO
https://www.politico.com/news/2025/03/26/gabbard-signal-government-devices-cybersecurity-00250731
Gabbard stands by use of Signal chat as Democratic ire grows - Roll Call
https://rollcall.com/2025/03/26/gabbard-stands-by-use-of-signal-chat-as-democratic-ire-grows/
Intelligence officials remain defensive on Signal debate - Nextgov/FCW
https://www.nextgov.com/defense/2025/03/intelligence-officials-remain-defensive-signal-debate/404083/
一連の騒動の発端は、閣僚級の政府高官ら18人がSignalに「フーシ派PC小グループ」と呼ばれるチャットグループを作り、そこでイエメンの親イラン武装組織「フーシ派」の軍事拠点の爆撃について情報共有していたことが2025年3月24日にリークされた問題です。
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Signalについては、以前からアメリカ国家安全保障局(NSA)が「ロシアのプロフェッショナルハッキンググループがフィッシングを用いてSignalのエンドツーエンド暗号化をバイパスし、暗号化された会話にアクセスする危険がある」として、機密性の高い通信には使用しないよう警告してきました。
それにもかかわらず、高級閣僚らがアメリカ軍の重要な「戦争計画」に関する通信にSignalを使用し、これによって爆撃が行われることが事前に民間人に漏えいしたことは大きな問題となっており、3月25日に開催された上院情報委員会の公聴会では、中央情報局(CIA)の長官がSignalの使用について追及されています。
NSAやCIA、連邦捜査局(FBI)といった機関を統括する国家情報長官のギャバード氏は、26日に開かれた下院情報委員会の世界的脅威に関する年次報告公聴会に出席。「Signalで行われた会話は率直でデリケートな内容でしたが、大統領や他の当局者が既に述べたように、機密情報は共有されていませんでした。それは、地域の外国パートナーに提供される更新情報とともに国家安全保障閣僚会議に提供される標準的な更新情報でした」と述べて、改めて重要な情報は漏えいしなかったとの見方を示しました。
さらにギャバード氏は、政府職員は対面での会議が不可能な場合は、通信にSignalのような暗号化アプリを使用するよう推奨されており、Signalは政府のデバイスにプリインストールされていると説明しました。

by Gage Skidmore
ギャバード氏が言及した「推奨」とは、エンドツーエンド暗号化通信のみを使用するよう指示したサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)の(PDFファイル)ガイドラインのことです。
しかし、2023年に国防総省が作成した(PDFファイル)資料では、アメリカ政府の管理下にない「非管理アプリ」は非公開情報へのアクセスを許可されていないと定められており、政府関係者が重要な情報のやりとりにSignalを使ってもいいのかは微妙な問題です。
ギャバード氏は、Signalで行われた問題のチャットは場所や情報源などの詳細が含まれていないため機密扱いにならないと主張しましたが、情報委員会の委員として9年のキャリアを持つホアキン・カストロ下院議員は「その情報が会議に提出されても機密扱いにならないという考えは馬鹿げています。私は、それより機密性がはるかに低いものが機密扱いで提出されるのを見てきました」と反論しました。

また、情報委員会の筆頭委員であるジム・ハイムズ下院議員は「地球上で最も危険で機密性の高い仕事に就いている人々が、軍事攻撃に関する極めて具体的で決定前の議論をSignalに載せましたが、これはロシアや中国に傍受される可能性がありました。彼らがそれをフーシ派に流せば、フーシ派はたやすく兵器の配置を転換し、爆撃機を撃墜したり艦船を沈没させたりできたでしょう。私たちが今、亡くなったパイロットを悼んでいないのは、神の素晴らしい恵みです」と述べました。
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